従業員幸福度とは?従業員のモチベーションを高める4つの取り組み

働き方改革の推進などから、日本企業には大きな変革の波が訪れています。会社を長期にわたって繁栄させるには、利益の追求や業務効率化のみならず、従業員一人ひとりのやりがいやモチベーションにも目を向けた組織づくりが不可欠です。 従業員のやりがいやモチベーションを測る指標のひとつとして注目されているのが、「従業員幸福度」です。 この記事では、従業員幸福度の概要と、向上に向けて企業に求められる取り組みを解説します。


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従業員幸福度とは「従業員の仕事への喜びを数値化したもの」

従業員幸福度とは、従業員の仕事へのやりがいや喜びを数値化したもので、「Employee Happiness」を略して「EH」とも呼ばれます。

企業での従業員の働きやすさについては、これまでも従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)という数値で示されてきました。しかし、従業員満足度は給与や労働時間、労働環境といった数値化しやすい「客観的」な指標でした。

新たな概念である従業員幸福度では、福利厚生や働き方に対する満足感など、従業員自身の「主観的」な評価を数値化しています。つまり、従業員の気持ちや考えを反映している点が、従業員満足度とは大きく異なるのです。

従業員幸福度を測る重要性

従業員満足度による客観的指標だけではなく、従業員の主観的指標である従業員幸福度が今なぜ必要とされているのでしょうか。

ここでは、企業における従業員幸福度の重要性について解説します。

会社の実態を把握し、課題解決に役立つ

従業員満足度は労働環境を整えるヒントになりますが、給与や設備などをいくら改善しても、従業員の仕事へのやりがいや働きやすさにつながらないこともあります。これは労働環境の改善が従業員の望む改善と合致していないことが原因のひとつです。

従業員の主観、つまり心の内を数値化する従業員幸福度であれば、何に不満を感じ、どう改善すれば心が満たされるのかを知ることができます。

従業員幸福度を知ることによって、経営陣が普段気づけなかった会社の実態を把握でき、真の課題の解決に役立つでしょう。

生産性の向上につながる

従業員幸福度は、会社全体の生産性向上につなげるための指標として役立ちます。

仕事に不満を抱える従業員が多いと、会社全体の士気が下がり、離職率も上がるでしょう。そこで定期的に従業員幸福度を知ることによって、従業員の仕事への満足度を高める施策を取ります。

働きやすい環境が整うと、従業員の仕事へのモチベーションが上がり、業務にも率先して取り組めるようになるでしょう。その結果、生産性の向上やイノベーションの促進などから、会社の業績アップといった大きなメリットにもつながります。

従業員幸福度を高める4つの取り組み

会社の業績アップにも影響を与える従業員幸福度ですが、給与を変更するのとは異なり、従業員の主観に対してどのようにアプローチすればいいのかわからないと感じる方も多いでしょう。

そこで、従業員幸福度を高めるのに有効とされる具体的な取り組みを4つ紹介します。

1.コミュニケーションを積極的に取る

円滑なコミュニケーションを心がけることは、従業員満足度の向上に大きく影響します。コミュニケーション不足による人間関係のトラブルは、働きづらさにつながりやすく、社内全体に悪影響を及ぼします。

社員同士がどのような立場であっても積極的にコミュニケーションを取れる雰囲気があれば、人間関係のトラブルが起こっても改善されやすくなるでしょう。さらに、働きやすさを感じられるだけではなく、意見のやりとりから新しいアイディアが生まれる環境も整います。

積極的なコミュニケーションをサポートするには、働く人の意識の変革とともに、環境づくりも重要です。デスクの配置や休憩室の設置などに工夫を凝らし、またテレワーク下であっても交流できる機会を作りましょう。

2.互いに感謝を伝える

会社で日々業務に取り組むうちに、お互いに感謝の気持ちが薄らいでしまうことがあります。感謝するまでもない仕事と思えるほど、従業員の経験やスキルが向上したからという理由もあるでしょう。しかし、人は誰でも他人から認められたいという承認欲求をもっているものです。

仕事をやり遂げたことを正しく評価し、日頃から感謝を伝え合う文化ができれば、従業員幸福度の向上に役立ちます。現場に浸透させるには、まず経営陣が率先して行うことが効果的です。

感謝を口にする文化を築くのが難しいと感じたら、感謝の気持ちを伝えるサンクスカードを導入するなど、負担の少ない方法を検討するのもおすすめです。

3.従業員の成長をサポートする

個人によって考え方は異なるかもしれませんが、働きながら自らのスキルアップを目指す従業員は多いでしょう。こうした向上心のある従業員に対して毎日ルーティンワークばかりを与え、学ぶ機会を提供しなければ、当然ながら幸福度は下がってしまいます。

昇給や昇進などで従業員を正当に評価していると考える経営者もいるでしょう。しかし、自らの成長を感じることで得られる満足度は、数値による評価で得られる満足とは別物です。

仕事に対するやりがいを見出してもらうためにも、研修制度を設ける、定期的なカウンセリングを行うなど、従業員の希望に応じた成長をサポートするよう努めましょう。

「こうありたい」と望む自分を実現した従業員は、自信をもって仕事にまい進し、会社の業績を支えてくれるはずです。

4.組織の理念を共有する

従業員満足度に少なからず影響を与えるのが企業理念です。

企業理念とは会社が経済活動を行う礎となる考え方を示したものです。経営者がどれだけ企業理念を大切にしていても、全従業員に浸透していなければ会社には一体感が生まれません。また、理念を理解できていない従業員が会社の経営判断に納得できず、不満を感じる原因にもなりかねません。

企業理念を全従業員に浸透させるためには、経営者が積極的に説明する、普段から理念が目につくように工夫する、価値観を共有する場を設けるなどの施策がおすすめです。

ほかにも、企業理念に基づいた行動指針を明文化したクレドを社員に携帯させるのもいいでしょう。社員証にクレドカードを一体化させるなどすれば、従業員のクレドへの意識が高まります。

まだ明確な経営理念やクレドを策定していない、すでに一定の企業風土が完成されていて浸透させる方法がわからないなど、経営者としてお悩みならTOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社へぜひお任せください。

経営者の想いを形にする企業理念(経営理念)の作成はもちろん、従業員への浸透や実践への落とし込みまでトータルでサポートいたします。

従業員幸福度を高めるには、従業員とその家族の幸せを最優先に考えることが何よりも大切です。利益の追求といった会社の経営目標から離れるように見えても、結果として従業員の幸せが会社の成長につながるということを理解しましょう。

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まとめ

従業員幸福度はまだ新しい概念で、従業員の主観が指標となっていることから、どのように扱うべきか難しく感じられる経営者もいるでしょう。さまざまな取り組み方法がありますが、根底にもつべき考え方は、いかに従業員とその家族の幸せを優先できるかです。

従業員の幸せと企業としての利益追求は、一見相反する目標のように感じられるかもしれません。しかし、従業員が働くことに幸せを感じられるほど、仕事へのモチベーションが上がり、会社の業績アップにもつながります。

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