評価面談を成功させるためのコツ|面談の目的やよくある失敗についても解説

従業員の人事評価を行ううえで多くの会社が「評価面談」を行っています。 評価面談は部下、ひいては組織の成長において重要な役 …


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監修 藤間 秋男 -AKIO TOMA-
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

200名の専門家を擁する「TOMAコンサルタンツグループ」の創業者。100年企業創りをライフワークとし、後継者問題に悩む中小企業に事業承継の支援を行う。自身の経営者としての経験を交えた、熱意あふれるセミナーでは、「あきらめない、しぶとい経営」を経営者に説く。

従業員の人事評価を行ううえで多くの会社が「評価面談」を行っています。

評価面談は部下、ひいては組織の成長において重要な役割を担います。
ポイントを押さえて実施し、面談当事者や会社にとってできるだけ有意義な機会にすることが大切です。

この記事では、評価面談の概要や役割、そしてポイントなどについて解説します。

評価面談とは    

評価面談とは、対象となる期間における従業員の評価を行うために実施する面談のことを指します。
上司と部下が一対一で話し合うことを基本とし、四半期~一年に一度程度のペースで実施するのが一般的です。
上司は仕事の成果について部下から話を聞き、フィードバックと対象期間における評価を行います。
人事評価の制度として、多くの国内企業で取り入れられています。

評価面談の役割と目的

評価面談には、以下のような3つの役割と目的があります。

【主な役割・目的】
● 人材育成
● 動機形成
● 人事考課

評価面談は、従業員の評価だけでなく育成やモチベーションアップの場でもあります。従業員の働きぶりを振り返って査定するだけでなく、今後の行動目標を策定したり、上司として評価している点はしっかりと伝えたりすることが重要でしょう。これまでを振り返り、これからにしっかりと生かすことが重要です。

監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

人材育成

人材育成は、評価面談の一番の目的です。
良かった点と課題点を洗い出し、今後の取り組みを策定します。良いところをさらに伸ばし、課題については改善できるように指導を行いましょう。

自分自身の課題について、本人だけで分析を行うと、主観に寄りすぎてずれが生じる恐れがあります。
客観的な視点から、課題を明確に伝えることが大切です。

また、改善点を部下が前向きに受け止められるよう、伝え方には注意が必要です。

動機形成            

評価面談は、従業員にとってモチベーションアップの場にもなります。

目の前の業務に追われる日々を送っていると、働く意味を認識しづらくなってしまうものです。
そこで評価面談の際に、従業員の日ごろの働きに対して評価していることや、業務に励むことで将来どのような展望を期待できるのかを伝えます。

また、正当な評価のうえで処遇を行うことでも、従業員のモチベーションは高まるでしょう。

人事考課

評価面談には、各従業員の成果や能力を査定する、人事考課の役割もあります。

公正に処遇を決定するためには、人事考課は社内の評価制度に基づいて行われなくてはなりません。
上述したように、正当な評価と処遇を担保することは従業員のモチベーション形成にも効果的です。

評価面談の評価の仕組み

評価面談における評価には、主に以下3つの仕組みがあります。

【主な仕組み】
● 成果評価
● 情意評価
● 能力評価

成果評価

期間内における、従業員の業務成果を元に評価する仕組みです。
あらかじめそれぞれの従業員が目標を定めておき、期間終了時点における達成度を確認します。

成果評価においては、数字によって客観的に評価することが重要です。
また、成果だけでなくそこに至るまでのプロセスについても評価の対象とするケースもあります。

情意評価

従業員の業務に対する意欲や、勤務態度を評価する仕組みです。
職場の規律を守っているか、他の従業員と協調して業務に取り組めているかなどを評価します。

周囲への影響や仕事への責任感なども、一般的には評価の対象です。
いずれも数値に表すことが難しいため、評価にあたっては不公平だと感じられないように配慮しなくてはなりません。

能力評価

従業員のスキルや知識を査定基準とする仕組みです。
高いスキルを活かし、難度の高い業務をこなすことで評価が上がります。
また、単に能力の高低だけを査定するのではなく、キャリアに見合った能力が身についているかも基準として評価します。

評価面談の進め方とは

評価面談の進め方としては、以下を基本とします。

【進め方の基本】
● 必要に応じて評価に関係のない話もする
● 部下から自己評価を聞く
● 基準を示しながら部下の評価を伝える

あえて評価に関係のない話をする

面談では、時には評価に関係のない話をすることもあります。
部下が本心を話すことができるように、場を和ませることも大切だからです。
特に面談の開始時には、緊張を和らげるために評価とは関係のない話をしてから徐々に本題に入っていくことをおすすめします。

無関係な話をするのは時間がもったいないと考える方もいるかもしれません。しかしいきなり本題から入るよりも、部下の緊張をほぐしたうえで話をする方が、有意義な面談にできる可能性が高いです。

部下から自己評価を聞く            

部下から自己評価を聞くことも、評価面談においては大切なポイントです。
部下の自己評価と上司の評価を比較し、違いについて説明を行います。

その際、上司からの評価を先に伝えるのではなく自己評価を先に聞くことが大切です。
上司の評価を先に伝えてしまうと、自己評価を話しづらくなったり、反発的な気持ちになったりするためです。

あらかじめ自己評価を共有する仕組みがあれば、よりスムーズに進められるでしょう。

基準を示しながら部下の評価を伝える

上司からの評価を伝える際には、明確な基準を示すことが大切です。
部下が納得しやすいように、期間中の勤務態度や目標に対する達成率など明確に基準を示しながら伝えましょう。

もし、自己評価と上司の評価に差があるのであれば、理由を説明し差を埋めていくことが大切です。
そして企業の経営方針や現在の組織目標について説明したうえで、部下の個人目標を設定します。

評価面談でよくある失敗

評価面談で起こりやすい失敗は、以下のようなものが考えられます。

【よくある失敗例】
● 余裕をもった面談ができていない
● 部下が評価に納得できていない
● モチベーション向上や成長につながらない

余裕をもった面談ができていない

余裕を持って臨めないと、効果的な面談にはなかなかなりません。
面談のために確保した時間が短ければ十分な話ができず、事前の準備に時間をかけられなければ効率的に話を進められないためです。

評価面談の時期は年度末や期末、四半期と重なることが多いことからも、スケジュールには余裕を持って臨まなくてはいけません。

部下が評価に納得できていない

よくある失敗例としては、部下が評価に納得できていないことも挙げられます。
評価に納得できないと部下は上司を信頼できなくなり、モチベーションが下がる恐れもあります。

部下の話を聞かず一方的に話をすると納得してもらいにくいため、注意しなくてはなりません。
また、明確な基準に基づかずに上司の主観で評価した場合も、納得してもらえない可能性があります。

モチベーション向上や成長につながらない

評価面談が、モチベーション向上や成長につながらないケースもあります。
部下の至らなかった部分を叱責したり、部下の話をさえぎったりすることに終始してしまっては、動機形成や人材教育にはつながりません。

また、高圧的な態度で臨んでいると、パワハラとみなされる可能性もあるでしょう。上司はなるべくフラットに、前向きになれる伝え方を意識することが大切です。

評価面談を進める際のコツ

評価面談を進める際には、以下のポイントを押さえることが重要です。

【進行のコツ】
● 静かな場所で実施する
● 質問を想定しておく
● 相手の話を最後まで聞く
● 目標設定後もフォローする

ただ面談の場を設ければ良いのではなく、少しでも効果的な機会になるように最大限工夫や配慮をすることが大切です。事前の準備を万全に行い、面談中はしっかりと相手から考えを引き出すことに努めましょう。また面談が終わった後も気を抜かずに、部下の目標達成に向けたフォローの継続が求められます。

監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

面談は静かな場所で

面談は、静かな場所で行いましょう。
周りに人がいる状況では、部下の本音を引き出しにくいためです。
さらに、個人の評価は個人情報であることから、他の職場メンバーに聞かれないようにすることも求められます。

また、面談の途中で話をさえぎられることも、避けなくてはいけません。

面談時間が長くなることも想定し、落ち着いて話せるように時間と場所を確保しておきましょう。

質問を想定しておく

面談に臨む際には、あらかじめ想定される質問とその回答をシミュレーションしておくのがおすすめです。
部下からの質問に対して、できる限り納得できるような回答をしないと不満につながってしまう恐れがあるためです。

特に自己評価と上司の評価に差がありそうな部分については、説得力のある回答を用意しておきましょう。
また、あらかじめ部下に自己評価をまとめて置いてもらうと、事前に確認して回答を準備できます。

相手の話を最後まで聞く

相手の話は、しっかりと最後まで聞くようにしましょう。
話をさえぎられると、「話を聞いてくれない」「一方的だ」という印象になり、不満につながってしまうためです。

特に上司からの評価は、部下の自己評価を聞いたあとに伝えるようにします。
部下が自分の仕事ぶりについてどう思っているのかをしっかりと聞き、そのうえでこちらの評価を伝えた方が納得してもらいやすいでしょう。

目標設定後もフォローする

評価面談ではしっかりと目標設定について話をします。
上司の意見だけでなく部下の意見も引き出し、双方が納得できるように目標設定を行いましょう。

また、面談が終わったあとはフォローを継続することも大切です。
業務上必要な助言はもちろん、モチベーションの管理も継続的に行います。
評価面談で設定した目標を忘れないように、部下任せにしないように上司として気を配っていくべきです。

まとめ

評価面談とは、従業員の評価のために実施する面談のことです。
ただし評価面談は人事考課だけを目的にしたものではなく、人材育成や動機の形成の場としても重要な役割を担っているため、評価面談はただ実施するというだけでは不十分です。

できるだけ効果的な機会になるように準備段階から面談中、そして実施後に至るまで工夫や配慮を怠らないことが求められます。よくある失敗例や成功のポイントをあらかじめ理解しておき、部下にとって、組織にとって有意義な面談にしましょう。