天職に転職はできる?|適職との違いや天職の見つけ方を解説

天職とは、心からやりがいを感じられ、人生をかけて続けたいと思える仕事のことです。現状の仕事に不満を感じ、自分にとっての天 …


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監修 藤間 秋男 -AKIO TOMA-
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

200名の専門家を擁する「TOMAコンサルタンツグループ」の創業者。100年企業創りをライフワークとし、後継者問題に悩む中小企業に事業承継の支援を行う。自身の経営者としての経験を交えた、熱意あふれるセミナーでは、「あきらめない、しぶとい経営」を経営者に説く。

天職とは、心からやりがいを感じられ、人生をかけて続けたいと思える仕事のことです。
現状の仕事に不満を感じ、自分にとっての天職を探している方は多いのではないでしょうか。

この記事では天職の見つけ方を解説します。自分に合う転職先を探したいと考えている方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

天職とは?    

天職とは、まるで天から授かったかのように自分に合う仕事という意味です。
例えば「大きなやりがいを感じ、喜びを得られる仕事」「充足感があり、人生をかけて続けていきたいと思える仕事」とも言えるでしょう。

適職との違い

適職とは、自分の能力に適した仕事のことです。天職も自分に合う仕事であることは変わりませんが、適職との違いは「やりがいを感じられるか」「心から好きだと思えるか」というところにあります。

例えば、自分の能力を発揮して高い収入を得られる仕事であれば、たとえやりがいを感じられなくても「これは自分にとっての適職だ」と言えるでしょう。
一方で天職は、収入にかかわらず、心から充足感を得ることができ、いつまでも続けていきたいと思える仕事です。

すなわち、適職は自分の能力、天職は仕事に対する自分の気持ちに重点を置いています。仕事に対してネガティブな感情を抱いているのであれば、たとえ自分の能力にマッチした業務内容でも天職ではないと考えられます。

天職における3つの特徴

日々の仕事を楽しいと思えるようになるには、天職を見つけることが大切です。
ここからは、天職の特徴について紹介します。

● 仕事や労働条件に不満を感じにくい
● 仕事へのやりがいを感じる
● 自然に仕事の目標を持てる

天職の特徴を把握しておけば、どのような仕事が自分にとっての天職であるか判断しやすくなります。それぞれの詳細を確認して、天職探しに役立ててください。

1.仕事や労働条件に不満を感じにくい

仕事に不満を感じず、ストレスを抱え込むことがないのであれば天職である可能性が高いです。また、報酬や休日の取り方などの労働条件があまり気にならないのも、天職に就いている人の特徴として挙げられます。

心から楽しいと思える天職なら、仕事をすることによって充足感を得られるため、労働条件を理由に「仕事を辞めたい」と思うことは稀です。一方で、仕事の内容にストレスを感じ、労働条件にも不満を抱えているのであれば、天職ではないと考えられます。

2.仕事へのやりがいを感じる

業務にやりがいがあり「仕事が自分の人生を輝かせている」と感じられることも天職のポイントです。天職に就くことができれば毎日に充実感があり、1日の終わりには「今日も楽しく仕事ができた」と思えるでしょう。また、十分な収入を得て働く必要がなくなっても、人生最後の日まで仕事を続けていきたいと思える場合も天職だといえます。

3.自然に仕事の目標を持てる

自ら目標を立てて邁進できる仕事も天職と捉えられます。「自分の能力をもっと高めたい」「さらに知識を蓄えたい」など自分を高めるための目標を設定し、モチベーションを維持できる状態になれるのが天職の特徴です。

天職が見つからない人の6つの特徴

天職に就けば日々の仕事も楽しく続けられるようになりますが、なかなか天職が見つからない人も少なくありません。天職が見つからない人の特徴としては「理想が高すぎる」「周囲のイメージや労働条件を気にしすぎている」といったことが挙げられます。具体的な特徴を確認し、自分に当てはまるところがないか確認してみてください。

天職が見つからない人の特徴を踏まえたうえで、今までの仕事探しの方法を振り返ってみましょう。天職を探すために避けておきたいポイントを確認し、自分を客観視しながら仕事を探すことが大切です。

監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

1.天職への理想が高すぎる

天職への理想が高く、条件を厳しく設定しすぎると天職を見つけるのが困難になる場合があります。
「少しでもストレスを感じるなら天職ではない」「天職ならいつでも大きな充足感を得られる」といった固定観念には注意が必要です。たとえ天職でも常に楽しく仕事ができるわけではなく、時には辛いと感じる場合もあることも忘れないようにしましょう。

2.周りからの評判やイメージを気にしている

周囲の評判を気にしすぎると、自分の価値観がブレて天職を見つけられなくなる可能性があります。
「この職種に就いて、家族や友人はどう思うか」といったことを気にしてばかりでは、心から自分が好きだと思える仕事と出会うのは困難です。周りの評判を意識しすぎて自分に合わない仕事に就いてしまう場合もあるため、注意してください。

3.給与などの労働条件で転職先を探している

給与や残業時間、休日などの労働条件を優先しているのも天職が見つからない人の特徴です。
たとえ自分が設定した条件にマッチしても、仕事の内容にやりがいを感じられないのであれば、生涯をかけて続けていきたいとは思えないでしょう。条件ばかりを重視せず、仕事の実態もきちんと確認する必要があります。

4.業務内容を把握せずに憧れだけで仕事を選んでいる

憧れている職業が必ずしも天職にはならないことも、気を付けておきたいポイントです。

例えば「映画作りに憧れているから映画制作会社に就職したい」と考えている場合、実際の業務内容を把握しないままだと、イメージとの大きな乖離が出てくる可能性があります。
映画制作と一口にいってもロケ地や食事の手配、キャスティングなど業務内容は多種多様です。

イメージした業務内容との差が大きいほど「思っていたのと違う」と感じる可能性は高まります。そのため、憧れだけで仕事を選ぶのではなく、業務内容もきちんと確認することが重要です。

5.苦手なことを乗り越えようとしている

真面目な人ほど「苦手なことを乗り越えて、さらに自分を高めよう」と考えることが多いですが、苦手なことを無理に頑張ったとしても、期待できる成果はそれほど大きくありません。苦手克服ばかりに時間をかけるより、自分が得意な分野から探した方が天職を見つけられる確率は高いでしょう。

6.自分の市場価値を正確に把握できていない

市場価値とは、転職市場での需要の高さを表すものです。市場価値を決める要素は、能力や経験、専門性などが挙げられます。
自分の市場価値を正確に把握できていないと、能力や経験に見合わない仕事に就いてしまう可能性が高いです。そのため、天職を探す際には自分の価値を客観的に確認する必要もあります。

天職を見つける方法7つ

ここからは、天職を見つけるための7つの方法を紹介します。各ステップを意識しながら自分にとっての天職を見つけてみましょう。

1.自己分析をしっかりする

天職を見つけるには、どのような仕事に対して大きなやりがいや喜びを感じられるのか自己分析することが大切です。自分自身を深掘りする際に、以下のような項目を書き出してみてください。

● 好きなこと/嫌いなこと
● 得意なこと/不得意なこと
● 人生で重要視していること
● 絶対に避けたいこと

頭で漠然と考えるより、実際に書き出した方が自分自身を深く分析できるようになります。自分のやりがいや喜びをはっきりさせることができれば、本当に楽しいと思える仕事も見つけやすくなるでしょう。

2.自分の感覚や価値観を大切にする

前述の通り、周りの評判やイメージを気にしていると、自分が本当に何をやりたいのかわからなくなります。そのため、まずは自分の感覚を重視することも忘れないようにしてください。
価値観を基準に、心から魅力を感じられる仕事を探してみましょう。

3.興味がある仕事を整理する

給与などの労働条件より「自分が興味を持てるか」ということを意識して仕事を探すのも重要なポイントです。そのために、興味を持てる仕事の整理方法を確認しましょう。

1.「楽しそう」「ワクワクしそう」といった簡単なイメージでかまわないので、興味を感じる仕事をピックアップする
2.選んだ仕事を業界や職種で分類・整理する
3.整理した仕事を「実現性×興味の大きさ」の視点で優先ランクをつける

最初に興味のある仕事を集めたうえで分類を行い、ランク付けをすることで自分がどのような仕事を求めているのか明確になります。最終的に上位にランクされた仕事から天職を探してみてください。

4.自分がやりたいことや実現したいことを洗い出す

やりがいのある天職を見つけるには、自分がやりたいこと・実現したいことを明確にする必要があります。給与や年齢などは考慮に入れず、素直にやりたいと思えることを選んでいきましょう。

逆にやりたくないことをリストアップすることで、やりたいことが見えてくる場合もあります。また、過去に興味があったもののチャレンジできずにいたことや、気持ちが高揚することを探すのもおすすめです。

5.将来のキャリアプランを考える

将来のキャリアプランを立てたうえで、天職を探す方法もあります。キャリアプランを立てる流れは、以下の通りです。

● 人生のゴールや働く目的など、仕事の指標となるものを明らかにする
● 「できること」「やりたいこと」を軸に、どのようなキャリアを形成したいのか考える
● キャリア実現のための目標を設定する
● 目標をタスク化したうえで期限や優先度を決め、キャリアプランを立てる

キャリアプランのメリットは、今後の方向性がはっきりすることです。キャリアの軸があれば自分が挑戦すべき仕事も明らかになり、天職が見つかる可能性も広がるでしょう。

6.経験を積んで視野を広げてみる

現時点で「仕事にやりがいを感じてない」「向いている仕事に巡り会えていない」という場合は、転職で視野を広げるのも1つの方法です。視野を広げるために必ずしも転職しなければならないわけではありませんが、転職で違う分野に挑戦することで新たな世界が広がることもあります。
また、事前に立てたキャリアプランでさまざまな経験を積むことが必要と判断した場合も、積極的に違う分野に飛び込んでみるのがおすすめです。

7.基準を明確にする

仕事を理解し、魅力を感じられるようになるまでは時間がかかることもあります。そのため「2年間働いてやりがいを持てるか判断する」といったように、判断基準を明確にすることも重要です。一定の区切りを作っておくことで、天職だと感じられないのにダラダラと同じ場所で働き続けるのを防げるでしょう。

天職に関する4つの注意点

「高収入を得られない」「厳しい労働基準が設けられている」など、天職には気を付けておきたいポイントもいくつかあります。ここからは主な注意点について紹介します。

天職にこだわり過ぎると、収入や労働環境の面で負担を抱える可能性があります。やりがいを感じながら無理なく働き続けるためには、バランスを考えて転職先を探すことも大切です。

監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士

1.天職が必ずしも高収入とは限らない

天職を見つけたとしても、職種や業界によっては平均より給与が低い場合があります。
例えば、未経験でプログラマーとして就職した場合、経験がないという理由で前職より年収が下がる可能性があるでしょう。
しかし、やりがいを持って経験を積んでいけば収入が上がることも多いため、早々に諦めないようにしてください。

2.天職の労働条件が厳しいケースもある

いくら喜びや充足感が大きい天職でも、過度に厳しい労働条件下で無理をしていると健康に悪影響を与える可能性が高いです。従業員のやりがいを逆手にとって不利な労働条件を強いる企業もあるので、注意してください。

3.好きな仕事内容でも天職とは限らない

好きなことが天職になるとは限らない点にも気を付けましょう。
例えば、スポーツが得意な人がコーチになったものの、実は天職ではないと後から気づくケースもあります。なぜなら、スポーツをプレイすることに喜びを感じられても、他人に教えることにやりがいを感じるとは限らないからです。

好きなこと=天職とは考えず、仕事内容を冷静に判断する必要があります。

4.天職に就けても成功するとは限らない

やりがいを持って行った仕事が必ずしも年収アップやキャリアアップに繋がらない点も注意が必要です。
例えば、お客様対応の仕事を天職だと感じ、実際にお客様から高評価を得たとしても、企業体制によっては適正に評価されないこともあります。成功を手にするためには、社内での人間関係など仕事以外の面も意識して行動することが重要です。

まとめ

天職を見つけるためには、自己分析を行い、キャリアプランを組み立てるのがおすすめです。自分にぴったりな天職が見つかれば、日々の仕事が楽しくなるでしょう。
ただし、たとえ天職でも収入や労働環境の面で苦労することもあるため、総合的なバランスを取りながら転職先を探すことが大切です。理想の仕事に就けるよう、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

哲学者・森信三氏の言葉
「人はこの世に生まれ落ちた瞬間、全員が天から封書をもらって生まれてくる」

監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士