監修 藤間 秋男 -AKIO TOMA-
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士
200名の専門家を擁する「TOMAコンサルタンツグループ」の創業者。100年企業創りをライフワークとし、後継者問題に悩む中小企業に事業承継の支援を行う。自身の経営者としての経験を交えた、熱意あふれるセミナーでは、「あきらめない、しぶとい経営」を経営者に説く。
職場では、円滑なコミュニケーションや情報の共有といった観点から雑談が必要だと考えられています。しかし、職場で上手く雑談ができないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 この記事では職場における雑談の効果やコツなどについて解説します。気軽な雑談を通して職場で良好な人間関係を構築したいと考えている方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
職場での雑談は必要?
職場での雑談は、円滑なコミュニケーションに欠かせないものです。たとえ仕事に関わりのないことでも話せるような関係を作ることで、スムーズな情報共有につなげられます。 また、気分転換という意味でも職場での雑談は重要です。仕事で行き詰まったときに気軽に雑談を楽しめる相手がいれば、適度なリフレッシュになるでしょう。
「職場は仕事だけをする場所」「雑談は不要」という考えの方もいますが、コミュニケーションのない職場はギクシャクとした雰囲気になり、仕事がやりづらい状態になることも少なくありません。一見すると不要に思える雑談も、実は仕事によい影響を与えるコミュニケーションの潤滑油になります。
監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士
職場で雑談をすることの効果
職場での雑談は、主に以下のような効果を期待できます。
- 社員同士の関係性を深める
- 日頃の報告・連絡・相談が円滑になる
- 知識の取得や問題解決につながる
何気ない雑談が、仕事をしやすい職場の雰囲気を作るのです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
社員同士の関係性を深める
気軽な雑談は社員同士の警戒心を和らげ、関係性を深めることができます。
同じチームになって間もない同僚や新入社員など、まだ関係性を築けていない相手に対してはお互いに緊張したり、警戒心を持ったりすることも珍しくありません。
「職場の印象はどうですか?」「明日から雨になるみたいですね」など、簡単な雑談からコミュニケーションの一歩を踏み出すのがおすすめです。
信頼関係を深めたいと考えている場合にも雑談が役立ちます。
相手と会った際に、挨拶だけでなく簡単な雑談も交えるようにして会話を重ねていけば、徐々に関係を深められるでしょう。気軽に雑談ができる仲になれば、仕事の悩みや相談も持ちかけやすくなり、信頼関係を構築していくことが可能になります。
日頃の報告・連絡・相談が円滑になる
雑談が日常化すれば、普段の会話の中で仕事に関連した報告や連絡、相談を行えるようになります。
日頃ほとんど話さない上司に対しては、部下は緊張して話しかけづらいと感じることもあるでしょう。
上司との雑談が当たり前の関係性を築けていれば、会話のハードルが下がり、部下が報告や相談を持ちかけやすくなります。
上司側から見た場合、部下から相談を持ちかけてもらうことで相手の現状を把握し、今後の指導方針を決める手助けにもなります。
報告・連絡・相談が上手くいかないと、小さなミスが大きなトラブルに発展するリスクも高くなってしまうでしょう。雑談しやすい雰囲気作りは、スムーズな業務遂行に欠かせないものだと言えます。
知識の取得や問題解決につながる
職場での雑談から、業務改善や問題解決へのヒントを得られる場合があります。
コミュニケーションが乏しい職場は、問題が起きた場合、発覚から改善に至るまでに時間がかかり、社員の不満が溜まることも少なくありません。
立場に関わらず雑談ができる職場であれば、上司にも気軽に本音の意見を伝えられるため、業務改善するべきポイントを見つけ出しやすくなります。
また、お互いのアイデアや知識を共有できるのも雑談のよいところです。かしこまった会議よりも、フランクな会話の方が柔軟なアイデアが浮かぶ可能性があります。会議前のちょっとした雑談がヒントとなり、会議での意見交換が活発化する場合もあるでしょう。
このように、仕事に関係がないように思える雑談でも、意外なところで新しい発見につながることが多いのです。ぜひ、職場での円滑なコミュニケーションを意識してみてください。
職場での雑談のコツ
職場で雑談を楽しむためには、コツを押さえておくことが大切です。
雑談が苦手だと感じている場合も、コツを確認しておけば相手とコミュニケーションを取りやすくなります。
ここからは主な雑談のコツを紹介しますので、職場で取り入れてみてください。
業務と雑談のメリハリを大切にする
業務と雑談に線引きをつけ、メリハリのある対応を意識することが重要です。
職場における雑談の目的は、社員同士のコミュニケーションを活発化し、業務に良好な影響を与えることにあります。ダラダラと雑談を続け、業務に支障をきたしてしまっては意味がありません。
適度なところで雑談を切り上げ、本来の業務に戻る必要があります。
また、忙しい相手を雑談で引き留め、迷惑をかけてしまうことにも注意が必要です。不要な雑談ばかり続けていると周りのイメージが悪化し、職場での雑談を控えなければならない事態に陥る可能性もあります。
お昼休憩中など、雑談をしても業務に影響の出ないタイミングを見計らい、長々とした会話にならないように気を付けましょう。
相手の話に共感する
雑談では、お互いに共感し合うことが重要なポイントです。
例えば「最近は業務が重なって忙しい」「取引先から褒められることがあって嬉しかった」など、相手が喜怒哀楽を含んだ話を振ってきた場合は、「大変ですね。疲れていませんか?」「あの取引先から褒められるなんて、さすが◯◯さん!」という風に、共感を示すと好印象を与えやすくなります。
もし、相手と同じような境遇にあった場合は、そのときの話を通じて共感を示すのも1つの方法です。
雑談は「自分の話を聞いてもらいたい」という気持ちから始まるもので、相手からの意見を求めていない場合が多いといわれています。
まずは相手の気持ちを受け止め、共感する姿勢を見せるとスムーズに会話を広げられるでしょう。
結論を求めすぎない
雑談は他愛のない話でお互いの距離を縮めるものであり、必ずしも結論を必要とするものではありません。
例えば「最近疲れている」といっている相手に対して「効率的に業務を行えていないからでは?」と早急な結論を出すと、相手を勝手に判定し、上から目線で会話をする人だという印象を与えます。
また、上司と部下の会話で結論を求めすぎると、上司の意見が正しいという着地点に至りやすく、部下のストレスが溜まる場合もあるでしょう。
このように、無理に結論づけようとすると相手に不快感を与え「雑談しづらい」と思われる可能性が高いです。雑談はあくまでも何気ない会話を楽しむものとして捉えてみてください。
プライベートに介入しすぎない
職場での雑談はあくまでも仕事の延長線上であり、プライベートの付き合いではありません。相手との距離感を間違えると、セクハラやパワハラと捉えられるリスクもあります。
もし、相手が自らプライベートの話をしてくるのなら、共感を示したり、質問をしたりしても問題はありません。
相手が話したいこと・話したくないことを見極めるようにすれば、お互いにとって心地よい雑談になるでしょう。
雑談はリモートワーク・テレワークでも重要
近年はリモートワーク・テレワークの普及が顕著ですが、相手が遠方にいる場合も雑談は重要です。
雑談が全くない状態だと「相手の考えが見えず、相談するきっかけを掴めない」「気軽に情報共有ができず、業務の効率が下がる」といった問題が出る可能性があります。
リモートワークでも雑談をするなら、何かしらのきっかけが必要です。
例えば、ビデオ会議用ツールで気軽にコミュニケーションを取れる時間を設定するとよいでしょう。「ランチ会」「コーヒータイム」など1日の中で休憩を取りやすい時間帯に雑談の機会をセッティングし、ビデオ会議用ツールに社員が集まるようにすれば、業務に影響を与えることなく会話を楽しむ時間を取れます。
チャットツールで雑談専用のスレッドを作り、他愛のない会話を楽しむのもおすすめです。離れて仕事をしているからこそ、オフィスで働くときよりも積極的に雑談の機会を作る工夫が必要です。コミュニケーションが活発になれば、情報共有や意思疎通で困難を感じることも少なくなるでしょう。
監修 藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士 税理士
すぐに実践しやすい雑談の話題
職場で雑談を楽しむには、話題のネタを考えておくことも大切です。こちらではおすすめの話題を紹介しますので、職場で役立ててみてください。
仕事の話
「最近、仕事どう?」という風に、軽い雰囲気で話しかければ、お互い気負わずに仕事の話ができます。ただし、曖昧な問いかけだと相手も返答に困ることがあるため、具体的な内容を盛り込んで話しかけるのがおすすめです。
例えば「最近、退社が遅いみたいだけど大丈夫?」「◯◯さんは確か△△プロジェクトにも携わっていたよね」など、相手の状況を加味したうえで仕事の話を振ると返答しやすいでしょう。雑談の中で仕事の話をすれば、悩みや新しいアイデアなどを気軽に共有できるようになります。
相手の好きなことの話
スポーツが好きな人ならスポーツの話題、食べ歩きが好きな人なら人気飲食店の話題など、相手の好きなことや趣味を盛り込んだ話だと、スムーズに雑談を楽しめるようになります。相手がどのようなことが好きなのか事前にリサーチしておくとよいでしょう。
もし、周りの人から聞くのが難しいときは本人に「◯◯さんは、どんな趣味があるんですか?」と聞いてみてください。自分の好きなことなら相手も話しやすく、会話が弾むはずです。
地元や出身地の話
地元や出身地の話は、話題が広がりやすいネタの1つです。
特に地元が同じである場合は、地元ネタで盛り上がれるでしょう。相手の地元に馴染みがなくても「地元でおすすめの食べ物はありますか?」「名産は何ですか?」など、地元を起点に質問を広げられます。
ただし、あまりプライベートに踏み込みすぎず、相手が答えやすい範囲で質問をすることが大切です。
まとめ
気軽に雑談ができる職場は、立場に関わらず報告や相談をしやすく、新しいアイデアや知識の共有も活発に行われていることが多いです。お互いに構えることなく会話を楽しめる環境を作れば、業務にもよい影響を与えられるでしょう。雑談のポイントを踏まえたうえで、職場での円滑なコミュニケーションにつなげてみませんか。