赤字や債務超過でも事業承継は可能!債務を解消して引き継ぐには?

赤字の会社の経営者が事業承継を考えた際に気になるのが、赤字や債務超過でも事業承継は可能かということです。実は、赤字や債務超過でも事業承継はできます。 ここでは、赤字や債務超過がある場合の事業承継について解説します。


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赤字や債務超過でも事業承継はできる?

まず、会社が赤字や債務超過であっても事業承継ができるのかどうかについて詳しく見ていきましょう。

赤字や債務超過の企業でも事業承継は可能

会社が赤字や債務超過であったとしても、後継者に引き継ぐこと自体はできます。ただし、赤字の会社を引き継ぐということは、後継者にとっていわばマイナスからのスタートとなる可能性も高いため、引き継ぎたくないと考える後継者も多いでしょう。

そのため、今後黒字にできるかの判断が重要となります。今は赤字や債務超過であっても、事業承継した後で黒字になる可能性が高いのであれば、事業承継は成功するでしょう。

赤字の会社が事業承継をスムーズに行うためには、後継者を育てたうえで経営にバトンタッチすることが大切です。赤字解消に向けた取り組みを後継者とともに行うことで、事業承継後に黒字にできるようになります。

後継者への承継が難しい場合はM&Aも

赤字や債務超過の会社の場合、後継者が事業を承継することを望まなかったり、そもそも後継者がいなかったりする場合があります。従業員が優秀であるなど、会社自体には魅力はあるが、事業承継を望む後継者が現れない場合は、M&Aも考えると良いでしょう。

M&Aにはさまざまな方法がありますが、やり方によっては会社が解体されてしまうこともあります。そのため、まずは親族などに事業承継することを考え、M&Aはあくまで最終手段として考えましょう。

赤字や債務超過を解消して事業承継を行うには?

赤字の会社が事業承継を成功させるためには、赤字や債務超過を解消していく必要があります。

ここでは、赤字や債務超過を解消して事業承継を行う方法について見ていきましょう。

増資を行う

債務超過を解消する方法のひとつに「増資」があります。増資とは、資本金を増やすことです。

増資では、ベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受ける対価として新株を発行します。出資を受け、資本金を増やすことで、現金預金が増加します。現金預金が増えるということは、会社がもっている財産(資産)が増えるということになるため、債務超過の状況を脱することができるのです。

ただし、ベンチャーキャピタルや個人投資家は、無条件で出資をするわけではありません。出資をすることで、自分たちに多くのリターンがあるかどうかを吟味し、リターンがあると判断した場合に出資します。つまり、その会社に将来性があるかどうかで、出資をするかどうかを決めます。将来性の少ない赤字の企業は増資を受けることが難しくなるので、注意が必要です。

債務免除を受ける

債務免除を受けることも、会社の債務超過の状態を解消する方法のひとつです。債権者から債権(会社側の立場では債務)の返済を免除してもらいます。債務免除を受けることで、会社の債務が減少し、債務超過の状態をなくします。

債権者にとって債務免除とは、債権を放棄することです。お金を借りているのが自社の経営者であれば、債務免除を受けることは比較的簡単といえるでしょう。しかし、金融機関や知人など第三者からの債務の場合、債権者にとって債務免除をするメリットは少ないことがほとんどです。それどころか債権者側のリスクが大きいため、認めてもらうことは難しくなります。

DES(デット・エクイティ・スワップ)を行う

上記ふたつに比べるとあまり知られてはいませんが、会社の債務超過の状態を解消する方法として「DES(デット・エクイティ・スワップ)」があります。DESとは簡単にいうと、債務を株式へ転換することです。

会社の資産に対し、超過している債務を株式に転換することで債務を減少させ、債務超過の状態をなくします。債権者側の立場に立つと債権が減少しますが、その分の株式を取得することができます。

DESは、資金を使わず債務の額を減らすのに有効的な方法です。ただし、債権者が株主となることで、会社経営に干渉する可能性があります。

利益を出せる経営体質に改善する

ここまで、債務超過の状況を解消するための方法を見てきましたが、赤字と債務超過の両方を解消するために、もっとも効果的な方法は「利益を出せる経営体質に改善する」ことです。利益を多く出せるようになれば、赤字を解消することができます。また、手元に残る資金も増えるので、その資金で債務を返済することも可能です。このように、利益を多く出せるようになれば、赤字や債務超過を解消することができます。

ただし、利益を出せる経営体質に改善するためには、会社の経営状態を見直す必要があります。無駄なコストはないか確認し、状況に応じてコストを削減するなど、利益を出せる経営体質に改善するのには時間がかかるものです。経営体質の改善を決断したら、すぐにでも対策に乗り出す必要があるでしょう。

赤字や債務超過を抱えた企業が事業承継をする流れ

赤字や債務超過がある会社であっても、適切な方法で経営状態を改善すれば、事業承継が可能になります。

ここからは、赤字や債務超過を抱えた企業が事業承継をする流れについて見ていきましょう。

1.経営状況を把握する

事業承継をするために、まず行わなければならないのが「経営状況の把握」です。経営状況の把握とは、会社の現状を把握することです。会社の現状把握には、「現在の価値の把握」と「将来の価値の把握」のふたつがあります。

「現在の価値の把握」とは、例えば自社株の評価などです。「将来の価値の把握」とは、自社の業界内における位置づけはどうなるのか、収益性の高い商品やサービスを展開できるのか、自社が身を置く業界は今後伸びるのか、などを把握することです。

経営状況を把握したうえで、今後黒字にできるか判断することが、事業承継をスムーズに行うために重要となります。

2.後継者を探す

経営状況を把握したら、次は後継者を探します。まずは子供や親族の中から探し、子供や親族の中に後継者になる人がいない場合は社内の従業員や業界内の他社などから後継者を探しましょう。後継者候補の能力や人間力などを見て、後継者の適正があるかどうかを判断してください。

特に、赤字や債務超過の状況にある会社では、後継者に赤字を乗り越える意志があるかどうかも重要な判断要素になります。会社の状況を理解しているという意味でも、できるだけ子供や親族、社内の従業員から後継者を探すようにしましょう。

3.事業承継計画を立て、実施する

後継者が見つかったら、後継者へ承継するための計画である「事業承継計画」を立てて、実施していきます。

債務超過の会社を引き継ぐことは、後継者にとってデメリットの大きいことです。そのため、負債を抱えている場合は、赤字や債務超過を解消していくことが大切となります。場合によっては、別会社を作って採算の取れる事業のみを引き継ぐことなども考えましょう。

また、赤字や債務超過を解消していくことと同時に、後継者の育成も必要となります。後継者に事業を引き継ぐために何をいつまでにしなければならないかを整理し、実現可能な事業承継計画を立てましょう。事業承継計画に沿って施策を実施していかなければ、スムーズな事業承継はできません。

自力で行うことが難しい場合は、高い専門知識と豊富な経験を持ち合わせた専門家に相談するのがおすすめです。

現在、事業承継でお悩みの方は、知識・経験ともに豊富なTOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社へぜひご相談ください。TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社では、豊富な支援実績をもとに、最適な事業承継を実現します。

また、TOMAグループでは、後継者育成サービスを行っているので、ぜひご検討ください。詳しい後継者育成サービスの概要はこちら

まとめ

赤字や債務超過がある会社であっても、事業承継は可能です。しかし、赤字や債務超過がある会社を事業承継することは、後継者にとってリスクの高いものとなります。

赤字や債務超過を解消する方法を考え、実施していきながら事業承継も進めていくことが大切です。