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組織風土とはなにか
そもそも組織風土とは、ある組織内において共有される判断基準や価値観、環境面の特性などを総称したものです。組織風土の捉え方は企業によってさまざまで、明確に定義することもあれば、不文律として認識されているケースや暗黙のルールとして受け入れられているケースもあります。
企業理念のように会社の進むべき道を決めて、トップダウンで組織内に共有するのとは違い、組織風土は組織に集まる人材の個性や能力、事業の内容や展開などによって少しずつ培われてくるものです。
企業に長く根付いた組織風土は、働く従業員の仕事に対するモチベーションや意欲に影響を与えます。しかし、組織風土は自然と生じたものであり、企業の発展を目的につくられたものではないため、社会変化によってはプラスとマイナスのどちらに傾くか不明瞭です。
つまり、将来の発展を目的に戦略的につくり上げられる企業文化とは異なり、組織風土は必ずしも魅力ある企業をつくる原動力になるとは限りません。場合によっては、企業を衰退させる要因となる可能性もあります。
組織風土を改革すべきか見極める
組織風土は意図して醸されるわけではないため、改革の必要性を判断するのが難しく感じられるかもしれません。そこでまずは、曖昧になっている組織風土について、構成する要素をハード、ソフトの両面から具体的に認識していくことが大切です。
組織風土のハード面とは、目に見えて誰にでもわかる要素のことです。たとえば、企業理念やクレド、就業規則、経営計画、人事評価システムなどが挙げられます。
一方、ソフト面とは、明文化されていないものの、企業内のルールとして従業員に定着している要素のことです。たとえば、定時15分前出社、仕事の進め方、個人の関係性や信頼関係といった内容が考えられます。
ソフト面は個人の感覚によるものも大きいため、把握することは難しいものです。しかし、ソフト面は組織風土の基盤となり、「悪しき」組織風土の原因となることもよくあります。丁寧に割り出し、組織として理想とする姿とのあいだにズレが生じているとわかれば、早めに修正しましょう。
改革すべき組織風土には、次のような例が挙げられます。
成長意欲が低い
人事評価システムが機能していないと、従業員のモチベーションが低下し、成長意欲が損なわれます。成長意欲のなさが組織風土となってしまうと、会社ではなく、自分自身のために行動するようになります。ミスをしたら他者のせいにする、独断で行動するなど、組織としてあってはならない行動が当たり前になってしまうのです。
従業員同士のコミュニケーション不足
従業員同士のコミュニケーションの少なさも注意すべきです。コミュニケーションの乏しい企業では、従業員同士の無関心やチームワークのアンバランスを招く傾向があります。一つひとつの問題は小さくても、やがては生産性の低下や離職率の上昇といった大きな課題を生む原因になるでしょう。
組織風土を改革するメリット
今の組織風土が会社の成長に悪影響を及ぼしているようなら、すぐにでも改革が必要かもしれません。
ここでは、組織風土の改革が企業にどのようなメリットをもたらすかを紹介します。
生産性が向上する
組織風土が従業員のモチベーション低下やコミュニケーション不足などに影響しているようなら、改革によって生産性の向上が期待されます。
がんばりが認められる人事評価を採用するだけでも、お互いに刺激を受け合い、やる気のある優秀な人材が増えます。また、積極的なコミュニケーションによってチームワークが向上すれば、ミスや無駄が減り、作業効率がアップするなどして、さらなる生産性向上が見込めるでしょう。
人材育成の促進ができる
個人間や上下関係、部署間で見えない壁のある組織風土は、改革の余地があります。古い慣習に縛られることのない、風通しの良い組織風土にすると、人間関係のトラブルが少なくなるでしょう。
人間関係がスムーズに運ぶと、率直な意見を交わし合う、わからないことを教え合う、進捗を報告し合うなど仕事の効率が上がり、従業員全体の知識や経験、能力も底上げされます。
また、働きやすい組織風土では、離職率が低くなり、有能な人材が集まりやすくなります。やる気のある若手が伸び伸びと仕事に取り組めるため、次世代のリーダー育成にもプラスとなるでしょう。
チャレンジ意欲が高まる
改革すべき組織風土としてわかりやすい特徴のひとつが、従業員が自社に誇りをもてずにいる状態です。これでは、働きやすくやりがいのある企業とはいえません。
後ろ向きに仕事に取り組む従業員ばかりになると、組織内でチャレンジ精神を損なわれがちです。同じ思考と行動を続けてきた組織は、新しい刺激に対する拒絶反応が出やすいため、時代のニーズに応じた、新しい事業への開拓ができなくなることもあります。
個々の意見が反映されやすい組織風土に改革すれば、自然と仕事への意欲が高まります。
また、さまざまな発言が拒絶されない状態は、心理的安全性を確保しやすくなり、新しい取り組みにも挑戦しやすくなるでしょう。これまでなかった従業員からのボトムアップによる提案で事業拡大するケースもあります。
組織風土の改革を成功させるポイント
組織風土の改革は、企業の業績アップや将来的な発展に大きく影響する可能性があります。しかし、長い年月をかけて培われた風土を変えるのは簡単なことではなく、志半ばで計画が頓挫してしまうことも多いようです。
そこで、組織風土の改革を成功させるポイントを紹介します。
組織風土を改革する理由を説明する
組織風土、特に暗黙のルールとして浸透してきた意識やルールを改革することに、抵抗を感じる従業員は珍しくありません。そのため、組織にとってプラスとなるはずの改革が、人間関係に軋轢を生むおそれもあります。慣れ親しんだ慣習を変えてもらうには、経営者自身が根気強く説明し、従業員全員から納得を得ることが重要です。
なぜ必要なのか、このままだとどうなるのかなど、具体的な改革の理由を企業のトップが説明すれば、従業員も抵抗なく取り組みやすいでしょう。
目指すべき姿を掲げる
組織風土には曖昧な部分が大半を占めますが、改革を成功させるなら、目指すべき改革のゴールを明確にするように心がけます。
ハード面、たとえば経営理念やビジョン、クレド、就業規則など、明文化されるルールの変更が、組織風土を大きく変える可能性もあります。
ソフト面については、一度に何もかも変えようとすると従業員の日常業務に混乱をきたすおそれがあるため、中長期的な視点で進めていくのがおすすめです。また、改革の内容はシンプルでわかりやすいものであることも大切です。改革に向けて小さな目標の達成を繰り返すうちに、従業員も組織風土の変化を実感できるでしょう。
現場の声を聞く
組織風土は企業の最前線である「現場」で醸成されてきたものです。そのため、経営者には従業員の声に耳を傾ける姿勢が求められます。
企業の成長や発展のためには不要だと考えられる風習も、実は現場での業務を円滑に進める要因となっている可能性があります。あるいは、経営トップの目が行き届かないところに、企業に対する大きな不満が隠れていることもあるでしょう。
組織風土に実際触れてきたのは現場の従業員です。具体的かつ実際的な状況確認、現場からの要望などを十分に把握したうえで改革に取り組むようにしてください。
行動基準を設定する
改革について説明を行っても、組織風土がなかなか変わらない事例は数多く存在します。このような事例で不足しているのが、改革を成功させるための行動基準の設定です。
組織風土と呼ばれる曖昧で感覚的な行動を変えるのは、容易ではありません。一人が変えたいと思っても周囲が変わらなければ、組織の同調圧力に負けてしまうでしょう。
そこで具体的な行動を明文化して組織全体で共有するのがおすすめです。今後、組織でどう行動すべきか指針が明らかになれば、従業員も採り入れやすいはずです。さらに、行動基準を人事評価に結びつけると、改革のスピーディーな浸透に役立ちます。
努力を重ねたものの、組織風土の改革がなかなか進まないとお悩みなら、プロの手を借りるのもおすすめです。TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社では、実績あるコンサルタントが企業の課題解決を丁寧にサポートいたします。
企業の根幹となる経営理念の浸透や、組織の行動方針となるクレド導入に関するご相談も承っておりますので、お困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
組織風土は、組織が形成されていくなかで自然に醸成されていくものです。そのため、状況によっては社会変化に対応していない、企業の発展を阻害するといった悪しき慣習となってしまうおそれもあります。そこで、必要に応じて組織風土の改革を行うことも大切です。
ただし、組織風土は曖昧であり、また長い時間をかけて根付いたものであることから、改革が難しい点があります。
組織風土の改革にお悩みなら、プロの手を借りて企業の抱える課題を効率良く解決するのもおすすめです。TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社では、組織風土はもちろん、企業理念やクレドの策定・従業員への浸透など、多方面から企業の成長を支えます。