目次
同族経営のデメリットとは
同族経営は、同族間だからこその問題、コーポレートガバナンス、後継者の選択においてデメリットがあります。それぞれ詳しくていきましょう。
同族間ならではの争い
同族経営は、夫婦や親子など、同族間の仲が良いうちは問題ありません。しかし、夫婦間で仲違いが起きて離別してしまったり、親子の仲が悪くなってしまったりすると、経営にも影響してしまいます。
非同族経営においても意見の不一致や争いは起きますが、同族間の争いは根深く、複雑になる恐れもはらんでいます。長期にわたって仲違いが起きると、会社経営が困難になるばかりでなく、従業員の居心地も悪くなってしまうでしょう。
コーポレートガバナンスの欠如
コーポレートガバナンスとは、企業統治のことをいいます。株主をはじめとした、会社のさまざまな利害関係者の利益を保護するために、経営を監視する仕組みのことです。
具体的には、社外監査役や社外取締役を置くなどして、ワンマン経営にならないように防止します。
しかし、同族会社は経営者と株主が同じ、あるいは経営者やその一族がほとんどの株を所有しているため、監視の仕組みが働かず、ルール遵守の意識が弱まりやすい傾向にあります。
結果として身内びいきになるなど、コーポレートガバナンスの欠如による不平等やワンマン経営が起こりやすいです。ほかの従業員の士気を下げてしまうことにもなります。
後継者の選択肢が限られる
同族経営は、後継者になる候補者の選択肢が限られます。同族間で受け継がれてきた企業理念や事業の展望を次世代に託すには、一族の誰かに事業承継することが前提になるケースがほとんどだからです。
しかし、事業承継のタイミングで、経営を任せられる適任者がいるとは限りません。同族の中で後継者を選ぶとなると、経営面での能力の低い人、経営者にあまり向いていないと思われる人を選ばざるを得ないこともあります。
同族経営にはメリットもある
ここまで同族経営の問題を取り上げてきましたが、メリットもあります。主なメリットは、安定した長期経営ができること、経営理念の浸透を図れることです。
安定して長期経営が可能
同族経営は、経営が安定しやすく、長続きしやすいメリットがあります。経営陣や従業員の間で血縁関係があることから、会社を永続させようとする意識が高いためです。
また、同族経営は株主と経営が一致していることが多いため、非同族の会社とは違って、株主からの厳しい追及を避けられます。
非同族会社では、株主への短期間での業績開示によって、どうしても短期的な業績アップに走ってしまいがちですが、同族会社は外部株主からの執拗な追求を避けられるため、挑戦的な経営もできます。
株主自身が経営権を持っているため、はじめは利益につながらなくても、長期的には利益につながるような事業開拓も始めやすいでしょう。
経営理念が浸透する
同族経営は、経営のトップが家族で考え方を理解しやすいことから、経営理念が浸透しやすいメリットがあります。
経営陣が経営理念をよく理解していると、ほかの従業員にもトップダウンで影響していくだけでなく、会社経営に一貫性をもてるため、利害関係者との信頼関係を築く際にも良い影響を与えるでしょう。
同族経営を成功させるためには
同族経営には問題点もありますが、会社の存続性や一貫した経営などのメリットもあります。同族経営をうまく経営していくには、どうすれば良いのでしょうか。同族経営を成功させる3つのポイントを紹介します。
法令遵守の意識をしっかりもつ
同族経営成功のために意識したいのが、経営陣の法令遵守です。同族経営は第三者から厳しく監視されないため、「少しくらい大丈夫」だと気が緩んでしまうこともあります。
監視の目が入りにくいことから、経営者が会社のお金を自身の借金返済に充てたり、プライベートの支出に会社のお金を使ったり、といった行為が起こりやすいです。
「会社の経営権があるのだから」「余裕資金だから問題ない」などの安易な考えはもたず、経営者自身が自らを律して、法令遵守の意識を高めていきましょう。
コーポレートガバナンスを効かせるには、社外取締役設置や取締役会設置のほか、社内規定を明確にするなどの方法があります。可能な範囲で管理体制を整えることも方法のひとつでしょう。
コーポレートガバナンスを強化することで、経営陣の不正や会社の私物化を防げるほか、金融機関からの評価を高めることができます。融資を受ける際、有利にはたらくこともあるでしょう。
また、コーポレートガバナンスの強化は、企業価値の向上にも寄与します。法令を遵守する企業であることは、社外からの評価を高めることにもつながります。
同族を特別視しない
同族経営では、一族が経営を行うにしても、従業員には血縁関係のない人も含まれているケースが多いです。血縁関係のない従業員をどのように考えるかも重要になります。
たとえば、同族ばかりを優先して役職を与えるなど、身内びいきととれる経営が続くと、ほかの従業員の心は離れてしまいます。士気が下がるばかりか、身内びいきを原因に離職する社員も出てしまうでしょう。
同族経営だからこそ、身内ばかりを優先せずに、一緒に働くほかの従業員に目を向けることが大切です。
身内びいきをしないだけでなく、経営陣と従業員がしっかりコミュニケーションをとれるようにしたり、能力を発揮できる環境を整えたり、従業員にとって働きやすい環境にしましょう。
後継者選びはしっかりと
同族経営では、経営者の息子や娘を後継者候補にするケースが多いです。このようなケースでも、事業承継を円滑に進められるよう、本人の意思や覚悟を確認しておきましょう。
後継者の自覚がないまま、後継者育成が進まないまま事業承継が行われると、事業の存続が危うくなったり、黒字でも廃業を選択せざるを得ない状況になったりするおそれも考えられます。
息子や娘が後継者にならない場合は、そのほかの親族を後継者候補にするケースもあるでしょう。この場合も、やはり本人に自覚をもたせ、育成していくことが大切です。
同族への事業承継にこだわらない場合、あるいは候補者がいない場合は、従業員の中から経営者の資質がある人材を候補者にする方法、あるいはまったくの第三者から後継者を見つける方法もあります。
従業員の中からの選定や第三者への承継は、限りある後継者候補の範囲を広げられます。
TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社は、これまでの豊富な実績をもとに、さまざまな企業の後継者問題を解決してきました。当社は、事業承継を成功させるだけでなく、100年続く企業を目指してサポートを行っています。
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まとめ
同族経営は、一族が株式の大半を所有し、経営に携わる会社の経営のことをいいます。同族経営のデメリットは、同族間の仲違いや争いが根深く複雑になりやすいこと、コーポレートガバナンスが欠如しやすいこと、後継者の選択肢が限定されることです。
一方、同族経営は長期経営に向いている、経営理念が浸透しやすい、などのメリットもあります。
同族経営を考えるなら、後継者を誰にするか、どのように教育をしていくかをはじめ、デメリットになり得る問題をクリアにしながら、透明性の高い会社経営をしていくことが大切です。