後継者育成計画とは?目的や計画方法・成功のためのポイントまで

企業が長く繁栄していくためには、良いリーダーがいなければなりません。優秀な後継者がいれば、現在の経営者も安心して引退できるでしょう。そのためには、後継者の育成が重要です。 中小企業の場合には、自分が元気なうちに後継者の育成をしておきたいという人も多いでしょう。ここでは、後継者育成計画の立て方や、育成を成功させるためのコツを説明していきます。


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後継者育成計画(サクセッションプラン)とは

サクセッションとは継承や相続などを意味する単語で、サクセッションプランは直訳すると「後継者育成のための計画」です。

通常の人材育成は人事部が行いますが、サクセッションプランは経営陣が中心になって実施します。そのため、経営者の視点で次の世代の人材を育成できるのが特徴です。

順調に業績を伸ばしている企業でも、現在の経営者が引退した後も同じように成長を続けられるとは限りません。経営者が交代することで成長が鈍化してしまうおそれもあります。企業が成長し安定した経営を継続していくためには、後継者となる優秀な人材が必要です。

しかし、少子高齢化や親族内継承の減少によって、2000年代以降、中小企業を中心に後継者不足に悩まされる企業が増えてきました。業績に問題はなくても、後継者不足により廃業してしまう企業も多くあります。

これまで成長させてきた会社をなくしてしまわないためにも、サクセッションプランを立てて、次世代を担う後継者を育成しなければなりません。

後継者育成計画(サクセッションプラン)を立てる方法

サクセッションプランを立てる方法について見ていきましょう。

1.企業ミッションや経営戦略を明確にする

経営者として会社の舵取りを行うには、自社の経営に関する理解が必要不可欠です。サクセッションプランの対象となる後継者候補は、これまで所属してきた部署のことだけでなく、社内全般の業務について把握し、企業ミッションや経営戦略を理解しておく必要があります。

そのため、企業ミッションや経営戦略は、サクセッションプランを立てる前の段階で明確にしておかなければなりません。

自社の強みや課題、競合、業界の動向などを分析した上で、サクセッションプランには今後の経営方針に関する内容を盛り込みましょう。

2.人材を選出する

後継者育成の対象となる人材を選出する際には、まずどのような人材を経営者候補にするのか要件を明確にしましょう。スキルと資質の両面で要件を定める必要があります。

たとえば、スキルなら経営に関する知識や語学力、会社の業務に関する専門知識などが必要です。経営者の仕事はそれらのスキルがなければ務まりません。あわせて、これまでの経験も大事です。社内で十分な実務経験があり、リーダーとしてのポジションも経験している人材が適しているでしょう。

資質としては、粘り強く冷静で誠実な人が望ましいです。経営者は社内外の人と話をする機会が多いため、コミュニケーション能力も欠かせません。リーダーシップや大勢の人をまとめる力も求められます。さらに、社内外での人脈も必要でしょう。

要件に該当する人材を選出するときは、能力面だけでなく性格も重視することが大切です。

また、後継者候補が2人いる場合には、2人とも経営チームに入れて競争させるのもひとつの方法です。

社長一人だけが経営判断を担ういわゆる「ワンマン経営」では、次の後継者が育ちにくくなってしまいます。幹部社員を集めた経営チームをつくり、経営に参加させることは後継者育成に役立ちます。

経営判断を決定する際にも、社長がすべて決めるのではなく、経営チームのリーダーが決めるようにすると良いでしょう。後継者にとって良いトレーニングになります。

3.実際に育成する

サクセッションプランへ参加する人材が決まったら、スケジュールを立てましょう。比較的短期間で実施する場合には1ヶ月から3ヶ月程度のスケジューリングで行います。ゆっくり時間をかけて行うなら半年から1年程度のスケジューリングで行うのが良いでしょう。

あまりスケジュールを詰め込みすぎると、うまく消化することができません。サクセッションプランに盛り込む内容が多い場合には、少し長めの期間で実施するのが望ましいです。

全体のスケジューリングを意識しながら、いつまでに何をやるのか具体的に策定する必要があります。

後継者育成計画(サクセッションプラン)を成功させるコツ

サクセッションプランを立てるところまではうまくできても、実施してみてあまりうまくいかないケースも見られます。失敗しないためには、次のコツを押さえておくことが大切です。

進捗確認を行う

サクセッションプランを成功させるためには、計画通りに進められるかどうかが大事です。計画に遅れが生じることで、後継者育成が滞ってしまうことも多くあります。そのため、定期的に進捗確認を行うようにしましょう。

計画より遅れているときでも、こまめに進捗確認をしていれば比較的早い段階で問題を把握できます。適切に対処することで、遅れを取り戻せることも多いでしょう。

また、サクセッションプランには経営陣から所属部署の上司、人事部など、社内のさまざまな人間が関わります。確認漏れを防止するために、誰が進捗状況の把握を行うのか事前に決めておくようにしましょう。

遅れが生じた場合には、スケジュールの密度を濃くするなどして、対処することになるでしょう。サクセッションプランに参加する人にとってはハードなスケジュールになってしまうこともあるかもしれません。

将来経営者になる人材なら、ハードなスケジュールをこなすこともトレーニングの一部といえます。ただ、あまり負担やプレッシャーがかかりすぎてしまうと、後継者の育成や業務に支障が及ぶこともあるため注意しましょう。

追加や修正を行う

計画を実行してみると、その中で問題点が出てくることもあるでしょう。計画段階では問題ないとされていたことでも、実際に実行してみることで改善点が見えてくることも珍しくありません。

そのようなときには、無理に計画通りに進めようとするのではなく、状況に合わせて修正するなど柔軟な対応が必要です。

場合によっては、計画の一部を修正するだけでなく、新たに内容を追加したり削除したりすることも必要です。

計画を立てて実行したら、結果を評価して改善していきましょう。マネジメントシステムでよく行われているPDCAサイクルを回すことは、サクセッションプランにおいても重要です。

外部の力を借りるのもひとつの手

進捗確認をしながら、必要に応じて計画の修正や追加などを行っても、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。計画を修正することで、新たな問題点が出てくることもあります。

そこで、サクセッションプランを実施する際は、コンサルタントなど外部の力を借りるのもひとつの方法です。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社なら、後継者問題全般に関してのご相談を承っています。

サクセッションプランを成功させ、優秀な経営者候補を育成したいなら、ぜひTOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社にお問い合わせください。

まとめ

サクセッションプランを立てる際には、経営戦略を明確にしたうえで、スキルや資質を考慮して人材を選出する必要があります。人材の選出では、能力的な面だけでなく、性格面も重視しましょう。

サクセッションプランを実行する際には、進捗確認とそれに応じた計画の修正が重要です。状況に応じて適切に計画を修正していくことが、経営者育成の成功につながります。

そして、自社内だけで行うのが難しそうであれば、外部のコンサルタントへの相談なども検討してみましょう。