企業の成長を担う!経営人材に必要な3つの要素と育成のポイント

規模や業種を問わず、多くの企業で課題とされているのが経営人材の育成です。日本は長く年功序列や家族経営に頼ってきたため、従業員を率いて企業を発展させる強いリーダーの育成に苦労する企業が珍しくありません。 今回は、経営人材に欠かせない要素や人材育成に成功するポイントなどを紹介します。


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経営人材に必要な3つの要素

経営人材とは、企業の経営責任を担う人材のことです。社長や副社長など経営の決定権を持つ役職に就く人のことをいいます。

近年はビジネス環境の変化がスピードを増すなか、適切な経営方針を打ち出し、企業を率いる経営人材には、さまざまな能力が求められています。

企業を任せられる人材を見出すために、まずは経営人材として求められる能力を解説します。

判断力

経営人材に求められる要素のひとつが冷静な判断力です。

どんな企業であっても平坦な経営ばかりではありません。経営が傾くほどの損害を被ることもあるでしょう。企業が迎える重大な局面において、常に最良の施策を打ち出せる判断力が経営人材には必要です。

その際、自分の進退など個人的な理由からではなく、企業の発展のために正しい判断を下せるかどうかも重要なポイントです。

逆に企業が大きく成長したときにも慢心することなく、次の一手を慎重に見極める客観性を持ち続けることも大切な要素でしょう。

想像力

長く発展する企業を目指す経営人材には、高い想像力が必要です。特に昨今はビジネス環境の変化が著しく、こうした変化の行く末を想像する力は企業の成長に欠かせないとされています。

想像力が欠如していると、従業員から斬新なアイディアが生まれても活かすことができず、また競合他社や業界の変化についていくこともできないでしょう。経営人材には、企業の将来像や事業モデルを具体的にイメージし、実行していく能力が重要です。

想像力を高めるために、競合他社や世界のトップ企業を参考にしたり、新しい技術を勉強したり、自身のもつ知識のアップデートを欠かさない努力も求められます。

コミュニケーション能力

優れた判断力と想像力を兼ね備えた人材であっても、ひとりよがりでは従業員を導き、企業を発展させることはできません。企業のリーダーとして従業員とビジョンを共有し、取引先と良好な関係を築くためには、コミュニケーション能力が必要です。

わかりやすい言葉で相手に説明する、相手の言葉にも耳を傾ける、モチベーションの上がる言葉を選んで従業員のやる気を引き出すなど、ちょっとしたコミュニケーションの違いがより良い結果につながります。

仕事中に高いコミュニケーション能力を保つには、フラットな精神状態も重要です。リーダーが常に落ち着きある堂々とした態度であれば、社内外問わず、誰もが安心して意見を述べられるでしょう。

これらのほか、経営者に必要な資質は、こちらの記事でも紹介しています。
経営者に必要な10個の資質!足りない部分を補うには?

経営人材を育成するための3つのステップ

経営人材の育成には時間がかかります。できるだけ早期に始めて、着実に進めていくことが大切です。

ここでは、経営人材の育成において必要となる具体的な3つのステップを紹介します。

1.経営人材として必要な人物像を明確にする

経営人材の育成でまず行うべきことが、自社が必要とする人物像の明確化です。

必要な経営人材といっても、先述のような能力を備えていれば良いというわけではありません。企業ごとに異なる強みや弱みなどの内的要因、ビジネス上の脅威などの外的要因から、これからの企業に必要となる人物像を明らかにすることが大切です。

たとえば、成長事業で今後他社との競合が激しくなると予想されるなら、その事業に長けた人物を候補に加えるのも良いでしょう。海外進出を視野に入れて、海外勤務歴の長い人物を選ぶこともあるかもしれません。

このように経営人材の要件を決めておくと、候補者を選びやすくなります。また、候補者間での適性を比較しやすくなったり、育成方法を検討しやすくなったりします。

2.候補者を選定する

具体的な人物像が定まったら、次に候補者の人選に進みます。

候補者の選び方にはさまざまな考え方があります。しかし、経営人材の選抜は実際に活躍するよりもずっと早い段階で行われることになるため、長期的な視点に立って多面的に評価したうえで選定する必要があります。

また、企業のリーダーとなる人物を選ぶにあたっては、人物評価の公平性も重要なポイントです。

そこで注目を集めているのが360度評価です。360度評価とはさまざまな立場がひとりの人物の評価を行うものです。上司や同僚、部下、他部署の関係者などから多様な評価を得られるため、偏りのない公平な判断を下しやすいといえます。

360度評価は定期的に行い、さらに本人へのフィードバックなどを通じて、候補者としての自覚や意思の有無にも注視しましょう。

3.育成計画を立てて実施する

経営人材の候補者を選定したら具体的な育成計画を作り、実行に移します。

一般の従業員とは異なり、経営人材は企業の全体を見通す能力が必要です。従業員として高いスキルをもつ人物も、経営人材としては未経験の業務は多いでしょう。OJTは、経営リーダーとしての実践的なスキルや感覚を身につけるのに役立ちます。

経営人材は、現場における各従業員の立場を理解することも求められます。管理職や中堅社員といった階層別の業務を学ぶ方法には、階層別研修があります。ほか、外部から講師を招いて客観的な経営スキルを学ぶのもよいでしょう。

一定期間、取引先など他社に出向して研修を行う企業もあります。業界を理解し、取引先との関係を深めるのにも役立ちますが、経営戦略やビジョンは企業により異なるため、社内研修に時間をかけるのがおすすめです。

研修を実施する際は、将来同じ方向を向いて企業を導く立場として、意見や考え方の違いが出ないように、候補者と十分にコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要です。

経営人材育成を成功させるためのポイント

現在、経営者の高齢化が進む日本では、経営人材の育成が急務とされています。しかし、先述のようなステップを踏んでもなかなか人材を育たず、苦労している企業は多いようです。

そこで、経営人材の育成を成功させるために押さえるべきポイントをふたつ紹介します。

既存の風土や慣習にとらわれない

経営人材を育てる必要性に迫られながら候補者の選定にもたどりつけないという場合、既存の企業風土や慣習にとらわれすぎている可能性があります。

たとえば、歴史のある企業ほど新卒一括採用や年功序列、横並びの人事などの風土から、経営人材として若手の起用を敬遠する傾向があるとされます。しかし、自社に長く貢献してきたかどうかは経営人材の資質とは関係ありません。

古い慣習にとらわれていては、経営人材の育成が進まないだけではなく、迅速な対応が迫られるこれからのビジネス環境にも対応できなくなるおそれがあります。先述の360度評価を採用するなど、公平な判断で候補者を選ぶようにしましょう。

外部の役員や顧問の意見を候補者選定に利用するのもおすすめです。第三者の意見があれば、既存の風土に固執する声や新しい考え方への反発を払拭しやすくなるでしょう。

全社的に人材育成に取り組む

候補者の人材育成を行うときには、会社全体で取り組む意識が重要です。

育成を現場に任せきりにしてしまうと、候補者は経営陣の一員となる意識をもてず、将来ともに働くはずの経営陣に対して不満や不信感を抱くおそれもあります。また、経営陣も経営人材を育てている意識が薄れてしまうかもしれません。

そこでおすすめなのが経営チームの立ち上げです。経営陣がチームとなり、企業経営に必要な議題を話し合います。候補者もメンバーとして参加すれば、経営人材としての成長やモチベーションアップにつながるでしょう。

とはいえ、経営人材の育成には時間がかかるため、想定外のトラブルや課題に直面することもあるでしょう。そんなときには専門家の手を借りるのも方法のひとつです。TOMA100年企業創りコンサルタンツ」は、多くの経験と実績をもとにスムーズな経営人材の育成の実現をサポートいたします。

長く発展を続ける企業となるためには、経営人材の育成だけではなく、社員やその家族の幸せづくりこそが大変重要です。詳しくは、実際の企業経営を元にしたこちらの書籍をご参考下さい。

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まとめ

経営人材を育成するには長い時間がかかります。早期に動き始めることが大切です。また、古い慣習にとらわれず、会社全体で取り組む意識も大切です。

候補者の選定が難しい、育成計画に不安があるなど、お困りでしたらぜひ「TOMA100年企業創りコンサルタンツ」にご相談ください。多くの企業をサポートしてきた経験と実績で、適切な経営人材の育成をサポートいたします。