第二創業期とは?迎えた企業がすべき選択と成功のポイント

近年、多くの企業で経営者の高齢化が進んでいます。その背景から、中小企業を中心に後継者不足や売上の低迷といった問題が深刻化しています。 以上のような課題を突破するために、「第二創業」が注目され始めています。しかし、それが実際にどういった対策を行うものであるのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、第二創業期の概要やメリット・デメリット、第二創業を成功させるためのポイントを解説していきます。


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第二創業期とは?

第二創業期とは、企業の衰退期を立て直すための過程のことです。

企業のライフサイクルには「創業期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階があります。

・創業期:事業を立ち上げたばかりの時期
・成長期:会社が成長し、売上が上昇し始める時期
・成熟期:成長がピークに達し、安定した売上が見込める時期
・衰退期:売上が落ち始める時期

創業から長く経過した企業は、経営理念や手法が現代のニーズから離れたものになりやすい傾向にあります。古いやり方に固執してしまうと、会社の業績は次第に傾き、衰退期に突入してしまいます。新しい一手を打たなければ、倒産のおそれもあるでしょう。

こうした衰退期を打破するためには、企業の変革が必要です。第二創業では、経営者の入れ替えを中心に、新商品を開発や新しい事業への参入といった企業を成長させる取り組みを行います。

第二創業のメリットとデメリット

事業が衰退期に入っている状態だと、次の一手が経営状態を改善できるものとして機能しなければなりません。

改善を成功させるためには、第二創業のメリットとデメリットを把握したうえで今後の経営戦略を慎重に検討する必要があります。

第二創業のメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。

メリット

第二創業のメリットは、これまでの事業活動で得た信用や事業基盤を活用できる点です。

あらかじめ取引先や顧客などと関係性が築かれているため、新たな挑戦による失敗のリスクを抑えられます。銀行などの金融機関との関係も継続できるため、返済トラブルなどがなければ、資金調達も比較的円滑に進められるでしょう。

加えて、社内の人材を活用できるため、新しく採用や教育にコストがかかりにくいこともメリットのひとつです。

第二創業は、新たに会社を設立する場合よりも事業に集中しやすい環境が整っているといえるでしょう。

デメリット

第二創業のデメリットは、今まで会社で築き上げてきた慣習を簡単には変えられない点です。従業員が第二創業に意欲的でない場合は、施策を柔軟に行えないといった懸念が生じます。

また、従業員の共感を得られないまま第二創業を進めると、経営陣と従業員の間に壁が生まれてしまうおそれもあります。

第二創業を成功させるには、全社員が足並みを揃えて、十分に時間をかけた取り組みが必要です。経営者と従業員が相互に理解するための話し合いの機会を設けるなどの工夫をしましょう。

第二創業の方法はふたつ

第二創業の方法は、「事業承継」と「M&A」の大きくふたつがあります。どちらを選択するにしても、会社にとっては大きな節目となり、今後の会社の未来を決定づける重要な出来事になるでしょう。

そのため、事業承継とM&Aの特徴や違いを事前に知っておくことが大切です。経営に関する手法を知識として蓄えておくことで、第二創業に関する重要な決断に迫られた際にも正しい選択ができるでしょう。

事業承継

事業承継はその名のとおり、事業を後継者に引き継ぐことを意味します。事業承継の方法は、「親族内承継」または「社内承継」のいずれかが一般的です。

・親族内承継:子どもや配偶者、兄弟姉妹などの親族を後継者として事業承継をする
・社内承継:役員や従業員を後継者として事業承継をする

事業承継を成功させるためには、経営者と後継者の間で、前もって話し合いを何度も行っておきましょう。特に子どもを後継者にしたい場合は、明確にその意思を伝えておく必要があります。

また、事業承継はただ経営者を交代するだけではありません。経営理念や会社がこれまで築き上げてきたノウハウなども引き継ぐ必要があります。

M&A

対して、M&Aは他社に事業を売却することです。主なM&Aの手法は「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」「会社分割」の4つです。それぞれの特徴は以下のとおりです。

・株式譲渡:会社の株式を他社に譲渡する
・事業譲渡:会社の事業の一部を他社に譲渡する
・合併:複数の会社がひとつに統合する
・会社分割:会社を事業ごとに分割して他社に譲渡する

注意点として、M&Aは会社そのものが解体されてしまうおそれがあります。会社が解体されてしまえば、これまで経営者が積み上げてきたものが一瞬にしてすべてなくなってしまいます。

会社を売却すべきか慎重に検討し、安易なM&Aは避けなければなりません。

第二創業を成功させる3つのポイント

第二創業は、会社の経営状態を一変させるチャンスです。第二創業をうまく行うことで、衰退期たった会社のライフサイクルを成長期へと転換するきっかけになり得ます。

しかし、その施策が突発的であったり、従業員の理解を得られなかったりすると、第二創業は失敗してしまうかもしれません。

まず、第二創業を成功させるポイントをここでしっかりと押さえておきましょう。第二創業で引き継ぐべきことと変更すべきことを紹介します。

経営理念を引き継ぐ

第二創業期に事業承継をする場合、経営理念などの「目に見えない資産」はないがしろにされやすい傾向があります。しかし、経営理念は会社の根本となるものです。事業承継でこれまでの経営理念が引き継がれないと、経営方針がぶれて事業がさらに衰退するリスクが生じてしまいます。

そのため、第二創業期になっても経営理念は変えず、引き継ぐことを前提で進めていきましょう。

ただし、時代やニーズの変化に応じて見直しをすることは大切です。引き継ぎから5年ほど経過した時期を目安に、経営理念が会社の実態に則しているか、消費者のニーズに合っているかを確認して、見直しを図りましょう。

既存事業の強みを活かせる新しい事業を始める

第二創業の強みは、既存事業の基盤ができている点にあります。そのため、第二創業で新しい事業を始める際は、既存事業の強みを活かせるものを選びましょう。

自社の経験やノウハウを活かせる新規事業計画を立てることができれば、既存事業との相乗効果を見出せるかもしれません。

これまでの経験が生かせない、異なる事業への参入は危険です。入念に練り上げられたビジネスプランなどがない限り、既存事業の延長線上で第二創業のプランを考えましょう。

経営ノウハウに長けた専門家へ相談する

「第二創業に関する悩みや課題が出てきたけれども、解決方法が分からない」といった悩みがある方は、プロの専門家を活用する手もあります。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」では、理念経営に長年取り組んできたTOMAのコンサルタントが豊富な経験から培ったノウハウをもとに、事業承継に関する課題を解決しています。

「第二創業について相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

第二創業期は、会社を生まれ変わらせるための手段として効果的です。しかし、戦略の方向性を間違えると、会社の経営はより苦しくなってしまうかもしれません。

企業の成長段階は、創業した経営者の年齢とともに衰退期へと進行していくことが一般的です。後継者へと事業を引き継がずに同じ経営者が会社のトップを続けていると、経営理念や手法は当然、古くなっていきます。その結果、世間とのニーズとかけ離れる状況が発生してしまう可能性があります。

伝統を守りつつも、変えるべきところは変える意識をもって第二創業を進め、会社の衰退期を乗り越えていきましょう。

失敗を防ぐためにも、第二創業のメリットとデメリットを十分に理解しておきましょう。知識を深めた上で第二創業の計画を進めることが成功への近道です。