【経営者向け】社長をやめたい場合、どうすれば良い?

変化の激しい現代においては、ビジネスの先行きを予測することは非常に困難だといえます。自社の業績悪化や後継者不足など、将来に対するさまざまな不安から、「社長を辞めたい」と考えている経営者も少なくないでしょう。 今回は、経営者が「社長を辞めたい…」と考えてしまう主な理由と、辞める場合に考えられる選択肢について紹介します。


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「社長を辞めたい…」と考えてしまう理由とは?

「社長を辞めたい」という考えに至るまでには、さまざまな理由が考えられます。

この項では、中小企業庁が調査した「廃業を考えている理由」の結果から、社長が辞めたくなる理由について考察します。

中小企業庁が調査した「廃業を考えている理由」

中小企業庁の2016年における「廃業を考えている理由」の調査結果は以下のとおりです。

1. 業績が厳しい
2. 後継者を確保できない
3. 会社に将来性がない
4. もともと自分の代限りでやめるつもりだった
5. 高齢のため
6. 従業員の確保が困難
7. 技能等の引継ぎが困難
8. 事業用資産の老朽化
出典:「平成29年版中小企業白書」(中小企業庁)

1. 業績が厳しい

1つ目は、業績が悪化していることから会社の存続が難しく、廃業するというものです。

特に、業界全体において大きな変革がある際には、その変革についていけない企業は業績が低迷し、今後の見通しが立たなくなります。
業績が悪化する理由は内部と外部に存在し、外部要因が大きい場合には自社でコントロールできる部分は少なくなります。このような状況下では、社長の職を辞すことを考える経営者もいるでしょう。

2. 後継者を確保できない

2つ目は、後継者不足によって会社を引き継ぐ人間を確保できず、廃業することを考えているという理由です。

現在の多くの中小企業が抱えている問題の中でも深刻であるのが、この後継者不足です。どれほど有能な経営者であったとしても、年齢的な限界は訪れます。その際に、会社を継ぐ人間がいなければ、自ずと廃業の道を歩むことになります。

仮に親族などに後継者候補がいたとしても、経営者としての資質に欠けていたり、経営者になる覚悟や意欲がなかったりすれば、後継者としては不適格です。後継者候補を見つけることは想像以上に難しいというのが現実です。

実際に、現在多くの中小企業が後継者不足によって廃業という選択肢を選んでいます。

3. 会社に将来性がない

3つ目は、会社に将来性がないという理由です。現在業績が厳しい、もしくは現在は業績が悪くなくても将来的には経営が傾く可能性が大きいという場合が考えられます。

4. もともと自分の代限りでやめるつもりだった

4つ目は、最初から自分の代で会社を畳むつもりであったというケースです。ただ、自分の代で廃業を選ぼうと考えた理由には、これまでに紹介した理由も含まれるでしょう。

5. 高齢のため

5つ目は、社長である自身が高齢のために廃業を考えているという理由です。先述したように、中小企業の経営者は近年高齢化が進んでいます。若い後継者がいる場合には、会社を存続させることは可能ですが、見つからない場合には、これを機に会社を畳む経営者も多いようです。

6. 従業員の確保が困難

6つ目は、従業員が不足しているという問題です。

近年、日本は深刻な人手不足に陥っているといわれており、後継者のみならず従業員も不足している企業が多くあります。

従業員が十分に確保できなければ、会社の日々のオペレーションを遂行する人員が不足するため、会社の事業活動を維持することはできなくなります。その結果、廃業を選択する企業も出てくるのです。

7. 技能等の引継ぎが困難

7つ目は、スキルやノウハウを引き継ぐことが難しいというケースです。

例として、職人技などの特別なスキルが必要となる仕事が考えられます。このような場合、たとえ候補者となり得る人間がいたとしても、技術を引き継ぐには多くの時間と労力が必要とされるため、現実的には引き継ぎが困難です。このような場合は、現経営者の代で廃業を考えることもあるでしょう。

8. 事業用資産の老朽化

最後は、事業に用いる資産が老朽化しているという理由です。

特に製造業においては、機械や工場などの事業用資産は欠かすことのできないものです。しかし、これらの資産はどうしても経年劣化していき、時代の変化と共に古くなっていきます。

最新の設備に更新する余裕があれば良いですが、今後の事業活動の展望が不透明であり、資金的にも厳しい場合には、資産の老朽化を機に廃業を選択する場合もあります。

理由の上位は「業績」や「将来性」に関する問題

中小企業庁の資料から8つの廃業理由を紹介しましたが、調査結果の上位をまとめると、以下の3つが会社経営における主な問題だといえます。

・自社の業績が悪化している
・自社に最適な後継者がいない
・事業や業界の先行きが見えない

これらの理由に共通しているのは、「企業の業績や将来の見通しが芳しくない」という点です。つまり、社長を辞めたいと考えるようになる多くの理由としては、「会社の現状が厳しく、将来性も見出せないため」という点が大きいのです。

社長を辞める場合の選択肢は3つ

では、社長を辞める場合、どういった行動を取れば良いのでしょうか。ここからは、廃業を含めた、社長を辞める場合の選択肢を3つ紹介します。

1. 会社を廃業する

1つ目の選択肢は「会社を廃業する」というものです。
廃業とは、会社の資産で負債を支払い、経営者自らの手で会社や事業を畳むことをいいます。
後継者がいない、もしくは自分の代で会社を畳むことを考えている場合には、この廃業という方法を選択することが多いです。

一方で、廃業をするにはさまざまな所定の手続きが必要となるため、煩雑な側面があります。また、従業員や取引先など、周囲の関係者に迷惑をかけてしまうため、可能な限り適切な配慮が必要となるでしょう。

2. 後継者に事業承継する

2つ目の選択肢は、「後継者に事業を承継する」というものです。

事業承継とは、親族や役員などに会社や事業を譲ることです。中小企業の場合は、特に親族を後継者として定める場合が多いです。

後継者に承継する場合は廃業と違って会社経営は続くため、従業員や取引先への影響は低く抑えることができます。

一方で、最適な後継者がいない場合がある、事業の譲渡資金の調達が問題になる、後継者の育成に時間がかかるといったリスクやデメリットがあります。

3. 会社を売却する

最後は、「会社を売却する」というものです。

具体的には、M&Aによる会社の売却を指し、第三者に経営者の株式を譲渡して会社の所有権を手放すことをいいます。

メリットとしては、売却した分の対価を現経営者が受け取ることができる点が挙げられます。
しかし、M&Aでは会社が買収企業によって解体されてしまうこともあります。これは、今まで経営者が人生をかけて積み上げてきたものがすべてなくなるということです。

そのため、安易なM&Aは避けるようにし、注意深く進める必要があります。

本当に社長を辞めることが最善なのか?ほかの解決策も検討しよう

前項では、社長を辞める場合に取れる選択肢について紹介しましたが、必ずしも社長を辞めるだけが問題解決の方法ではありません。

社長を辞める理由が業績の厳しさなら、経営状態を改善することで解決の可能性は十分にあります。経費削減、顧客ごとの売上分析、ビジョンの見直しなど、改善のポイントは多くあります。

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まとめ

会社の現状が厳しく、将来性も見出せないことから、「社長を辞めたい」と考えている経営者は少なくありません。廃業や事業承継などは、問題解決の方法のひとつだといえるでしょう。
とはいえ、まだ会社を改善する余地は残されているかもしれません。経営状態が改善されれば、社長を辞めることなく問題解決する可能性は十分にあります。

社長を辞める決断をする前に、一度経営の専門家に相談するのがおすすめです。TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社なら、さまざまな会社経営をサポートしてきた実績から、お客様にとって最適な改善案を提供できるでしょう。