成功する企業は実践している!事業戦略の立て方とフレームワーク

事業を拡大したり、新規事業へ参入したりするうえで、事業戦略を立てることは重要です。事業を継続的に進めるためにも、自社にとって実行可能なものであるかを判断していきましょう。 この記事では、事業戦略の立て方についてその手順や方法を解説します。


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【5ステップで行う】事業戦略の立て方

「事業戦略」とは、一つひとつの事業ごとに立てられた戦略のことを言います。また、「戦略」とは、ある目的を達成するための総合的な計画や方法です。

したがって、事業戦略を立てるとは、ある事業の目的を達成するために手段や方法などを総合した計画を策定することを指します。

まずは、事業戦略の立て方の順序について解説しましょう。

1.事業戦略の目標を設定する

まずは、「なんのための事業計画なのか?」ということを明確にします。

一般に「目的」は、数値や数量で表すことができる定量的な目標と、数値化できない部分に着目する定性的な目標に分けることができるでしょう。

事業計画の目的を立てる場合には、「定量目標」を明確にしなければなりません。

具体的には、「来期の売上高を当期の1.5倍にする」、「〇月までに新規事業立ち上げ」など、数値や期間などを設定して、目標の進捗や結果が明らかになるような目標を設定します。目標達成を曖昧に終わらせることのないよう、誰が見てもわかりやすく明文化することが大切です。

2.現状分析する

対象となる事業の市場や業界の分析や、競合他社との比較により、自社の競争力を把握します。

すなわち、市場ニーズや顧客ニーズを明らかにし、競合先の事業内容やその規模を比較し、自社事業の強みと弱みを把握するのです。現在の事業が置かれた環境を客観視するわけです。

これらの現状分析は、事業戦略の方向性、つまりどのようなアプローチで目的を達成するのかを決めるのに役立ちます。

3.方向性を策定する

分析が終わると、対象となる事業が置かれている状況が明らかになります。次は、現状分析結果に基づき、事業の方向性を決めていきます。

この時点では、方向性をひとつに絞りこまずにあらゆる角度から検討しておき、事業戦略にある程度の幅を持たせ、数案策定しておきます。

4.フィジビリティスタディを行う

フィジビリティスタディ(feasibility study)とは、事業戦略の可能性を事前に調査することです。Feasibilityは実現可能性のことで、投入する費用とその効果や調達手段、顧客の志向などから客観的に実現可能性の評価を行い、どの戦略にするかを絞り込みます。

上記で策定したいくつかの方向性について、実行可能性や採算性などを見極め、最終的にどの方向性で事業を進めるかを明らかにしましょう。

5.施策を実行する

選択した事業戦略を具体的な施策に落とし込みます。

上記4で策定した方向性について、現実に合うところやかけ離れているところ(Fit&Gap)を見つけ、Gapを埋めるための課題・問題を明らかにし、さらに解決方法・手段を検討しましょう。

そして、重要度や緊急度などから具体的なタスク(作業)の優先順位を決め、戦略達成のためのスケジュールを完成させます。

このとき、できるだけ細分化したタスクに落とし込むことで、実行に具体性を持たせてください。

また、実際にやってみてスケジュールを変更した場合がよい場合には、臨機応変に対応することも必要です。スケジュールは「今、どこまでできているか」という情報を常にアップデートし、実行者全員で共有します。

事業戦略に必要なフレームワーク

フレームワーク(framework)とは、考え方における枠組み、ひな形のことです。

分析、意思決定、問題解決などに使われる思考パターンや、決まった手順を指します。
ここでは4つのフレームワークを紹介しましょう。

3C分析

3Cとは、「顧客(Customer)」、「自社(Company)」、「競合他社(Competitor)」の頭文字を表しています。顧客、自社、競合他社という立場の異なる3つの視点から戦略を分析する方法です。

これら3つのうち、まずは顧客の視点、すなわち市場の大きさや成長性、顧客ニーズなどを分析します。

次に、それに対して自社が提供できるものは何か、それに対して競合他社の動きはどうであるかを分析していきましょう。

PEST分析

PESTとは、「政治的要因(Politics)」、「経済的要因(Economy)」、「社会的要因(Society)」、「技術的要因(Technology)」の頭文字を表しています。

その事業を取り巻く外部環境が、現在または将来にどのように影響するかを予測する手法で、政治的、経済的、社会的、技術的側面からアプローチする方法です。

事業を取り巻く外部環境には、「マクロ環境」と「ミクロ環境」とがありますが、PEST分析が有効とされるのは、マクロ環境の把握になります。

業界のビジネスの動きは常に社会全体の変化、つまり「マクロ環境」に大きく左右されるため、中長期的にその事業の業界を取り囲むマクロ環境を把握する必要があるからです。

SWOT分析

SWOTとは、「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の頭文字を表しています。
SWOT分析は、古くからあるフレームワークのひとつで、SWOTの内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因の4カテゴリーにそれぞれの要素を記入し、クロスして分析する方法です。

SWOT分析では、たとえばS×O(強みを活かし機会を攻略する)など、S・W・O・Tのマトリックスにおける組み合わせから多面的な分析をすることができます。

ファイブフォース分析

ファイブフォースとは、5つの力(force)である「競合他社」、「新規参入者」、「売り手」、「買い手」、「代替品・代替サービス」の意味です。

これら5つの競争要因の要因を分析し、主として業界における収益性を分析し、新規参入可否の判断に役立てます。

企業は競争の中で事業を進め、その中においてはさまざまな脅威が潜んでいます。自社の周りにはどのような脅威があるのかを分析するのがファイブフォース分析です。

事業戦略を成功させるためのポイント

事業戦略を成功させるためには、どのように実施するかという点が重要です。

時間と労力をかけて生みだした戦略を成功に導くためのポイントをご紹介します。

PDCAを回す

目的達成のためには、戦略を立てて実践しただけで終わりではありません。最初に決めた戦略が必ずしも上手くいくとは限らないため、PDCAを回すことが大切です。

PDCAとは、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」を繰り返すことによって、業務を継続的に改善していく方法です。

まず、P(計画)は当初の計画だけでなく、リスケジュールして常に見直した最新のものを使います。ここで重要なことは、計画にあまり時間をかけ過ぎないことです。

次に、D(実行)により計画を実行します。このとき、その実行方法が有効かどうかを記録しておきます。

そして、C(評価)によって、計画どおりに実行できたかどうかを評価し、最後のA(改善)では、評価の結果、予定や実行の改善をすることです。

計画達成までこのPDCAを繰り返し行うことが重要でしょう。PDCAを繰り返すことを「回す」と表現します。

PDCAを回すときには、スピード感をもって実施することです。競合他社や顧客ニーズは常に同じところにあるものではないため、不安定・不確実な時代を乗り切るためには速さも求められます。

【PDCAのイメージ】

従業員からの協力を得る

実際に策定した事業戦略を実践することになるのは、従業員です。

いくら事業計画書が立派であっても、業務に落とし込むことが難しければ、実行はできません。

そのため、事業戦略を分析したり、評価したりする過程においては、従業員と一丸となって行うのが理想的です。

実際、顧客ニーズなどの外部環境、部門間のコミュニケーションなどの内部環境などは、経営者よりもむしろ従業員がより深く理解していることが多いでしょう。

従業員から収集した情報が事業戦略に活かされることは、その従業員にとって働くことへのモチベーションを上げることにもつながります。

まとめ

事業戦略を立てるにあたって、自社の内部環境・外部環境を客観的に把握することが重要です。社内で円滑に事業戦略を進められるように、従業員の意見を参考したり、PDCAを回したりするよう意識しましょう。

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