【成功事例】変化に対応できる企業になるための生き残り戦略

世界的なコロナ禍は、人々や企業の活動を制限し、行動様式を一変させました。この変化は一過性のものではなく、感染拡大の収束後も続いていくと考えられます。 変わりゆく世界に企業はどのように対応すれば良いか。その生き残り戦略を解説します。


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ビジネスにおけるこれまでの変化とこれから予測される変化

2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的な流行により、ビジネスのあり方は劇的な変化を余儀なくされました。経済や企業間競争、働き方について、これまでに起きた変化とともに、今後予測される変化を紹介します。

経済の変化

新型コロナウイルスの世界的な流行は、飲食業や観光業はもとより、さまざまな産業にダメージを与えました。

各国でワクチン接種が進み、コロナ禍以前の水準を取り戻しつつある業界もあれば、依然として厳しい業界もあり、全体として今後数年間は低成長かマイナス成長が予想されます。

企業間競争の変化

コロナ禍以前、ITの発達にともなって今までにないサービスの増加は予測されていました。しかし、コロナ禍によってその実現は予測より早い時期に、しかも急激なスピードをともなって訪れようとしています。

これまでビジネスといえば、新たな雇用や設備を導入して行われることが一般的でした。しかし、コロナ禍で経済活動が停滞しているなかで、それらはリスクとなります。そこで増加しているのが、雇用や施設、設備をもたずにできるビジネスです。

たとえば「Uber」は、一般人がドライバーとなって自分の車で客を運ぶという新たなビジネスモデルを確立し、従来型のタクシー会社と競合するようになりました。従来からあるタクシー会社は、Uberのような手法を持つ企業との競合は想定していなかったはずです。

これまでの業界にはない新たなサービスによって、業種の垣根を超えた企業間競争は今後も増加すると予想されます。

働き方における変化

コロナ禍以前から、終身雇用の時代は終わりつつありました。しかし、終身雇用を前提とした企業が依然として多かったのも事実です。ところが、コロナ禍で企業の経済活動が打撃を受け、今後数年はコロナ禍の影響を免れないという状況のなか、企業自身が雇用をリスクのひとつと考えるになると、終身雇用を維持することが難しくなります。

数年前から副業を許可する企業が登場していましたが、終身雇用の崩壊とともに「許可」は「推奨」に変化する可能性があります。

コロナ禍をきっかけに急展開を見せたもうひとつの現象として、テレワークが挙げられます。これまで、育児や介護など、家庭の事情によって「週に数回のテレワークを許可されていた」人々はいました。しかし、コロナ化をきっかけに国は感染対策としてテレワークの推進を企業に求めています。

大企業を中心にテレワークが進んだ結果、影響を受けたのが人事評価制度の見直しです。自宅で仕事をしている社員の評価方法については、成果主義に重きを置かざるを得ない状況になっています。

コロナ禍が収束しても、企業は成果主義を中心とした考え方へ舵を切っていくと考えられます。

時代の変化に対応できる企業になるための3つのポイント

コロナ禍をきっかけに、社会は急激に変化しています。コロナ禍が収束しても元に戻るのは難しく、企業にはその変化に対応する力が必要とされています。

では、時代の変化に対応する企業になるにはどうすれば良いのでしょうか。3つのポイントを紹介します。

明確なビジョンをもつ

これからの世の中は「VUCAの時代」といわれています。VUCAとはVolatility(変動性)・Uncertainly(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたもので、今後は明確な区別や指標がなく、不定形な時代に突入することを表現しています。

企業はこうした時代の中で、今後進むべき経営方針=ビジョンを明確にしておく必要があります。ビジョンが明確になっている企業は、時代の変化に振り回されることなく判断ができます。ビジョンがない企業では、情勢が変化するたびに経営戦略がコロコロ変わってしまうでしょう。

スピーティーな情報収集と判断

中長期で計画を立てていても、感染症の流行や災害など自分たちでは回避できない事象が原因となり、覆されることは今後も起こり得ます。対応策を考えるには、スピーディーに情報収集を行い、起きている事柄を把握することが重要です。

収集した情報をもとに予測を立て、素早く経営判断を行わなければなりません。しかし、情報収集の際には、ソースの見極めが重要です。収集元となるメディアによっては、デマや根拠不明な情報が数多く発信されているからです。

ビジネスニュースや専門機関のホームページなど、日ごろから正確な情報を得るためのソースを整理しておくと良いでしょう。

人材育成

時代の変化に対応できる企業になるには、時代に対応できる人材の確保と育成が急務です。変化に対応できる人材に求められるのは主体性と決断力をもったリーダーの資質、そして変化を恐れないチャレンジ精神です。

企業はこのような人材を育てて意思決定の権限を与え、いざというときに迅速な対応ができるようにしておく必要があります。

とはいえ、「時代の変化に対応できる人材育成」といわれても、具体的に社内で何をすればわからないという方も多いのではないでしょうか。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ」は事業承継対策としての人材育成支援を行い、多くのリーダーの卵のお手伝いをさせていただいてきました。将来に備えて人材育成に取り組みたいとお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

変化に対応し成功した企業事例

最後に、変化にうまく対応できた企業の成功事例を紹介します。

シャープ株式会社

2020年3月、コロナ禍で国内のマスク不足を解消するために、シャープは政府からの要請を受けてまったく未知の領域であったマスク製造に取り組みました。

この際に活用されたのが、液晶パネル製造用の「クリーンルーム」です。クリーンルームはホコリや細菌を排除した環境が保たれており、液晶パネルの製造には欠かせません。同じく高度な衛生環境を必要とするマスクの製造には、うってつけの場所でした。

「液晶の製造ラインで作られたマスクは衛生的」と、シャープのマスクは市場で高い評価を得ました。当初は医療機関へ供給を優先し、一般への抽選販売を行った際には応募が殺到。2020年11月時点でマスクの出荷枚数は1億枚を突破しました。

株式会社アダストリア

アダストリアは「niko and…」「LOWRYS FARM」「GLOBAL WORK」などのファッションブランドを展開するアパレル企業です。多くのアパレル店同様、アダストリアもコロナ禍で実店舗を休業し、売上は大きな打撃を受けました。規模を縮小、撤退したアパレル企業が多いなか、アダストリアはECサイトを強化することで乗り切ることに成功しています。

アダストリアでは、来店して試着ができなくなった消費者に対し、SNSや自社ECサイトでスタッフが商品を着用して着用感を伝えるライブ配信を行い、着こなしを提案する投稿を継続的に行いました。

その結果、2020年3~5月におけるECサイトの売上高は、前年同期比25.7%増となる134億円に成長。売り上げ全体のEC比率は42.8%を占めるまでになりました。

まとめ

コロナ禍をきっかけに、企業を取り巻く環境は劇的に変化しました。コロナ禍以前は一進一退だった各種業務のIT化や雇用の流動化の動きが、コロナ禍をきっかけとして一気に加速し、その流れはコロナ禍が収束しても元に戻ることはないといわれています。

これからの時代を生き抜くには、企業はもちろん、企業のリーダー的な人材にも変化に対応できる主体性と決断力、チャレンジ精神が必要とされます。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ」では、そのような人材を育てるお手伝いをさせていただきます。人材育成にお悩みの際は、ぜひご相談ください。