家族経営の強みを活かそう!経営がうまくいく5つの方法

有名企業のお家騒動などからマイナスのイメージをもたれることのある家族経営ですが、実際には日本企業の多くが家族や親族によって経営されています。実際、大企業にはない強みを生かせば長く安定した成長を見込めるなど、家族経営にはいくつものメリットがあるのです。 この記事では、家族経営の強みを理解するとともに、企業として今後も発展を続けるための方法を具体的に解説します。


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「家族経営」とは特定の一族が経営を行うこと

家族経営とは、一般的に、創業者一族が会社の経営権に深く携わっている状態を指します。

法人税法上では同族会社として、「3人以下の株主が同族関係者の株式(あるいは出資金合計額)の過半数を保有する会社」と定められています。わかりやすく言い換えると「近親者2人以上が経営権をもつ会社」ということです。

国税庁の「会社標本調査」によると、日本で活動する法人のうち96.4%は同族会社に位置づけられています(※1)。つまり、日本企業の9割以上が同族会社なのです。同族会社のすべてが家族経営に該当するとは限りませんが、その多くが家族経営である可能性は高いでしょう。

帝国データバンクのデータによると、2019年時点で業歴100年超の企業は約3万3千社あることがわかっています(※2)。このうち上場企業はわずか532社となっており、約98%が非上場企業です。

家族経営は相続や贈与に備えて多くは非上場を選択するため、長く経営を続ける会社の多くは同族会社であると予測できます。

※出典1:「会社標本調査(平成30年度分統計表)第11表 法人数の内訳」(国税庁)
※出典2:「「老舗企業」の実態調査(2019 年)」(株式会社帝国データバンク)

家族経営ならではの3つの強み

「家族経営大国」として世界経済を牽引してきた日本ですが、それでは家族経営にはどんな強みがあるのでしょうか。

長期的な事業の継続を目指せる

家族経営ではない場合、トップである社長の在任期間を定める会社が大半です。会社により任期は異なりますが、一般的には数年程度で任期を終えることになります。

社長は会社のかじ取りを行い、さらなる成長のために的確な経営戦略を練らなくてはなりません。しかし、任期に限りがあれば、その期間内にいかに結果を残せるかという短期的な視点に陥りやすくなります。

一方、家族経営であれば、同じ経営者が長くトップに立ち続けることができるため、長期的な視野にたって会社を導くことができます。

その結果、目先の利益にとらわれすぎず、企業としてさらなる発展につながる選択を行えます。任期を意識した経営を行う社長に比べると、斬新なアイディアや大胆な決断も行えるでしょう。

意思決定にスピード感がある

会社は経営者の独断では成り立ちません。出資者である株主に対して、安定した利益や配当を与えるという責任があるため、株主からの理解を得ながら経営を行わなければなりません。

たとえ会社として最善の経営を行っているつもりでも、株主の意向にそぐわなければ株主から拒否権を行使される可能性もあります。株主から反発を買わないように気を配るうちに、多くの意見から妥協点を見出す経営にもなりかねません。

しかし、家族経営であれば、経営陣はそのまま株主として経営権をもっていることが一般的です。拒否権を行使される心配なく、思うように経営を進められるでしょう。資金繰りや事業の進出・撤退のタイミングなど、経営上の重要な意思決定も遅れがなく実行しやすいことも魅力です。

経営理念の浸透が図りやすい

家族経営のもっとも大きな強みといえるのは、経営理念の浸透が図りやすい点です。

家族同士がお互いをよく知っており信頼関係が強いため、意思疎通しやすく、会社として向かうべき方向や目標を共有しやすいといえます。また、経営陣のあいだに強固なつながりと一体感があるため、従業員にも経営理念がスムーズに伝わるでしょう。

会社組織としてまとまりができると、一定の企業イメージや安定感が生まれ、社外の取引先からも信頼を得られます。

家族経営がうまくいく5つの方法

家族経営には特有の強みがあり、長く発展を続ける会社がたくさんあります。しかし、成功するには、家族経営ならではのデメリットを乗り越える必要もあります。

それでは、家族経営を成功させるために意識すべき5つの方法を紹介します。

1.信頼関係を築く

家族経営の会社は、経営陣が強い信頼関係で結ばれています。しかし、人間関係の距離感が近いために、意見の食い違いが出たときに感情的にぶつかりがちです。有名企業でも親子間で激しい争いになった例はたくさんあります。

どんな会社や家族でも、対立が生まれるのは当然のことです。ただし、家族経営の場合、親しいからこそ、そして会社を大切に思うからこそ、無遠慮にぶつかり合い、収集がつかなくなることもあります。

とはいえ、対立することは悪い結果を生み出すばかりではありません。対立の原因となった価値観の違いを理解し合えば、信頼関係をさらに強固なものにできるのです。お互いを尊重することを忘れずにしっかりと話し合い、価値観の共有を目指しましょう。

2.公私の区別をつける

家族経営が失敗する要因のひとつは、会社経営を公私混同してしまったときです。家族内だから許されると甘い考えで行った行為が、会社を衰退させることもあります。

たとえば、近親者への人事評価に私情を交える、会社のお金や備品をプライベートで利用する、経営方針に家族の意見を優先して取り入れるなどが考えられます。

公私の区別をつけない言動を続けるトップの姿は従業員や取引先にもみられています。やがては信頼を失い、見放されてしまうことにもなりかねません。

経営者は、従業員に対して働く姿勢やモチベーションの原動力となるよう、いつでも誠実な言動に務めることが大切です。

3.評価や採用プロセスの透明性を高める

いくらクリーンな家族経営を心掛けていても、家族が経営陣を占めるということはそれだけで身内びいきを疑問視される可能性があります。

特に、ともに働く従業員に対しては配慮が必要です。人事評価や採用プロセスなど、会社の運営に関わる決定事項については、家族間の話し合いや私情で決めず、透明性ある制度や仕組みを取り入れるようにしましょう。

たとえば、従業員の実績を正当に評価する仕組みをつくるなど、透明性を高めることが重要員の意欲向上につながり、結果として会社の発展にも良い影響を与えます。

4.社外取締役を設置する

取締役会は、会社の業務をチェックし、業務遂行に関わる意思決定を行う重要な機関です。株主を交えることなく重要事項を決定するのが、株主総会との大きな違いです。

家族経営となると、取締役会が内輪の話で終わってしまい、正しく機能させるのが難しい場合があります。家族内での取締役会は視野が狭くなりやすく、適切な決断を下しにくいのです。

そこで重要なのが、取締役会における社外取締役の設置です。社外取締役は経営陣ではありますが、経営には直接携わらず、意思決定の場面で意見を述べます。

家族ではない、公平な目線を持つ第三者を社外取締役に迎えることで、会社の発展に寄与する現実的な意思決定に役立つでしょう。

5.経営理念の策定と浸透を図る

創業者の経営理念が引き継がれやすいことは、家族経営の強みです。しかし、家族間で理念を理解していても、従業員にまで浸透しているとは限りません。理念に基づいた一体感のある会社にするには、従業員からも理念に対する共感を得ることが大切です。

経営理念を広く浸透させるために積極的な対策を練りましょう。まずは理念を明文化し、研修を開くなどして従業員が経営理念に触れ、理解する機会をつくるのがおすすめです。経営陣からの押しつけと感じられないよう、親しみを持ってもらえるよう心がけて下さい。

明確な経営理念を策定して会社全体で共有していれば、難しい経営選択を迫られたときにも、一人ひとりが理念に基づいた適切な行動を取れるはずです。

経営理念の策定や浸透について検討中でしたらTOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社へぜひご相談ください。家族経営の強みを活かし、企業として今後も長く発展を続けるために、万全のサポートをいたします。

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まとめ

家族経営の会社は経営陣が強い信頼関係で結ばれており、経営陣と株主が一体化しているため
スピーディな経営判断を行えるなどの強みがあります。しかし、家族だからこその甘えや内輪の判断に偏ると、従業員や取引先から理解を得られないリスクも考えられます。

長く発展する会社であるためにも、社外取締役といった第三者視点を取り入れる、経営理念を全従業員で共有するなどの施策が大切です。

より効果的な施策をお考えなら、企業サポートの実績と経験が豊富なTOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社までぜひご相談ください。