会社の成長を左右する「社長の器」とは|社長の器を広げる秘訣を解説

会社の伸びしろは社長の器(うつわ)で決まるとよくいわれています。しかし、社長の器を具体的に測る方法があるわけではなく、自身の器はどれくらいなのか、どうすれば今以上の器となれるのか、悩みを抱えている方も多いでしょう。 そこで、社長の器を測る基準となる要素や会社経営で重要視される理由、今後さらに大きな器となるための方法を解説します。


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社長の器として必要な要素は「社員を信じて任せること」

社長は企業経営のトップです。企業内でもっとも大きな権限と責任をもつため、経営者としての鋭い洞察力、そのときどきに最適な選択を下す判断力、企業で働く従業員を率いる指導力など、さまざまな能力が求められます。

社長の器を判断する要素のひとつが、こうした経営者としての資質です。

たとえば、経営哲学や信念、度量、価値観など人としてのスケールを表すヒューマンスキルは、社内外で多くの人とコミュニケーションをとる社長には欠かせない土台となるスキルです。ほかにも経営を行う基礎となる一般的なビジネススキルも器の大きさに影響するでしょう。

ただし、経営上求められるスキルだけが社長の器を決めるわけではありません。

会社は10人規模であれ1,000人規模であれ、全員が同じ行動認識のもとで業務に携わることで、ひとつの組織として成り立ちます。会社の経営理念を浸透させて、全従業員に進むべき指針を示せるかどうかは、社長の器によるといえるでしょう。

個々の従業員に優れたスキルや能力、成長の可能性に対して全面的に信頼を寄せることは、社長の器の大きさを示す要素といえます。従業員との信頼関係が社長と従業員、双方の器を広げ、強く大きな企業を作るのです。

社長の器の大きさは会社の成長を左右する

社長の器とは関係なく、独断的なワンマン経営や優秀な従業員の存在で急成長を遂げる会社もあります。それではなぜ、社長の器が会社経営に影響するとされるのでしょうか。

ここでは、社長の器の大きさと会社の成長との関係について解説します。

会社の規模は社長の器以上にならない

自分のもつスキルや知識、経験だけを信じる独善的な社長は、自分の器以上には会社を大きくすることはできないでしょう。

周囲や従業員を信用できない器の小さな社長の多くは、自分の力を過信する傾向があります。そのため、失敗や損失が生じると、自分ではなく、従業員や取引先、業界の動向などに原因をみつけようとします。要は他人や環境のせいにしてしまうのです。

これでは真の原因を解消できないどころか、新たな失敗や損失を被ることにもなりかねません。責任転嫁された周囲からも信頼を失います。

また、過度な自信から己を律することなく感情のままの言動を繰り返し、人望をなくすケースもあります。

社長ひとりのワンマン経営であっても、ヒット商品に恵まれる、新規参入で話題を集めるなどして、会社を大きく成長させる立役者となる可能性はあります。しかし、社長の器がそのまま会社の伸びしろを断ってしまい、10年、20年と成長を持続させるのは難しいかもしれません。

社長の器を磨くことで会社の成長につながる

会社の経営で重要な判断や決断を担うのは社長ですが、会社は社長ひとりで運営されるものではありません。先述のとおり、従業員を信頼して個々の器を活かすことも、社長の器のひとつです。

会社の規模にもよりますが、従業員を信頼するということは決して簡単なことではありません。従業員を信頼するには、経営理念の共有は前提になりますし、成功も失敗もすべて引き受ける度量が求められます。自分ですべて行うほうが簡潔なことも多いでしょう。

また、業務を任せられた従業員が能力を発揮するには、生き生きと働ける労働環境を心がけることも重要です。

それでも、従業員からの信頼を受ける大きな器をもつ社長であれば、従業員の数だけビジネスの可能性を広げることになり、会社の大きな成長につなげられるでしょう。

社長の器を磨いて広げる方法

会社の発展のために社長の器は広げておきたいところです。しかし、社長の器は社長個人が生来もっているヒューマンスキルによるところが大きく、急に大きくするのは難しいでしょう。しかし、日々の努力や意識の変革によって器を磨き続ければ、少しずつ広げられます。

最後に、社長の器を磨き、広げるのに役立つ方法を紹介します。

私利私欲の考えをなくす

社長の器を磨くために重要なのが、私利私欲の考えをなくすことです。

社長が私利私欲のために動く会社では、従業員の働く意欲は低下します。たとえば、売上が大きく上がったからと、社長が会社の経費を使って高級車を買ったとしましょう。

経費計上による節税は会社経営のひとつの手法です。しかし、社長個人が利用する車の購入は、従業員にはどう映るでしょうか。会社の利益のためにがんばってきたつもりが、実際は社長の個人的な私利私欲のために働かされたと感じ、仕事へのモチベーションは削がれるでしょう。

従業員から働く意欲が失われれば、会社の経営は停滞し、成長どころか存続も危ぶまれるおそれがあります。

もちろん、実際に節税効果を狙いたいときもあるでしょう。その場合には、従業員も公用車として公平に利用できる、臨時ボーナスを付与するなど、私利私欲と受け取られないための配慮を行えるかどうかが社長の器にかかっています。

また、会社は個人で成り立たないことを忘れてはいけません。社長は個人の私利私欲を優先することなく、組織を支えるすべての人が幸せになれるように立ち振る舞うことが重要です。

従業員やその家族が気持ちよくすごせる会社は活気とやる気にあふれ、長く成長を続けます。個人の私利私欲のためではなく、従業員やその家族のために働くことが、ひいては会社の成長、社長自身の利益につながるのです。

私利私欲は、物欲や金銭欲だけではなく、一見すると社長の器を広げてくれそうな向上欲が含まれることもあります。向上欲は決して悪いものではありませんが、計画性や実現性のないまま会社を大きく有名にしたいなどの無謀な向上欲をもてば、組織に混乱をもたらします。

安定した経営を続けることが、すなわち社長の器を磨くことにもなります。

社員と一緒に広げよう努力する

ビジネス環境の変化がスピードを増すなか、たとえ順調に成長を続けている会社の社長であっても、常に勉強し続ける姿勢が必要です。新しいビジネス論、競合他社のメルマガや業界新聞などで知識を吸収することも、社長の器を磨くことに役立ちます。

しかし、勉強だけでは器を急に大きくするのは困難です。

そこでおすすめなのが、従業員の器を借りて新しく得た知識を実践することです。学ぶことだけで満足してしまうと、社長の器を磨くことにはなりません。また、取り入れてみたところ、現場では通用しない知識だったとわかることもあるでしょう。

従業員の協力を得るには、なぜ新しい知識を必要とするのかを理解してもらう必要があります。そのために重要なのが経営理念の確立と浸透です。社長として会社に求めるもの、理想とするゴールを共有していれば、従業員は会社のために積極的に動いてくれることでしょう。

まとめ

社長の器は、ヒューマンスキルのほか、会社経営に対する意識や心がけによって磨くことができます。

気を付けたいのは、社長個人の私利私欲を優先することです。従業員やその家族、取引先など、組織を支える人たちの幸せや利益を考えるようにしましょう。

従業員と信頼関係を築き、会社の成長につなげるには、経営理念の共有が欠かせません。社長の器を磨く第一歩として、まずは経営理念を浸透させることから始めるのがおすすめです。

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