人材定着につながる!人事理念の概要と重要性を解説

「優秀な人材がなかなか定着しない」「社員が意欲をもって働いてくれない」 このような悩みを抱えている経営者は多いのではないでしょうか。人材が定着しなかったり、在籍している社員にやる気が見られなかったりする原因として「人事理念」が整っていないことが原因として挙げられます。人事理念とは、人材の採用・育成をする上で必要不可欠なものです。 この記事では、人事理念とは一体どのようなものか詳しく解説し、人事理念に必要な要素などについて紹介します。


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人事理念とは社員に対する考え方を示したもの

人事理念とは、会社が社員に対する考え方を示したものです。

経営理念を実行していくためにどのような人材が必要か、人材をマネジメントしていく上での判断基準として使われます。

人事理念では、会社が社員に何を求めるか、社員のどのような資質や行動を評価するかなどをわかりやすく示す必要があります。

また、人事理念は、経営理念や行動理念、経営戦略の下に置かれるものです。経営理念や行動理念で会社のあり方や事業の方針を定めていても、人事理念が整っていなければ、人材の採用や教育がうまくいかないどころか、経営をスムーズに進めることが難しくなります。

その結果、経営理念や行動理念を実行できる人材を社内に置くことが困難になり、経営戦略がうまくいきません。

経営理念や行動理念は掲げているものの、人事理念を掲げている企業は少ないのが現状です。

人材を重要視した経営には、人事理念が必要不可欠です。人事理念を定めていない企業は、早急に人事理念を作成する必要があります。

人事理念に必要な3つの要素

人事理念を作成する際に、盛り込むべき3つの要素があります。ここでは、それぞれの特徴と必要性を解説します。

要素1:基本理念

人事理念に必要な要素のひとつが基本理念です。基本理念とは、人事理念の最も重要な部分のひとつです。会社が社員に求める価値観の根源にあたるものといっても良いでしょう。

基本理念は会社が社員に求める人間像だけでなく、社員の処遇についても含む総合的な考え方になります。つまり入社してから退職するまで、会社に在籍する全期間における社員に対する考え方を表現するのが基本理念です。

具体的には、会社における社員のあり方や取ってほしい行動、社員の昇給や昇進に関する処遇の仕方に関する要望などを盛り込みます。

全社員が基本理念を認識し、内容を理解する必要があります。人事理念を作る際は、基本理念に抽象的な言葉だけを記載するのではなく、できるだけ具体的な内容を記載するようにしましょう。

要素2:求める人物像

求める人物像も、人事理念の作成に必要な要素のひとつです。基本理念において、社員に求められる要素を人物像としてわかりやすく言語化します。

例えば「自身の仕事に自信を持てる人」「思いやりの心がある人」「責任感が強い人」「実行力のある人」などです。

求める人物像は、経営理念を実行していくためにも重要な要素です。求める人物像を決める際は、経営理念との整合性を考慮する必要があるので注意しましょう。

また、求める人物像は、会社にどのような人材が必要なのかを示す指標になります。

人材の採用や育成などの根幹になるものなので、今後の企業運営が上手くいくかどうかを決める判断軸ともなります。

要素3:行動指針

人事理念には行動指針を盛り込むことも必要です。行動指針とは、社員がとるべき行動、行動する際の判断基準を具体的に示したものです。

前述したとおり、人事理念には「基本理念」と「求める人物像」のふたつの要素が重要です。そのふたつの要素と矛盾が生じない内容を定める必要があります。

では、行動指針にどのような内容を記載すればよいのでしょうか。新卒・中途問わず、新入社員が入社後すぐに社員としての行動を具体的にイメージできるものが望ましいです。社員全員が具体的な行動としてイメージできれば、比較的短期間で会社に必要な人材を育成することにつながります。

また、行動指針には会社内の行動だけでなく、会社外での行動についても記載する必要があります。会社外での行動についても記載することで、社員が会社の評判に悪影響を及ぼす行為をするリスクを未然に防ぐことができるでしょう。

ただし、行動指針をどれほど具体的に定めたとしても、社員が行動指針に基づいて行動しなければ、元も子もありません。また、社員自身が自分の行動が行動指針に沿ったものなのか曖昧な場合、スムーズな判断ができなくなります。

そこで、社員が自らの行動が適切かどうか、行動指針に基づいた判断をしているかどうか確認できる項目を定める必要があります。

例えば、給与や昇給を決める評価軸に、行動指針を盛り込むとよいでしょう。より社員が行動指針に基づいて行動できるようになります。

【人事理念】一貫性のある社内施策が必要

人事理念は規定して終わりではありません。人事理念に沿った行動をするように、すべての社員に促す必要があります。

社員に人事理念を浸透させるためには、一貫性のある社内施策が必要です。社内施策がない、あってもその施策に一貫性がない場合は、会社に悪影響を与えるおそれがあります。

ここでは、社員に人事理念を浸透させるために、一貫性のある社内施策が必要な理由を解説します。

社内施策の効果を十分に得られない

人事理念において、一貫性のある社内施策がなければ社内施策の効果を十分に得られないという事態を招きかねません。

例として、勤務時間の長さを社員の評価基準としている企業を想定します。この場合に働き方改革の一環として、勤務時間を限定しないフレキシブルな働き方などを導入すると、一貫性のない社内施策になります。

長時間働いている人を評価する制度のままでいると、休日を増やしても労働時間は変わらず、人件費がかさんでしまう事態に陥ってしまいます。

このように施策が場当たり的になってしまうこともあるので、人事理念との整合性を考慮して一貫性のある社内施策を行うよう心がけることが必要です。

働き方改革として新たな施策を取り入れる際は、不都合が生じるのを未然に防ぐためにも、これまでの考え方を変えることも検討しましょう。

社員の離職を招いてしまう

一貫性のある社内施策が必要とされるもうひとつの理由として、社内政策に一貫性がなければ社員の離職を招いてしまうおそれが挙げられます。人事理念と施策に一貫性がないと、社員の会社への不信感が高まってしまいます。

例えば、人事理念に社員の幸せを掲げている場合に、会社の業績悪化を理由にリストラや給与カットが行われるケースです。社員の業務成績に関係なく、会社の業績が悪いためにリストラや給与カットを安易にすることは、社員の幸せを掲げた人事理念に反することになります。

リストラや給与カットの対象となっていない社員まで、会社への不信感を募らすことにつながります。結果として、社員の離職を招いてしまうリスクをもたらしてしまうでしょう。

人事理念と社内施策にギャップがある場合は、速やかに見直すことが大切です。

まとめ

人材を育成したり、成長意欲をもって働いてもらったりするためには、人事理念の明確化が必要になります。

人事理念は、会社における社員に対する考え方を示したものです。会社が社員に何を求めるか、社員のどのような資質や行動を評価するかなどを示します。人事理念がない、もしくは社員に浸透していないと、会社の経営はうまくいきません。

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