人事評価制度は失敗することがほとんど?失敗の原因と見直しのポイント

人事評価制度を整備したもののうまくいかないと、運用に課題を抱えている会社もあるかと思います。人事評価制度を作っても失敗してしまう原因は何でしょうか。 この記事では、人事評価制度でよくある失敗例と対処法を紹介します。


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人事評価制度でよくある失敗

人事評価制度でよくみられる失敗には以下のようなものがあります。

・社員にとって納得感のある評価制度になっていない
・評価制度の形骸化でうまく機能していない
・社員のモチベーションが低下している
・評価制度を作ったことでかえって退職者が増加している

このように、社員のモチベーションアップなどのために取り入れた人事評価制度が逆効果になり、モチベーション低下を加速させてしまったり、退職を招いたりすることがあります。なぜこのように失敗に終わってしまうのでしょうか。

次項で、失敗の原因と対処法をあわせて説明します。

人事評価制度は失敗する企業がほとんど?失敗の原因と対処法

人事評価制度にまつわる失敗例を取り上げましたが、まず前提として100%完璧な人事評価制度を作ることはできません。時間をかけて制度を練っても、制度と相性の悪い社員、制度に対する不満はどうしても出てくるものだからです。

完璧な人事評価制度は存在しないことを踏まえたうえで、人事評価制度を作成して運用を始めても失敗したと感じてしまう原因とその対処法を紹介します。

1.評価基準があいまいになっていた

人事評価制度の失敗の中でも制度上の不備として挙げられるのが、評価基準のあいまいさです。

評価基準が明確に設定できていないと、人事評価に評価者の主観や感情が入ってしまい、公平な評価が難しくなってしまいます。最終的な評価が評価者のスキルに大きく依存してしまうためです。

評価者の主観や感情などが大きく人事評価に影響してしまうと、不公平な評価になるだけでなく、社員の不満も大きくなってしまいます。

評価基準は、評価者次第でどうとでも取れるようなあいまいな設定にするのではなく、数値を用いるなど客観的な事実をもとに設定していくようにしましょう。

評価基準を数値で表すことが難しいときは、評価基準とのすり合わせをしっかり行えるよう、評価者に対して説明しておくことも大切です。

2.成果主義に偏ってしまった

人事評価制度を誰でも理解できるよう明確にすることが必要です。しかし、基準を明確にするあまり成果主義に偏った評価になってしまうことがあります。

成果主義的な部分も必要とはいえ、あまりにも成果主義に寄った基準にならないよう注意しましょう。場合によっては社員の仕事への意欲を削いでしまうことになります。

また、目標の達成を人事評価制度の成果と結びつけている場合は、評価を上げるためにあえて目標設定を低くする社員が出てくることもあります。

成果も指標としてあっても良いですが、成果のみを評価するのではなく、社員の挑戦や成長にも目を向けた人事評価制度作りが重要です。

3.社員の理解を得ないまま導入してしまった

導入時の失敗が、人事評価制度全体の失敗原因になることがあります。例えば、社員の理解を得ないまま人事評価制度を導入することが挙げられます。

人事評価制度の運用は人事担当者だけでなく、現場の社員も行うためです。そのため、社員に評価制度の目的を伝えず、理解を得ないまま制度を導入してしまうと、負担に感じる社員も増え、制度が形骸化することもあります。

人事評価制度をしっかり運用していくためにも、経営陣や人事担当者だけで導入を進めるのではなく、当事者となる現場の社員にもしっかり理解してもらうことが重要です。

形骸化を防ぐためにも、制度の目的や運用の方法など導入の前に社員に対してしっかり説明を行うようにしましょう。社員の制度に対する納得感があれば、運用を失敗するリスクも抑えられます。

4.評価者の能力不足や理解不足があった

人事評価は人が行うものですので、無意識に主観や感情が影響してしまうものです。同じ社員の評価でも評価者によって評価が著しく異なるような場合は、評価者の能力不足や人事評価制度への理解不足を疑うべきでしょう。

評価者の能力や理解度などが人事評価を大きく左右してしまうと、人事評価制度に対する社員の不満は大きくなってしまいます。

評価者が適切に評価できるようにするためには、環境を整備することが必要です。まずは、評価者の理解不足で人事評価が大きく割れないように、評価者が制度を正しく理解できるようにしましょう。

評価者に対する制度の説明のほか、評価の精度を高めていけるような評価者研修の実施やトレーニングが効果的です。具体的な研修内容としては、座学やロールプレイングによるマネジメント能力の育成、評価スキルや面談スキルの向上などがあります。

また、評価者の主観ができるだけ入り込まないよう、客観的に能力を評価できるような制度作りも重要です。

5.評価が社員の待遇に反映されていなかった

人事評価が高くても給与や賞与、昇格などの待遇に反映されないと、社員のモチベーションは下がってしまいます。人事評価制度を導入するときは、報酬や等級制度などと連動させて運用していかなくてはなりません。

社員が納得できるように、成果や努力を公平に評価したうえで、評価の高い社員には納得感のある待遇を用意することが必要です。

人事評価制度で昇格しても、給与などの待遇は上がらないといった矛盾した状況も避けるべきでしょう。役職に就いて仕事が増えたものの、待遇が良くならない場合は社員の意欲も上がりません。

このように人事評価制度が失敗する原因はいくつか考えられます。多くの社員が納得できるような人事評価制度にしていくためには、まずは原因を探ることが先決です。

人事評価制度がうまくいっていないなら、なぜうまくいっていないのか失敗の原因を把握しましょう。原因ごとに解決策は異なりますので、ここで取り上げた対処法を参考に改善できるように制度を整備していく必要があります。

人事評価制度はこまめな見直しが重要

前述したとおり、人事評価制度を100%完璧なものに仕上げることは困難です。また、はじめから完璧な制度を構築することもできません。

自社にとって理想の人事評価制度を作ったとしても、実際に運用してみるとイメージどおりにいかないといったこともあります。社員一人ひとりとの相性の良し悪しも影響するでしょう。

また、案を練って作った人事評価制度も導入から時間が経つと陳腐化してしまいます。導入当初はほとんど隙のない人事評価制度だったとしても、運用にあたって社員の負担が大きいなど数年後に問題が表面化するためです。

完璧な人事評価制度を作成できないこと、時間が経てば劣化することを考慮して作成するのが望ましいです。はじめからほぼ完璧な制度を作り上げようとするのではなく、導入後こまめに見直しを行いつつ運用するのが現実的でしょう。

評価の見直しを行うことで、人事評価制度の陳腐化を防げるだけでなく、精度の向上にもなります。定期的に見直しを行い、制度をブラッシュアップしていけるような体制にしましょう。

また、人事評価制度に失敗したからといってそこでストップしないことも重要です。失敗は失敗として受け入れ、失敗を糧に直していくことで評価制度は改善していけます。

まとめ

人事評価制度の運用がうまくいかないことで、社員のモチベーションが低下してしまうなど、評価制度に課題を抱えている企業も見られます。人事評価制度については100%正しいといえる答えがありませんので、運用をしながらこまめに改善を図ることが大切です。

今回は人事評価制度について取り上げましたが、企業の抱える経営課題はさまざまです。経営がうまくいかないなど経営課題(組織づくり)でお悩みの方は「TOMA100年企業創りコンサルタンツ」へご相談ください。