企業の成長につながる「組織戦略」の立て方と3つのポイント

企業が成長し続けるためにも、経営者は常に「組織のあり方」を意識しなければなりません。なぜなら、時代の変化に応じて、社会や顧客から求められるものも変わるため、企業はそのつど新しい価値観を取り入れ、組織体制を変えていく必要があります。 とはいえ、従来の組織体制を新しく変えることは一筋縄ではいかないでしょう。企業として目指すべき姿を打ち出し、社内へ浸透させていくためには「組織戦略」を立てることが重要となっていきます。 この記事では、企業の組織戦略の立て方について解説します。


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組織戦略とは?事業戦略との違い

そもそも戦略とは、とある目的を達成するために必要な計画や方法のことを指します。
とりわけビジネスにおいては、「企業が目指すべき方向に進んでいくための計画や方法」といった意味で使われています。

では、企業が持続的な成長を目指し、組織の文化やビジョン、社員の意識を大きく変革するための「組織戦略」とはどのようなものでしょうか。

ここでは、組織戦略の定義について解説します。

組織戦略とは?

組織戦略とは、「理想とする組織」を実現するための総合的な施策や方針のことです。
組織を理想的な状態にするにあたって、組織戦略では「組織としてありたい姿」と「実現するためのシナリオ」を決めます。

企業のありたい姿を実現するためのシナリオは、さまざまな可能性を考慮したうえで策定することが重要です。

シナリオには、たとえば目に見えるものでは、人事評価制度や就業規則、研修制度などがあります。一方、目に見えないものとしては個々の社員のモチベーションや企業、仕事への満足度などが挙げられます。

組織戦略と事業戦略の違い

組織戦略に対して、事業戦略とは「事業のあり方」を実現するための施策や方針のことを指します。先に事業の目的やビジネスモデルなどがあり、その事業の実現に向かって組織を考えるのが事業戦略です。

したがって、「組織戦略」と「事業戦略」は両方とも戦略ではありますが、理想の組織を目指すのか、事業における理想の成果を目指すのか、それぞれ重点の置き方が異なります。

理念を浸透させて組織力を向上させたい、強い組織力を養成したい場合には「組織戦略」を実施するのが良いでしょう。売上目標の達成や上場などを目指す場合には「事業戦略」を実施します。

最終目標が「組織」か「事業」なのかは、企業の現状に応じて経営者が判断します。

組織戦略の立て方

ここでは、目標を「組織」にフォーカスした組織戦略の立て方について、4つのステップに分けて解説します。

「組織力」の向上を目指すためにも、以下のステップで実践してみてください。

1.課題を把握する

はじめに、現時点における企業の課題を把握します。理想とする企業理念や経営ビジョン、そして現在の経営状況との差を確認しましょう。

具体的には、人事における課題と事業における課題に分け、現在抱えている課題・問題を洗い出します。

課題を見つける際は、正確な情報を得ることが大切です。人事や財務のデータだけから判断せずに、実際の現場も把握するようにしましょう。

たとえば、社員に職場に対する満足度や期待度などをヒアリングしたり、社内でアンケートをとったりなどすれば、社員から率直な意見を集めることが出来ます。

目標と現状のギャップを認識し、改善すべき点を明らかにすることによって「今後の課題」を具体的な問題に落とし込みます。

2.理想の組織像や人物像を設定する

次に、理想とする組織像や人物像の姿を設定します。課題を解決するための新たな組織を描き、そこに期待される人物の役割や行動を想定します。

特に人物像については、リーダーに何を求めるのか、担当者にはスキルごとにどの水準が必要なのかを具体的に挙げ、それぞれのポジションにおける必要な知識や経験、マインドを決定します。

また、人事配置をする際は「適材適所」を意識すると良いでしょう。

現社員の中から、個々のスキルや特性を踏まえたうえで人事配置することで、生産性の向上につながります。

3.社内制度を見直す

人事に課題がある場合には、人事制度をはじめとするほかの社内制度に問題があると考えられます。社内の実情にそぐわない制度、実際には機能していない制度などがあれば見直しましょう。

社内制度はいくつかの制度が相互に関連している場合があります。見直し範囲を小さくまとめるのではなく、改革の趣旨を明らかにして抜本的に変えるほうが、制度間の矛盾はなくなります。

4.改革プロセスを立てる

改革を具体的に進め、組織に新たな文化を築くためにはどのような手順が良いのか、プロセスをしっかりと練ります。教育や配置転換などを実施する場合において、段階的に、その過程を検証しながら進める必要があります。

ここで重要なことは、「事業の本質に沿った業務プロセス改革であるか」をよく検証する点です。

たとえば、ベテラン工員の作業から生まれる品質の高さが事業の本質である場合、改革によってその工員を配置転換することは正しいとは限りません。

現在のリソースの中で、何をどの手順で実行するかは、あくまでも事業の本質に沿って考えなければなりません。

組織戦略を立てる3つのポイント

ここからは、組織戦略を立てる場合の3つのポイントをみていきましょう。

意識を共有しやすい管理体制を整える

強い組織とは、経営者の発信を社員が自らの行動に結びつけて考えることのできる組織です。つまり、経営陣と社員の意識が共有できる体制が整っている状態が望ましいでしょう。

たとえリモートワークであっても、体制がしっかり構築されていれば、組織内の連携はスムーズに行われます。

このような強い組織をつくるためには、社員を適切に管理できる仕組みが必要です。

管理とは、単に制約を加えたり、監視したりすることではなく、管理される者の持つ能力を最大に発揮できる環境を提供することです。社員の多様性を認めつつも、共有すべき考え方が浸透するようサポートします。

すべての社員が公平な環境を整える

現場社員の中に不満を抱えているメンバーが多いと、組織戦略を立てにくいばかりか、計画を実行することが難しいでしょう。現場社員の不平、不満はなるべく早いうちに解決策を打つことが大切です。

たとえば、人事評価を明確にしたり、人事に関して気軽に相談できる窓口などを設けるなどしたりして、不平・不満の解消に努めましょう。

組織戦略の専門家に相談する

試行錯誤を重ねているものの、場合によってはうまく運用できないケースもあるでしょう。

組織戦略を成功させるためには、経験豊富な専門家のサポートを受けるのも有効な手段です。

社内制度の見直しだけをとっても、現行の社員だけでは割ける労力や時間に限界があります。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」では、組織戦略の立案から実行、調整などのご相談を承っております。

理念経営に長年取り組んできたTOMAのコンサルタントが、企業理念の確立はもちろん、貴社にふさわしい「組織のあり方」について、方針の策定からアフターフォローまで幅広くサポートします。

組織戦略でお困りであれば、ぜひTOMA100年企業創りコンサルタンツにお問い合わせください。

まとめ

組織戦略は、企業によって優先順位が異なります。事業としての成長を重要視する場合は事業戦略が優先されますが、「社内の一体感を高めたい」「組織としての力を強めたい」といったことを優先される場合は、組織戦略を重視すると良いでしょう。

組織戦略に決まりきったものはないため、まずは組織としてありたい理想像を明確にしたうえで、自社にとって適切な施策を打ち出していきましょう。

組織戦略によって、社員と会社がひとつになった「強い組織」を作り出すことで、さらに企業の価値を向上させていくことにもなります。