生き残る企業の「組織変革」とは?基本となる2つのプロセス

激しく変化するビジネス環境や先の見通しが立てにくい現代においては、企業が長く成長を続けるためには組織変革が欠かせないといわれています。とはいえ、組織変革とは具体的に何を実施すれば良いのでしょうか。 この記事では、企業の組織変革を成功に導く方法や課題について解説します。現在、経営上の課題を抱えている企業は、今回紹介する内容を参考にしてみてください。


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企業に組織変革が必要な理由

企業における組織変革とは、持続的な成長を目標に、組織の風土や内部構造、運営に変化をもたらす取り組みのことです。現時点で順調に運営されている組織であっても、すでに変革すべきタイミングが訪れている可能性もあります。

まずは、企業に組織変革が必要となる理由を紹介します。

外部環境の変化

企業を取り巻く外部環境は、日々刻々と変化し続けています。

たとえば政府主導による働き方改革、ITやAIといった技術の進歩、新型コロナウイルスの流行など、ここ数年だけでも外部環境はめまぐるしく変わっているといえるでしょう。

こうした外部環境の変化に対応できない場合、生産性が下がったり新たな利益をつかむチャンスを失ったりと、企業の成長にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

他社との競合に打ち勝ち、さらなる成長を目指すためには、外部環境の変化をすばやく捉え、会社として組織変革に取り組むことが大切です。

内部環境の変化

企業の内部環境の変化によって、組織変革の必要性が増すこともあります。

第一に考えられるのが、企業の生産性低下です。
たとえば、業績好調にもかかわらず十分な人員を配さなければ、人手不足や長時間残業により、従業員のモチベーション低下が危惧されます。業績悪化を理由にした人員整理であっても、説明不足から従業員の労働意欲が下がり、悪循環となることもあるでしょう。

ほかにも、粉飾決算など企業のトップによる不祥事の発覚が考えられます。不祥事を許す組織がそのまま存続すれば、社内外から不信感を持たれるだけではなく、再度同じトラブルを招くことも考えられます。再発防止の姿勢を示すためにも、不祥事が発生したら組織変革が欠かせません。

組織変革のプロセス

組織変革の代表的な手法が、『クルト・レヴィンの3段階プロセス』と『ジョン・コッターの8段階プロセス』です。
この項では、それぞれのプロセスの要点を解説します。

クルト・レヴィンの3段階の組織変革プロセス

ドイツに生まれ、社会心理学者としてアメリカで名を馳せたクルト・レヴィンは、従来の方法を破壊し(解凍)、変化させたのち(変革)、新たな価値観を構築する(再凍結)という3段階のプロセスを組織変革で重視しました。

レヴィンの提唱した3つのプロセスを順番に説明していきましょう。

1.解凍

これまでとは違う組織へと変革するために、レヴィンがまず必要と考えたのは、組織の現状を把握して「変えるべき」という危機感を持つことでした。そのために、既存の組織を当たり前のものとする認識を「解凍」します。

既存の価値観や文化に慣れた組織を新しい姿に変えるためには、組織に関わるすべての人間が来るべき変化への準備を整えなければなりません。安定した現状から新しい組織へ変わることの必要性について、従業員から十分な理解を得ることが大切です。

2.変革

「解凍」のプロセスを経ることで、経営者を含めた従業員全員が組織変革の必要性を認識します。しかし、適切な行動を取らなければ組織変革は成功しません。それどころか、「必要に迫られている」という認識だけが定着し、企業文化の衰退や労働意欲の低下をもたらすおそれもあります。

そこで次に進めるべきなのが、新しく取り入れる組織文化を学習するプロセスです。目標となる組織へと変わるために、従業員一人ひとりが何をなすべきか、具体的な思考や行動を身に付けます。

3.再凍結

「変革」のプロセスで学習した内容を組織に定着させるのが「再凍結」です。

組織の新しいスタイルを定着させるためには、長い時間がかかります。そのため、新しい習慣は繰り返し実践していき、成功事例を増やすようにしましょう。

成功事例を積み上げることで、従業員が手応えを感じるようになり、組織文化を刷新することができます。

ジョン・コッターの8段階の組織変革プロセス

ハーバードビジネススクールの教授であり、経営コンサルティング会社も設立したジョン・コッターは、8段階のプロセスによる組織変革を推奨しています。レヴィンによる3段階のプロセスよりそれぞれの段階が具体化されているため、企業として導入しやすいといえるかもしれません。
以下にジョン・コッターによる組織変革のプロセスについて解説します。

1.危機意識を高める

外的要因あるいは内的要因によって危機的状況にあり、組織変革が企業の緊急課題として認識することが最初の一歩となります。ビジネス市場の変化、高い離職率など、目の前にあるトラブルを見過ごさず、「企業として対応すべき危機だ」という認識を全従業員に徹底させましょう。

2.変革を推進するチームをつくる

すでに安定した組織を変革するのは並大抵のことではありません。まずは、企業という大きな組織を動かすための小さな組織をつくります。変革を推し進められる、知識と経験を備えた人員をそろえ、専門性の高いチームをつくることが重要です。

3.ビジョンをつくる

組織変革を進めるためには、理想となるゴール設定が必要です。どのような組織となってどのような目標を達成したいのか、企業として組織のビジョンを明確にします。

4.ビジョンを周知徹底する

組織のビジョンが定まったら、全従業員に周知を徹底します。

従業員には新しい組織の一員として働いてもらうことになるため、「知ってもらう」だけではなく「理解してもらう」ことが大切です。ミーティングや社内報、勉強会など、さまざまな方法で徹底的に周知に努めましょう。

5.従業員の自発的な行動を促す

新たなビジョンのもと、企業の組織変革を成し遂げるには、全従業員が一丸となって取り組むことが重要です。新しい組織の障害となる業務やシステム、規制などを排除し、従業員が率先して行動できる状態を築きます。

6.短期的な成果を上げる

組織変革をスムーズに進めるために、短期間で達成しやすく、目に見えてわかりやすい目標を設定します。

組織が安定から変革へ進む過程ではミスやトラブルはつきものです。ネガティブな経験を積み重ねると従業員の意欲が下がってしまうため、小さな成功体験を積み重ねる努力が求められます。

7.変革を進める

6つ目のプロセスで成功体験を重ねるうちに、従業員は組織変革によるメリットを認識するようになるでしょう。組織変革に対する意義が従業員に浸透したら、さらに大きな目標に向かって変革を進めていきます。

8.変革を定着させる

変革した組織を企業の新しいスタイルとして定着させます。目標に向かって行動を促すことなく、従業員が新しい組織を企業文化として受け入れて自然に行動できるよう、企業に変革をなじませることを心がけます。

組織変革でよくある課題と解決策

せっかく組織改革を行おうとしても、さまざまなトラブルに見舞われてしまい計画が頓挫してしまう企業もあります。

最後に、企業の組織改革で想定される課題と解決策について紹介します。

課題1.納得が得られない

役員・従業員といった社内の立場に関係なく、安定を好み組織が変わることに警戒心や反発心を抱く人は、どの組織にも存在します。このような心理的な阻害要因を取り除くためには、「なぜ組織改革が必要なのか」について、十分に納得してもらうことが重要です。

特に、組織のトップである経営者による説明は大きな影響力があります。組織変革への不安を軽減させるべく、すべての従業員に丁寧な説明を行いましょう。

課題2.変革が定着しない

組織変革の一環で新しいツールやワークフローを導入したものの、現場での定着が予定通りに進まないことがあります。原因として考えられるのは、組織変革のメリットを実感できないなど、現場の労働意欲の低さです。

従来との違い、導入のメリットなど、変革がもたらす魅力が伝われば、組織への定着が進みやすくなります。

大きな目標だけではなく、日々の業務に直結した具体的かつ分かりやすい目標を提示するのが効果的です。積極的に実施する人物を評価する制度を採用するのも良いでしょう。

とはいえ、日々の企業活動と組織変革を並行して進めるのは容易ではありません。組織変革を検討中であれば、数多くの組織づくりをサポートしてきた実績を持つ「TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」へぜひご相談ください。

TOMAでは、理念・クレド導入のコンサルティングを行っています。経営者を含め、全従業員への企業理念の浸透や実践を丁寧にバックアップしますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

組織変革は、長く成長する企業であり続けるためにも、必要に応じて行われるべきです。とはいえ、すでに安定している組織であるほど、新しいスタイルへと変わることは容易ではありません。適切なプロセス、従業員からの十分な理解がなければ、変革は難しいでしょう。

組織変革を検討しているものの、なかなか実行できないときは、専門家のサポートを受けるのも方法のひとつです。その際は、組織改革に関して豊富な実績を持つ「TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」までぜひご相談ください。