目次
リーダー育成にまつわる課題
次世代を担うリーダーをうまく育てられない場合、会社の環境や制度など、何らかの課題をクリアしなければなりません。
リーダー育成を阻む主な課題には、次の4つが考えられます。
リーダーを育成する体制・制度が整っていない
リーダーを育成するには、組織のトップを育てるのに適した体制や制度を準備する必要があります。
例えば、経営者としての視点やスキルを身につけるためのチームの編成、困難な業務やポジションに挑戦させるストレッチアサインメントの整備など、リーダー育成にふさわしい教育制度の整備が不可欠です。
リーダーとしてのモチベーションを高めるために、目標の設定から過程、達成までを正当に見極める人事制度があるかどうかも重要となります。
また、忘れてはいけないのが、リーダー育成にかかる資金です。教育チームや制度の整備を整えるためにコストがかかるほか、育成中はリーダー候補者たる優秀な人材が現場から離れる点にも考慮が必要です。経営資源が十分でなければ、リーダー育成が難しくなります。
リーダーを育成するための時間を取れない
次世代のリーダーとなるためには、会社のマネジメント能力や経営知識、リーダーシップなど、さまざまな知識やスキルを身につけなければなりません。そのため、リーダー育成には数ヶ月から数年の時間が必要です。
育成中は、候補者のみならず、育成に携わる人材の時間も使うことになります。会社の利益や目前の経営目標を考えると、多くの人材を業務から離脱させるのに抵抗を感じる管理職は多いでしょう。また、人手が減ることに対して現場から不満の声が出てしまうことも考えられます。
こうした現場優先主義からリーダー育成に時間を取れず、計画が頓挫することはめずらしくありません。
リーダー候補の選定基準が曖昧である
リーダー育成の根幹となるのが候補者の選定です。そもそもどのような人材をリーダー候補とすべきか、方向性が定まっていなければ会社の将来を任せるリーダー育成は難しくなります。
リーダーとしてふさわしい人材の基準は、これまでの業績や人事評価を重視する、チームの統率力やマネジメント能力を優先するなど、会社や選ぶ人の立場などによって異なります。時代の変化が激しい現代では、多角的な判断から候補者を選定する必要もあるでしょう。
いずれにせよ、リーダーの選定基準が曖昧なままでは候補者を絞ることができず、育成を進められません。
育成にかかる費用対効果がわかりにくい
リーダー育成は、売上のようなわかりやすい数値で、達成度を測ることはできません。リーダーたる存在として成長したと判断する基準も不明瞭であるため、会社として費用対効果を把握しづらいことも課題のひとつです。
さらに、時間のかかるリーダー育成は早めに行われることが望ましく、その分、身につけた知識を現場で発揮するまでに空白の期間が生じやすいといわれます。そのため、一時的な研修で終わってしまうリスクもあるでしょう。
リーダーを育成するための4つの手順
リーダーの育成は時間がかかるだけではなく、社内で連携を取って協力し合う必要があります。そのためにも、育成プランを明確にし、周囲から理解を得られる環境を整えることが大切です。
そこで、リーダー育成をスムーズに進めるために、重要とされる4つの手順を確認していきましょう。
リーダー候補の選定基準を明確にする
会社を率いる優秀なリーダーを育成するために、まずは候補者の選定基準を明確にしておきましょう。
リーダーに求められる要件は、会社によりさまざまです。しかし、従業員のことを考え、社会や経済の動きを読み、適切な経営判断を下すリーダーを育てるには、マネジメント能力、経営知識、リーダーシップの3つに重点を置いた育成が不可欠です。
また、リーダーを育成する必要性や理想とする最終的なリーダー像を具体的に掲げておくことも重要です。必要性や育成のゴールを具体化しておけば、周囲からの理解を得られやすくなり、育成を計画的に進められます。
リーダー候補者を選定する
リーダー候補の選定基準が具体化したら、基準にもとづいて候補者の選定を進めます。
現場の責任者から推薦を受ける方法が一般的ですが、この方法では業績として現れにくい個々のポテンシャルを正当に評価できない可能性があります。現在の評価だけではなく、仕事に対するモチベーションや将来性など多方面から判断し、人材をピックアップするようにしてください。
また、次世代のリーダーとなる人材と出会うために、他薦だけではなく自薦による応募を検討する、会社の枠にとらわれず社内外から選定するなど、チャンスの広がる選定方法を採り入れる方法も良いでしょう。
いきなりひとりの候補者に絞るのではなく、複数の候補者をリストアップしてから育成段階ごとに人数を絞っていく「ロングリスト・ショートリスト方式」による選定もおすすめです。
リーダー育成計画を設計・実践する
候補者が選定されれば、いよいよリーダー育成計画を立てて実践します。
育成計画を立てる前にまず行うべきは、候補者の強みや弱みを把握することです。長所をさらに伸ばす計画をしましょう。
経営知識を身につけるOff-JT、困難な課題にトライさせることで洞察力や決断力を磨くタフ・アサインメントなどの座学や訓練のほか、他社や異業種との交流も良い経験となります。
また、組織を率いるリーダーとしての意識を高めることも育成には欠かせません。育成段階で候補者が自ら考え、発信する機会を設けることも重要です。
育成結果を評価・改善策を検討する
育成の結果を評価し、改善策があれば実施することも、次世代のリーダーを育てるために大切な要素です。段階ごとに適したアセスメントを行い、育成計画の精度を高めるためには、日頃からPDCAサイクルを意識することを心がけましょう。
候補者を育てるための計画を立てる(Plan)、計画にのっとって実施する(Do)、計画の結果を検証して現状を把握する(Check)、改善策やより良い指導法を模索する(Action)。このPCDAサイクルを基本にすることで、候補者が育成によってリーダーとしての学びを得ているかを評価できます。
さらに、候補者のモチベーション向上や育成する側の課題の早期解決などに役立ちます。
リーダー育成を成功に導くためのコツ
組織のトップとなる次世代のリーダー育成は、決して簡単なことではありません。時間も資金もかかり、期待どおりに進められると断言できるものでもないでしょう。リーダーが育つ会社は組織としても成功を収める事例が多く、後回しにせず、積極的に取り組むことが重要です。
それでは最後に、リーダー育成を成功させるためのコツをお伝えします。
最優先課題として全社を挙げて取り組む
リーダー候補者は将来の会社を引っ張る立場となる人材、つまり会社にとって必要となる人材です。そこで、リーダーの育成を行うときには、最優先課題として経営層をはじめとした関係者に周知を徹底するようにしてください。
育成の進捗報告、候補者との意見交換などで日頃から情報を共有する場を設けるのも方法のひとつです。候補者を直接指導する人物のほか、経営陣、現場の従業員を含め、全社で協力し合う姿勢や意識をもちましょう。
こうした全社的な取り組みによって、候補者は組織からの期待を実感でき、リーダーとしての自覚が育ちます。また、組織にとっても、候補者のリーダーとしての適性や資質を直接感じる機会を得られます。
リーダー候補者に寄り添った育成を心がける
リーダー候補として選ばれると、要職につくことの責任など、さまざまな不安を抱えるかもしれません。適性のある優秀な人材であったとしても、プレッシャーや悩みの大きさに押しつぶされる可能性があります。
そこで、対話や環境改善などによって不安を解消するよう、リーダー候補者に寄り添った育成を目指すことが大切です。所属する部門の上司や人事部などのほか、将来は肩を並べて働くことになる経営陣とも直接話し合う機会を設けると良いでしょう。
また、複数の候補者から人数を絞っていく場合、育成途中で候補から外れた人材へのケアも重要です。対象外となった理由を曖昧にせず、今後のキャリアについて話し合います。こうしたケアの有無が、その後もさらなる活躍を左右するでしょう。
多くの会社でリーダーの交代時期が迫っているとされる日本では、次世代のリーダー育成が急務とされています。しかし、候補者の選定ができないなどの事情から、リーダー育成を後回しにしている会社も多いようです。
リーダー育成にお悩みなら「TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」へお任せください。絆を大切にした候補者選びや事業承継を数多く手がけており、自社に適したリーダー育成を丁寧にサポートいたします。
まとめ
組織を率いる次世代のリーダー育成には、社内環境の整備や適切な育成計画の策定など、さまざまな課題をクリアする必要があります。成功させるためには、全社を挙げた最優先課題として取り組むことが大切です。
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