分社化の4つのメリット!分社化を成功に導くには?

分社化とは、会社の資産を分けて子会社を設立することです。 会社を分けて小さくすることから、分社化にマイナスのイメージをもっている経営者の方もいるでしょう。しかし、分社化をすることで、会社にとってさまざまなメリットがあります。 今回は分社化とは何か、分社化を行うメリットについて解説します。


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分社化とは小会社をつくること

分社化とは、もともとひとつの会社を、事業内容やエリアなどで分けて、子会社を設立することをいいます。分社化とよく似た言葉に子会社化がありますが、両者は別のものです。

ここでは、分社化と子会社化の違いや分社化の方法について見ていきましょう。

子会社化との違い

分社化も子会社化も、「子会社をつくる」という意味では同じです。しかし、分社化と子会社の大きな違いは、資金の出し方と出資率にあります。

資金の出し方

分社化は、親会社の資産を分散させて新しく別会社を設立します。「資産を分ける」ことに重点を置いているのが特徴です。

子会社化では、親会社が「資金を出す」ことになります。資金を出して新しい会社を設立したり、ほかの会社を買収したりして、子会社をつくります。

出資率

分社化と子会社化では、親会社が出す資金の出資率が異なります。

分社化では、子会社に対して親会社が100%出資します。一方、子会社化では、一般的に子会社に対して親会社が50%以上を有すれば良いことになっています。

分社化は親会社の出資率がより高いことから、分社化のほうが子会社に対する支配力が強いといえるでしょう。

分社化の3つの方法

親会社の資産を分散させて別会社を設立するといっても、その方法はひとつではありません。分社化の主な方法には、次の3つがあります。

1.一部の事業を切り離して、新しく設立した子会社に移す

複数の事業を展開している会社が分社化する場合に多い方法です。会社から事業を切り離して、独立させます。

2.ふたつの会社がそれぞれ一部の事業を切り離して子会社に移す

分社化はひとつの会社だけで行うとは限りません。ふたつの会社がそれぞれ一部の事業を切り離して、子会社に移すこともできます。

3.一部の事業を切り離して、別の会社に承継させる

すでに子会社がある場合は、一部の事業を切り離して子会社に承継させることもできます。この方法も分社化のひとつです。

このように分社化にはいくつかの方法があり、目的や会社の状況などで、どの方法で分社化するのかを検討します。

分社化の4つのメリット

分社化には、さまざまなメリットがあります。ここでは、分社化の代表的なメリットを4つ紹介します。

1.節税効果がある

分社化のメリットのひとつは、節税効果があることです。

中小企業の場合、法人税の税率は所得金額に応じて2段階になっています。所得金額が年800万円を超えると、超えた分については税率が上がります。

たとえば、分社化前に、年800万円を超える所得金額があった場合です。2社に分社化した結果、どちらの会社も年800万円以下の所得金額になった場合は、全体の法人税が低くなります。

また、消費税についても節税効果があるケースもあります。これは、分社化によって新しく会社を設立すると、最大2年間消費税の免除が受けられるというものです。

ただし消費税については、支配関係などで優遇が受けられるかどうか異なるため、節税効果があるかどうか慎重に見極める必要があります。

2.倒産のリスクを減らせる

分社化は、倒産のリスクを減らせるメリットもあります。万が一、ひとつの事業で大きな赤字が出た場合、その赤字がほかの事業に負担をかけ、最悪の結果、会社が倒産することもあるかもしれません。

分社化をしていれば、たとえ子会社で大きな赤字が出たとしても、親会社に与える影響は限定的なものとなり、親会社が倒産するリスクを避けられるでしょう。

3.社員のモチベーションアップにつながる

組織が大きくなると、上層部と従業員の意思疎通が難しくなったり、連帯感が失われたりすることも多いです。従業員のモチベーションを下げる原因にもなるでしょう。

分社化して組織をコンパクトにすることで、従業員に対して事業の成果を見せやすくなります。

また、分社化し新たな組織をつくることで、社員が上の役職につける可能性が広がるなど、昇給のチャンスが多くなることもあります。

結果的に、従業員のモチベーションアップにつながるでしょう。

社内で沈んでいる部門があるなら、分社化が従業員に良い刺激を与えられます。

4.事業承継の手段として活用できる

分社化は、後継者問題を解決することもできます。それは、分社化を事業承継の手段として活用できるからです。

たとえば、後継者候補が複数いる場合、会社がひとつだと誰を後継者にするのかで揉めるおそれがあります。

分社化をすることで、それぞれの会社を後継者に継がせることができるようになり、納得感のある事業承継ができるでしょう。

また、後継者が会社経営の力量が不足している場合も、分社化は効果的です。後継者には、いったん分社化した、規模が小さく運営しやすい会社の役職につけることで、経営者としてのスキルを養うことができます。

このように分社化は、事業承継のさまざまな手段として活用できます。

分社化に向いている企業の特徴

分社化をうまく行えば、企業はさまざまなメリットを受けることができます。

では、分社化に向いている企業には、どのような特徴があるのでしょうか。分社化に向いている企業には、次の特徴があります。

後継者を育成したい企業

後継者を育成したい企業は、分社化に向いています。なぜなら、後継者に分社化した会社の経営を任せることで、経験を積ませることができるからです。つまり、分社化により人材育成をすることができます。

分社化した会社で経営の手腕を身に付けたのち、後継者を本社に呼び戻して経営の手伝いを任せれば、本社の経営のことも理解でき、よりスムーズに事業承継ができるでしょう。

新規事業を始めたい企業

新規事業を始めたい企業も分社化に向いています。

親会社で新規事業を始めると、ほかの事業にまぎれて新規事業をしていることをアピールできなかったり、専門性を高めることが難しかったりといった問題が生じることがあります。

その点、新規事業を別企業として運営することで、その事業に特化した会社にすることができ、専門性を高めることができます。

とはいえ、新規事業を別会社として展開する際に気になるのが、新会社設立にかかる手間のことです。新会社設立の手続きにリソースをまわせないケースも多いでしょう。

その場合は、会社設立代行を専門としている会社に設立代行を依頼するのがおすすめです。専門家に依頼することで、社内で生じる手間を省き、会社設立までをスムーズに済ませることができます。

業績が伸び悩んでいる企業

分社化は業績が伸び悩んでいる企業にも向いています。特に社内で業績の良い事業と伸び悩んでいる事業が分かれている場合は、分社化を検討すべきかもしれません。

万が一、倒産の危険が生じた場合でも、業績の良い事業を独立させることで共倒れのリスクを回避し、好調な事業や部門を生き残らせることができます。

分社化を成功に導くには?

分社化は、分社化すべき事業の検討、タイミング、手続きなど、さまざまな要素を見極める必要があります。経験やノウハウがなければ、自社のみで行うのは難しいでしょう。

そこで、分社化を成功させるためにも、知識と経験の豊富な専門家の手を借りましょう。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社なら、経営に関するあらゆる悩みごとをワンストップで解決に導きます。経験豊富な専門家が、貴社の現状や課題、ニーズを正確に捉えたうえで、分社化を含めた組織再編をしっかりサポートします。

分社化をお考えの場合は、ぜひ一度、TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社へご相談ください。

まとめ

分社化とは、もともとひとつの会社を事業内容やエリアなどで分けて、子会社を設立することです。倒産のリスクを減らせる、事業承継の手段として活用できるなど、多くのメリットがあります。後継者を育成したい企業や新規事業を始めたい企業は、分社化を検討してみましょう。