企業理念はどう実践に落とし込むか?ポイントはクレドの作成

経営者たるもの、確たる企業理念をもち事業を展開していきたいと思うものです。企業としてのあり方や存在意義を従業員が理解できれば、日々の業務の中で企業理念を意識した行動や意思決定を実践することができるでしょう。 しかし、理念の策定後、どのようにして社内に浸透させていくべきか、悩まれる経営者も多いのではないでしょうか。 この記事では、企業理念を社内に浸透させるための実践方法や他社の事例について解説します。


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企業理念は作るだけではダメ!実践に落とし込むことが重要

企業の基本姿勢や価値観を示す企業理念は、経営者の考える「社会における企業のあり方」を明文化したものです。

しかし、経営者がいくら立派な企業理念を掲げたとしても、従業員の間で浸透しなければ意味がありません。そのうえ、企業の中心である経営者が理念に基づいた行動をとっていないと、従業員からの信頼を失い、理念の浸透からは遠ざかってしまいます。

企業理念を社内で浸透させ、従業員の行動基準として機能するには、より実践的な方法で理念を根付かせる必要があります。

企業理念を具体的な行動や原則に落とし込むことによって、従業員も理解しやすくなり、業務の中で主体的に適切な判断を下すことができるでしょう。

また、経営者自らが理念の実践をしながら、全社一丸となって徹底していくことも大切です。

企業理念を浸透させるためには、「クレド」を活用するのがおすすめです。

企業理念の実践には、「クレド」が便利

クレド(Credo)とは、企業理念に基づいて作られた、従業員一人ひとりの行動指針を簡潔にまとめたものです。もともとはラテン語で信条や志、約束などの意味をもちます。

企業理念は、会社全体を見据えているため表現が抽象的になりがちですが、クレドは従業員それぞれの立場で具体的な実践に落とし込んだ行動指針や原則です。

普段からクレドを意識してもらうために、社内で様々な取り組みをしている企業も多くみられます。名刺サイズのクレドカードを作成して従業員に携帯してもらったり、小冊子にまとめたりと、社内に浸透しやすい形にすることで、組織の一体感を醸成します。

クレドカードがあれば、従業員はいつでも行動指針を確認することができるため、日頃から企業理念に基づいた判断や行動を取りやすくなるでしょう。

クレドを活用した企業理念の実践事例

ここでいくつか、クレドを利用した企業の取り組み例をみていきましょう。

ザ・リッツ・カールトン

ザ・リッツ・カールトンでは、「ゴールド・スタンダード」という独自の企業理念をクレドカードにまとめています。この「ゴールド・スタンダード」には、「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供すること」が言及されています。

クレドは12のサービスバリューズに分かれ、従業員はクレドカードの携行が義務付けられているのです。

12のサービスバリューズのうち、3番目には「私は、お客様の願望やニーズには、言葉にされるものも、されないものも、常におこたえします。」とあります。

ここでは、はっきりと「お客様の言葉にされないニーズにもこたえる」ことが行動指針となっていることがわかり、従業員の行動がぶれないように実践への工夫が見てとれるでしょう。

参照:ザ・リッツ・カールトン

ジャパネットグループ

ジャパネットグループでは、小冊子にまとめられたクレドが毎年全従業員に配付されます。クレドの内容は現場の声を反映し、毎年ブラッシュアップされており、常に今取り組むべきことがわかるようになっているのです。

「関わるすべての方の『今』を楽しくしたい」と平易な言葉で表した企業理念ですが、実践のための行動基準に関しては、従業員の間で決められます。

例えば「快適にご利用いただくだけでなく、期待を超えるサービスで感動していただきたい」というクレドがあります。

この「期待を超えるサービス」を具体的にどうするかについて、朝礼やミーティングにおいて話し合いが行われるため、社内全体でクレドを徹底して意識していることがうかがえます。

参照:ジャパネットグループ

ニチレイフーズ

ニチレイフーズでは、従業員のモットー及び行動指針を「ハミダス」としています。
従業員の「ハミダス」気持ちを形にするのがニチレイフーズのクレドであり、あわせて「3つのお約束」と「7つの基本価値の追求」を定めています。

例えば、「ハミダス」の行動指針には「互いに多様性を認め合い、対話を通じて連携します」という項目があります。

これは「ハミダス」の視点のひとつとして、多様性を相互に認めながら対話によって連携することと具体的に浸透しやすい考え方に落とし込んでいるといえます。

参照:株式会社ニチレイフーズ

楽天

楽天では、独自の「楽天主義」という価値観のもと、すべて四字熟語からなる「ブランドコンセプト」と5つの項目から構成される「成功のコンセプト」というクレドを定めています。

「成功のコンセプト」には、「常に改善、常に前進」、「スピード!!スピード!!スピード!!」などの項目があります。クレドの一つひとつが難解な用語で書かれていては携行していても覚えづらいものですが、楽天のクレドは印象に残りやすく、非常に覚えやすいものになっています。親しみやすさ、覚えやすさもクレドを浸透させるためには重要な要素です。

参照:楽天グループ株式会社

企業理念やクレドで悩んだらTOMAにご相談ください!

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社では、理念・クレド導入コンサルティングサービスを行っています。

理念経営に長年取り組んできたTOMAのコンサルタントが、蓄積されたノウハウをもとに、企業理念、経営理念などのご相談をさせていただいております。

TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社では、企業理念(経営理念)やクレドの作成だけでなく、掲げた理念を実際に従業員に浸透させるための考え方や、さらには具体的な実践方法への落とし込みまでトータルでご支援いたします。

まとめ

企業理念を従業員全員に意識してもらうためには、ただ周知するだけでは効果がありません。抽象的な表現では従業員がどのような行動を取るべきかわからなくなるため、わかりやすく明文化されたクレドカードを携帯してもらうようにすると、業務の中で自然と企業理念を意識した行動をすることができるでしょう。