【企業の成長戦略】成長の核となる成長戦略を策定する際のポイントを紹介!

自社の事業が安定を継続しているときこそ、将来のさらなる発展を模索し取り組む良い機会です。成長戦略を策定することで、企業がこれから目指すべき方向性が見えてくるかも知れません。 この記事では、「成長戦略」の種類や策定の効果的な方法などを解説します。


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自社の成長を達成するための方針である成長戦略の代表例

成長戦略といってもさまざまな種類がありますが、自社の業種や規模、現状によってとるべき方法も変わってきます。

代表的な成長戦略の方法は以下の4つです。

差別化戦略

差別化戦略とは、自社と競合する他社との差異を明確にし、同業および同種商品における優位性を確立させる方法です。

競合他社と同じ商品を取り扱っているだけでは、価格競争となるだけで利益は減少し、会社は疲弊してしまいます。

しかし、同じ種類であっても非常に高品質であったり、他商品より優れたデザインであったりといった特長があれば、多少割高であっても消費者はその商品に魅かれるでしょう。いわば自社商品をブランド化する形の戦略といえます。

多角化戦略

現在の事業とは別の市場で新たな事業を起こすのが、多角化戦略です。複数の市場で事業を展開することで、社会情勢の変化などで経営危機に陥るリスクを軽減することが可能です。また、それぞれの事業が関連し合うことで、利益が上がる「シナジー効果」やコスト削減が期待できます。

多角化経営はさらに細かく、比較的近い分野の市場に事業展開する「水平型」「垂直型」、既存のノウハウを活かして新たな分野に乗り出す「集中型」、既存事業とまったく違った市場で事業展開する「コングロマリット型」に分類されます。

集中戦略

集中戦略は差別化戦略の一種で、ターゲットとなる顧客層や販売地域を絞り込み他社との差別化をする、いわば「一点集中主義」で実現するかたちです。

大手企業のような全国展開は無理でも、特定のターゲットのニーズに特化することでその分野でのシェアを大幅に拡大することが可能になります。

グローバル戦略

発想を転換させ、世界に目を向けて市場を新規開拓、あるいは事業展開を行う形がグローバル戦略です。

具体的には人件費を抑えられる海外に生産拠点を移す、海外のニーズに応えて開発した商品を自国で展開する「リバース・イノベーション」などが挙げられます。

成長戦略の策定・実践に効果的な手法

どの成長戦略の種類をとるかについては、分析に基づいた考察が必要です。

自社企業に効果的な戦略を策定するための分析方法を、3つ紹介します。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」とは、会社の資産(現金、人材、機械など)を無駄なく各事業へ分配するための分析手法です。多角化経営企業を想定してはいますが、単独事業であっても「各商品への経営資源の分配を最適化する」ために用いることが可能です。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントによる分析は、縦軸に①「市場成長率」横軸に②「相対的市場シェア」を置いたうえで、市場に存在する事業を、①②とも高い「花形」、①が高く②が低い「問題児」、①が低く②が高い「金のなる木」、そして①②とも低い「負け犬」という4つに分類します。

「花形」は、将来性のある市場において高いシェアを得ている事業を指します。売上げは多いものの、魅力的市場ゆえ企業間の競争が激しく、一定のシェアの維持のためには多くの経営資源が必要となるため、差し引いた利益はどうしても少なくなります。

「問題児」は、せっかく成長の見込まれる市場にいながら、シェアが伸ばせない事業です。新規参入した事業は、原則この「問題児」となり、シェアを伸ばすための経営資源投資は欠かせません。投資のためには、企業内にほかの安定した利益を上げる事業があることが必要です。

「金のなる木」は、「低値安定」の事業です。成長が見込めない市場なので新規参入は少なく、競争もあまりありません。したがって経営投資がさほど要らず、利益的率はその分大きくなります。

「負け犬」は成長が見込めない市場で、相対的シェアが低い事業です。経営資源を投資する必要はなく、むしろその市場からの撤退を視野に入れるべきかもしれません。

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクス」とは、アメリカの経営学者イゴール・アンゾフが開発した、縦軸「市場」横軸「製品」の2軸を設定し、それを「既存」「新規」に分けて2×2の行と列(マトリクス)にした分析方法です。マトリクスで分類される4種類の戦略は以下のとおりです。

市場浸透戦略

市場、製品ともに「既存」に位置する企業が、すでにある製品の売上を高めていくことを目的とする戦略です。購買欲を刺激する付加価値や、リピート購入を促す割引チケットを配布するなどの工夫が考えられます。

新商品開発戦略

市場は「既存」ですが、そこに「新規」商品やサービスを送り込む戦略です。例えば、これまでになかった新たな料理のレトルト食品を開発し、日常レトルト食品を利用している消費者はもちろん、その新料理が好きな人が新しく顧客になることで売上を伸ばすという方法が挙げられます。

新市場開拓戦略

「既存」の商品を、新たな「市場」に打ち出す戦略です。例えば、和食を「海外市場」で展開する、学生向けの文房具を「大人」向けに販売する、といった具合です。

意外な組み合わせが真新しさとして大ヒットする可能性がある一方、参入市場やターゲット層を読み間違え、売上が上がらないおそれもあります。

多角化戦略

新しい「市場」に、新しい「製品」で勝負する戦略です。新規事業を立ち上げ、いきなり新市場に乗り込むこともできますが、かなりのリスクをともなうため、どちらかといえば多角化経営の一環としてとられることが多い手法です。

新市場であっても既存企業にネームバリューがあれば、信頼性や顧客といった強みで勝負に挑めるでしょう。

リストラクチャリング

日本では、「リストラ」と聞くと会社が従業員を切り捨てるといったネガティブな印象がありますが、実は、リストラは「リストラクチャリング(restructuring)」の略で、「企業構造改革」「事業再構築」という意味の単語です。成長戦略においては、企業もしくは事業の価値を高めるために行う行為の総称として用いられます。

有望な事業や部門は、経営資源の投資や買収などで拡大させる一方、採算の取れない事業は、縮小や売却、撤退に取り組みます。

M&A

M&Aは企業が事業の買収、売却を行うことです。譲受企業は、既存事業を手に入れることで人員やノウハウを同時に得られ、新規事業を一からはじめるより効率的に取り組めるメリットがあります。

一方、譲渡企業は売却で得られた資産で残った事業の拡大に取り組める、コストを削減できるといったメリットがあります。また近年問題となっている後継者不足を解決する方法としても有効です。

アウトソーシング

企業の特定の業務を第三者である専門業者に委託する「アウトソーシング」により、業務効率化を図る方法です。

例えば、営業部門を営業のプロに委託するといった具合です。自社の従業員の営業スキルを高めるより効率的であることが多く、成果報酬制を取り入れれば売上アップも期待できます。

成長戦略を考える際は会社全体の目的を明確にする

ここ数年の社会情勢は正に予測不能の事態が続き、なかなか長期的なビジョンが見えづらくなっています。

しかし、成長戦略の策定には目先の利益ではなく、企業全体として5年後、10年後にどうありたいかという長期的イメージを明確にする必要があります。

また、成長戦略は決して経営者一人で考えるものではありません。企業の各部門、場合によっては従業員とも話し合い、方向性を確認しながら行いましょう。社外の専門家に客観的評価をしてもらうのも一案です。

まとめ

自社の将来的発展と継続のためには、自社に合った成長戦略を策定することが必要です。
まずは自社の強みと弱みを分析し、どのような戦略をとれば良いかを、必要に応じて他者の意見を聞きつつ考え、取り組んでいきましょう。

その際、自社のイメージを長期的に捉えて方向性を見極めることが重要です。もし企業の将来性に不安がある場合は、「TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」へご相談ください。経営におけるさまざまなお悩みを、高い専門性と豊富な実績をもとにサポートいたします。