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ベンチャー企業と老舗企業の違い
100年企業を目指す際には、ベンチャー企業と老舗企業の違いを押さえておきましょう。
ベンチャー企業とは、成長段階の若い企業です。自社商品の売上げを伸ばしたり、ブランド価値の向上を徹底したりと、特定の分野を突き詰めていく必要があります。また、社風や理念など会社の文化を同時につくることも必要です。
対して、老舗企業は無理をしてまで企業を成長させる必要はありません。なぜなら売上が急に上がりすぎると、社員に負担が掛かるためです。しかし、着実に企業は売上を確保していかなければなりません。このような条件をクリアし、経営のバランス感覚に長けている特徴をもつのが100年企業です。
100年企業に共通している4つの特徴
創業から100年以上続いている企業には、どのような共通点があるのでしょうか。
1.伝統と革新のバランスを意識している
老舗企業の多くは、創業当時からの伝統を守り続けています。しかし、世の中の動きに対応できなければ、時代に取り残されてしまいます。
100年企業は、「伝統」と「革新」の両方を意識した経営をしているのが特徴です。経営理念や使命といった企業の伝統を変えることはなく、自社の商品やサービスは世間のニーズに寄り添えるよう、常に新しい挑戦を続けています。
100年企業には、変化を怖れない対応力があるといえるでしょう。
2.堅実な経営をしている
無理に事業を拡大することは、リスクがともないます。従業員の負担が大きくなり、商品やサービスの質が下がる恐れがあるからです。
100年企業は身の丈に合った経営で高い品質の商品、サービスを作り続けています。
3.従業員を大切にしている
100年企業では、従業員との関係性を大切にしていることも共通点として挙げられます。
たとえば、労働環境や労働時間、そして多様な働き方の尊重といった従業員の働きやすさを考慮した勤務体系を採用しているケースです。ほかにも従業員のモチベーション向上のために、会社の理念を伝えつつも、従業員個人の考えを尊重するといった手法を取り入れている100年企業もあります。
従業員にとって働きやすい環境を整えることは、良い商品、サービスを提供することにつながります。
4.経営理念を継承し続けている
経営理念は、代が変わるとともに失われやすい要素のひとつです。しかし、100年企業は先代の経営者が築き上げた経営理念が、トップが変わってもずっと引き継がれているという共通点があります。
経営理念は会社の土台となる部分です。経営者が交代するタイミングでは、意識的に先代が後継者に経営理念を継承していく流れを、会社全体で作っていかなければなりません。
そのためには自社の経営理念がしっかりと言語化されている必要があります。企業が果たすべき使命を言葉として落とし込むことで、時代が変わり従業員が変わっても、同じ方向で経営が行えるからです。
100年企業では、こうした取り組みによって企業のブランドを磨き上げ、かつ長期的な経営を可能にしています。
100年企業から学ぶ経営のコツ
日本には、100年企業が2万7000社以上あり、またその中に「200年企業」も多く存在しています。
こうした世界でも数少ない100年企業の歴史を知り、経営のコツを学んでいきましょう。
株式会社虎屋
和菓子で有名な株式会社虎屋の創業は、1501年。なんと室町時代です。かつては御所の御用をつとめたほどの老舗企業です。
虎屋は「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」を経営理念に、主力商品である羊羹の伝統を守るだけではなく、今の時代に合わせた業態の変化を行っています。
たとえば、新規事業として和菓子の伝統的なイメージから一新した明るくカジュアルなカフェや、和でも洋でもない新しいお菓子の提案などです。
また、和菓子を通じて日本文化の発信を目指しており、「ようかんを世界に」というスローガンのもと、海外への展開にも注力しています。
伝統を保持したまま、経営戦略では常に前進し続ける100年企業の好例です。
株式会社龍角散
株式会社龍角散は、徹底した「選択と集中」で、のどの専門メーカーとして大成した100年企業です。
株式会社龍角散の創業は1871年で、主力商品である粉末の「龍角散」を中心とした販売戦略を長く続けていました。しかし、放漫経営が原因で、徐々に赤字へと転落していきます。
そこで8代目社長は、注力すべき事業の選択と集中を行い、不採算部門を大胆にカットします。こうして「のどの専門メーカー」として特定の事業に注力した結果、生まれ変わった龍角散ブランドはのど飴を大ヒットさせ、経営を立て直したのです。
100年企業になるためにすべきこと
長寿企業はどのようにして事業を続けてきたのでしょうか。100年という長い年月を乗り越えた経営ノウハウは、歴史ある企業の戦略の共通点に集約されています。
100年企業になるためには。その特徴や共通点を学び、参考にすることが大切です。
それではここから、100年企業になるためにすべきことを項目別に見ていきましょう。
事業を急拡大させようとしない
日本にある100年企業の多くは規模の小さな中小企業で、堅実な成長を遂げています。そのため、事業が小さい段階から無理に大きくしようとするのは危険です。以前より従業員の負担が大きくなる懸念も生じます。
企業経営の成功は、経営者の強い意志にかかっています。世の中から必要とされる企業を目指す上で、事業を急拡大することは未来につながるのか否か、きちんと熟考した上で今後を見つめる必要があるでしょう。
革新をしても理念は変えない
100年企業は経営戦略に関する革新を実行しても、経営理念は一貫して変えることはありません。
日本は地震や台風など自然災害が多いうえに、バブル崩壊など経済的な問題も直近100年の間に発生しています。さまざまな困難に打ち勝った企業は、経営理念を曲げることなく経営を続けています。もちろん時代のニーズに応じた事業の転換・拡大や販売内容の変更は必要です。しかし、企業の本質を変えてはいけません。
後継者を育成する
経営者一人の努力だけでは、100年企業に育て上げることはできません。先代の意志を継ぐ、後継者へのバトンタッチが必要です。
事業承継を成功させるためには、後継者選びと育成が早い段階から行いましょう。ポイントとして、後継者の候補は社内で育成するだけでなく、別会社で修行させることがおすすめです。また、社長就任前の1年間は社長室長として同行させ、社長の仕事を肌で感じさせると良いでしょう。
もし後継者育成にお悩みがあれば、「TOMA100年企業創りコンサルタンツ」へご相談ください。豊富な支援実績をもとに、後継者探しや育成のサポートを行います。
まとめ
日本には、100年以上続く長寿企業が数多くあります。その多くは、経営理念は決して曲げずに経営戦略を世間のニーズに合わせているなど、参考にできる共通点がたくさんあります。100年企業の歴史から自社との類似部分を分析し、参考にできる部分は経営計画に盛り込んでいきましょう。
また、100年企業にするためには後継者探しと育成が欠かせません。しかし、長い時間を掛けても、上手くいかないことがままあるのが後継者探しや育成の難しいところです。
もし事業承継に関することで疑問や不安がありましたら、ぜひ「TOMA100年企業創りコンサルタンツ」へご相談ください。後継者分野に関するエキスパートが、手厚いサポートをいたします。