100年企業創りレポート

藤間秋男の100年企業創りレポート vol.309 2024.2月号

2024.01.30 Tue

赤文字:藤間のコメント

黒太文字:引用

1. 稼ぐ努力をしないのは猛烈なサボリである 
  株式会社日立製作所名誉会長 川村隆

――企業にとって重要なのは「稼ぐ力」だとおっしゃっています。
そうです。自社の持続的な発展のためにも、そこで創り出した付加価値を社会に還元するためにも企業
にとって稼ぐ力はすごく大事なものです。しかし、残念なのは稼ぐことについて日本の経営者の覚悟が少
し足りないのではないかと思えることです。製造業でいうと、日本の企業の営業利益率はアメリカの半分
くらいしかない。なにか日本では稼ぐことを卑しいことだと思っている節を感じます。
――それは日本的な感覚ですね。
企業は稼ぐことで社会の富を創出しているわけですから、これはとんでもない話です。
稼ぐ力というのは、付加価値をどうつけるか工夫を続けて、たとえ価格が高くてもお客さんが喜んで買って
くださるものをつくる努力をすることです。それをしていないのは猛烈なサボりでしかありません。
――後継者の育成は中小企業にとっては大きな問題です。
その育成も機能的にやらなければなりません。副社長をやらせてみるなどではいけないんです。

社長と副社長では視線の高さが3倍くらい違う。そこから見える面積は3の二乗で9倍くらいも違います。
小さくてもいいからトップをやらせる。その立場でいろいろな苦労をさせることです。
――既存事業と新規事業の「二兎を追う経営」ですね。
時代は常に変化しています。どんなに強い事業でも既存事業は少しずつ先細っていきます。
だから、常にその二兎を追うことが経営の基本なんです。とりわけ新規事業は後継者がやるべきことです。
どんなに小さくても、ものづくりの企業ならニッチな部分で世界トップを取ることもあります。
それには、たとえ60点の完成度でも製品を早く世に出すことです。今は100点満点でなくても、世の中が
満足してくれます。お客さんの反応を参考に改良していけばいい。まずはスピードです。
これはGAFAが教えてくれた教訓の一つですよ。

(月刊『 理念と経営』 2023年8月号 コスモ教育出版 より)

稼がなければ社員を幸せにはできません。稼がなければ新しいチャレンジに投資できません。
稼がなければ大失敗の穴埋めはできません。稼がなければ何もできません。
稼ぐ努力をしましょう。

2. 失敗ではない。実験して成功する。

イチローの成功習慣に学ぶ、失敗を成長につなげる5つの方法

01. やさしい道とむずかしい道があったらあえて困難なほうを選ぶ
「ヒットをたくさん打つようになってからは、甘い球を待てなくなりました。むずかしい球がくるまで待つという姿勢になっちゃったんです」(略)

02. 努力と同じくらい失敗の数を大事にする
「バッティングというものは失敗することが前提なので、決してモチベーションを失うことはありません」(略)

03. できたことはすぐ忘れ できないことを喜ぶ
「僕なんて、まだまだできてないことのほうが多いですよ。でも、できなくていいんです。だって、できちゃったら終わっちゃいますからね。できないから、いいんですよ」(略)

04. 辛さや苦しさには正面から向き合う(略)

05. ピンチのときこそ、笑う
ピンチのときに元気を装うだけでも、不思議と状況は好転します。人間の心理というのは、原因と結果の関係があやふやなもので、楽しいから笑うのと同時に、笑うから楽しくなる面もあるのです。したがって苦しいときに無理にでも笑う、その心の努力が心理状態を好転させて、モチベーションやコンセントレーションを高め、結果としてよいパフォーマンスを生み出していく。(略)

( 児玉光雄 『 イチローの成功習慣に学ぶ、失敗を成長につなげる5つの方法』
 TABI LABO https://tabi-labo.com/137107/ichiro1 2015年7月26日 より)

TOMAグループもたくさん失敗してきました。けれど、失敗が今のTOMAグループをつくってきたのだ
と思います。今後も果敢に挑戦する失敗を恐れないグループであって欲しいです。失敗しないと成功
しないからです。
①開業してすぐに人事労務コンサル部の設立。15年くらい赤字続き。私はTOMAのワンストップグ
ループ(私の祖父の夢、「TOMAには司法書士しかいないのか、弁護士とか会計士はいないのか」
というTOMAのワンストップグループに人事労務コンサル部が絶対に必要だと思ったから続けてい
ました。今やTOMA三大商品、世の中で誇れる部隊になっています。失敗は諦めたら失敗。諦めな
かったら必ず成功すると思います。基本的に考え方が間違っていなければ、諦めずにやるべきだと
思います。あとは、素晴らしいリーダーに出会ったこともあります。
②節税クラブなどの団体の設立
③支店の設置
④海外戦略、これも30年前にトライしていましたが、2011年3月11日東日本大震災の後、国際化を
信じ、TOMAの使命の中に国際化(海外進出、海外の方の国内進出のお手伝い)を加え、シンガ
ポール支店・ロサンゼルス支店をつくりました。
⑤他社との合弁会社設立。これはやっぱり上手くいかなかった。けど、その反省を踏まえてトライは
していきたい。絶対に必要なことだと思います。
⑥その他、資金繰り悪化で銀行支店長への土下座。幹部が一斉退職などありましたが、諦めずに
行動してきたから今があります。
⑦成長カード(カミナリカード)
TOMAでは仕事に失敗すると、成長カードを出します。これを出したら怒らない仕組みを20年前に
作りました。お客様に怒られてもミスすることは誰でもあるので、成長カード(カミナリカード)を
出したら怒らない仕組みです。内容は、まず上司に知らせて、上司と共にお客様に謝る。そのクレー
ムの改善を上司と共に考える。二度と起こらない仕組みを作る。
諦めなければ失敗にならない。失敗してもそれに対して色々な改善・工夫を加えていくと、必ず成功
する。Amazonは「失敗」とは言いません。「チャレンジ」「実験」だと言っています。トライ&エラー
がこれからの生き残りではないでしょうか?

3.「おいしいのに倒産」 -ラーメン店の6割超が開業3年以内に閉店
  稲盛和夫が考える問題点とは?

顧客の評判が良く、繁盛しているはずのレストランが倒産危機に…。そんな話を耳にした「経営の神様」稲盛和夫氏は不思議に思って話を聞いたところ、「案の定、そのレストランの経営者は経営がわかっていない」という結論に至ったという。(略)
閉店しやすい順に業態を挙げると、「お弁当・惣菜・デリ」「そば・うどん」「カフェ」「ラーメン」だった。
この4業態は、営業開始から1年以内の閉店数が3割以上で、3年以内での閉店は6割超に達している。
(シンクロ・フード調査)(略)
そもそも、職人である料理人としての腕と経営の能力は「水と油」のようなものなのかもしれない。
おいしさを極めればコストがかかるし、コストを抑えれば凡庸な飲食店になってしまいがちだ。(略)
少なくとも、甘い夢を見て、「カレーの店なんて始めたら絶対もうかるでしょ」などと簡単に口走る私などが絶対に手を出してはいけない業態であるのは間違いないようだ。(略)

(小倉健一 ラーメン店の6割超が開業3年以内に閉店…「おいしいのに倒産」稲盛和夫が考える問題点とは? DIAMOND online https://diamond.jp/articles/-/325414 2023年7月2日 より )

 私も昔は仕事をリタイアしたら、ラーメン屋、カレー屋をやりたいと思ったことがありました。
有名なラーメン店は昔10軒ぐらいでブルーオーシャンでした。今は10,000軒以上で激戦、レッド
オーシャンです。経営をやればやるほど経営は難しく、収入とコストの関係、損益分岐点、資金繰
り、人の管理など、本当に学んで経営をしないと上手くいかない事を感じております。
 まずスタートの時、経営理念・ビジョン・経営計画の3種の神器をつくることですね。