100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.108

2023.02.10 Fri

業務効率化のお供に フレームワークとは?

よく聞くフレームワークとは?

フレームワークとは、意思決定・分析・解決したい問題等を、特定の形に落とし込んで、手順に沿って整理してゆくための思考の枠組みを意味します。ビジネスシーンでもフレームワークという言葉を聞く機会があると思います。フレームワークは、課題に対する解決策の捻出や、課題の本質のあぶり出し等に用いることができる便利な手法として活用されています。

業務効率化とフレームワーク

昨今はICT・DX・働き方改革等で、業務効率化を目指している企業が多いです。ただ、「いざ目標立ててみたがどのように業務効率化を進めていったら良いかわからない」「そもそもどの業務のどんなところを効率化すべきなのかわからない」といった方もいらっしゃるかもしれません。そんな時に有用なフレームワークをいくつかご紹介いたします。

1.ロジックツリー

1つの事象に対して問題や原因など、構成している要素をツリー状に書き出すことで、解決法を導き出すフレームワークです。

2.BPMN

BPMNは、ビジネスプロセス・モデルと表記法(Business Process Model and Notation)の略で、国際基準(ISO19510)になっている業務フローです。長い業務フローや複雑な業務フローを可視化するのに適しているとされています。

3.ECRS

業務の課題を洗い出し、解決策を導き出すために用いられるフレームワークです。業務改善を実施する上での順番・視点を示しています。Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化)の順番で、改善効果を大きく、過剰・過小な改善を避け、トラブルを最小にするのが目標です。

論理的思考を落とし込むメリット

「課題や問題を整理する」「課題の本質に迫る」といった作業は、働く上で誰しも行っていることです。フレームワークはその頭の中で考えていることを整理でき、試行錯誤の時間の短縮や参加者の理解を促すことができます。

また、フレームワークを共有できれば会社の大きな強みになることもあるでしょう。

外国税額控除の 控除限度額と繰越控除

外国税額控除とは?

外国税額控除とは、日本国内に居住地を置く人が、外国の所得税に相当する税金を納付した場合、二重課税になるのを調整するために設けられた制度です。

日本では、所得が生じた場所が国内外問わず、所得税が課せられる仕組みです。しかし、所得を受け取った国が「源泉地課税」を採用している場合、その国でも税金を納める義務が発生して、二重に課税されることになります。この負担を調整するための制度です。

限度額が設定されている

外国所得税は、「所得税の控除限度額」を限度として、該当の年の所得税額から差し引くことになります。計算式は、該当年の所得税額×(該当年の国外所得総額÷該当年の所得総額)=所得税の控除限度額 となります。

外国税額控除額は、外国所得税の額が所得税の控除限度額に満たない場合はその外国所得税の額、控除限度額を超える場合は、次の①または②のいずれか少ない方の金額の合計となります。

①控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額

②復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税×(その年分の外国所得金額÷その年分の所得総額)

2パターンの繰越制度

外国税額控除には、前述した限度額計算の他に、外国所得税額または所得税の繰越限度額を基に計算した一定の金額をその年の所得税額から控除できる繰越制度が存在します。

外国所得税額が控除限度額を超える場合、該当年の前年以前3年内の各年の所得税額控除限度額のうち、その繰越控除額を限度として、超える部分の金額を該当年分の所得税の額から差し引くことができます。また、外国所得税額が控除限度額に満たない場合、前年以前3年内の各年において控除しきれなかった金額があるときは、その控除限度超過額の合計額を一定の範囲内で該当年分の所得税の額から差し引くことができます。

「引けなかった外国税額の額も繰り越すし、使わなかった限度額の枠も繰り越す」という制度になっています。

スマホアプリ納税の メリット・デメリット

紆余曲折のスマホアプリ納税開始

令和4年12月1日から「国税スマートフォン決済専用サイト」(スマホ専用)において、スマホアプリを利用した納税ができるようになりました。スマホアプリとは、いわゆる「〇〇Pay」と呼ばれる決済アプリです。現状利用可能なPay払いは、PayPay・d払い・au PAY・LINE Pay・メルペイ・Amazon Payの6種類です。

本来でしたら令和4年1月から導入される予定でしたが、コロナ禍の影響で、決済専門サイトを運営する事業者の選定が間に合わず、延期になっていました。紆余曲折ありましたが、何とか今年の確定申告期間に間に合わせたといったところでしょうか。

 

スマホアプリ納付のメリット

同様に国税の支払いができるクレジットカード納付については手数料がかかりますが、スマホアプリ納付の利用については、決済手数料がかかりません。

e-Tax経由で直接銀行口座から引き落としで納付する「ダイレクト納付」に比べると、必要な入力事項も簡易で、〇〇Payを普段使いしている方にとっては支払い手続きも簡単なものになっています。また、e-Taxの受信通知や「確定申告書等作成コーナー」で出力される2次元コードを使って決済サイトにアクセスすると、納付区分番号・納付先税務署・税金の種類・課税期間・納付税額がすでに入力された状態になるため、さらに簡単に納付ができます。

 

スマホアプリ納付のデメリット

スマホアプリ納付は1回の納付額上限が30万円であるため、それ以上の納付を行うためには複数回に分けて手続きを行う必要があります。

また、各種Pay払いには独自に支払い上限額が設定されていて、例えばPayPayだと過去24時間で最大50万円、過去30日間で200万円が支払い上限(残高使用時)、au PAYだと1日あたり50万円の支払い上限が設定されています。この支払い上限にかかってしまうと、Pay払い自体がしばらくできなくなってしまうことになり、納付どころか普段使いもできなくなってしまいますので注意が必要です。あまり大きな額の納付を扱うことは想定していない支払い方法なのでしょうか。

1月以降退職者の住民税特別 徴収の継続と一括徴収の分岐

退職後に勤務が継続か否かで変わってくる

個人の住民税は、その年1月1日居住の市町村から前年の所得を基に課税されます。納税は、給与所得者の場合、給与支払者により、6月から翌年5月までの給与から「特別徴収」され納税されます。

退職した場合、退職日が6月1日から12月31日までであるときは、退職の月までは「特別徴収」により給与から天引きされますが、その後は「普通徴収」に切り替わり、自身で市町村に納付することになります。ただし、次の勤務先で「特別徴収継続」の手続きをすれば翌月分以降は新たな勤務先から継続して特別徴収・納付となります。

では、退職日が1月1日以降の場合はどのような手続きになるのでしょうか?

特別徴収継続か一括徴収かの分岐点

(1)退職後も継続し勤務先がある場合

退職日が1月1日から4月30日までの場合で、退職後も次の勤務先(=給与支払者)があるときは、退職月の翌月10日までに「特別徴収継続」の手続きをすれば翌月分以降は新たな勤務先から継続して特別徴収・納付となります。

退職日が5月1日から5月31日までの場合は、5月分のみですので、通常通りの住民税額が最後の給与から徴収されます。

(2)勤務先がないか空白期間がある場合

退職後次の勤務先が決まっていなかったり、決まっていても次の給与までに空白期間があったりする場合は、退職する会社が5月分までを一括徴収し納付しなければならないこととなっています。

ただし、退職時点で支給される給与や退職金から一括徴収額を差し引きしても納付額が足りない場合は、その分の金額を普通徴収で納付することになります。

特別徴収継続の場合は速やかに手続きを!

いつの時点で退職するにせよ、「特別徴収継続」の手続きは、「給与所得者異動届出書」を提出することにより行われます。旧会社ではそれまで特別徴収して納付した金額の実績を記載し、新会社では今後の特別徴収と納付を行う旨の記載をします。この届出書は会社を通して提出することになりますので、新旧会社の給与計算担当者とよく相談して、書類の不備や理解不足による住民税延滞にならないよう注意が必要です。

貯蓄から投資の時代へ

資産所得倍増プランとは

政府は、企業等に貯蓄された325兆円の現預金を人・スタートアップ・GX(脱炭素)・DX(デジタル化)といった重要分野への投資につなげていくことを後押しするとともに家計に眠る現預金を投資につなげる、勤労所得に加え金融資産所得も増やしていくことが重要として「資産所得倍増プラン」を掲げました。これまで投資経験のない未経験者の方約8000万人に資産形成に1歩踏み出してもらう働きかけを行う方針です。

7本の柱の取り組み

プラン推進のため7本の柱を一体化して進めるとしています。

①当面の目的として家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるNISAの抜本的拡充や恒久化を発表

②iDeCo制度の改革、加入年齢の引き上げ等

③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供の仕組み作りの創設

④雇用者に対する資産形成の強化

⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実

⑥世界に開かれた国際金融センターの実現

⑦顧客本位の業務運営の確保

企業による雇用者の資産形成に向けた強化

「資産所得倍増プラン」の柱の一つである雇用者への資産形成の強化において企業は従業員が資産形成に関するアドバイスを得られるようにしたり、所得水準を上げたり中小企業においてもつみたてNISAや企業型確定拠出年金(DC)、iDeCo等が広がる取組をすることが求められます。投資教育では分かりやすい説明が必要でしょう。

企業年金運用で企業にも責任を求められる

一方で金融庁は企業年金の運用について企業自身にも責任を求める方針です。

企業型DCについては運用されずに資産放置が2600億円もあったり、確定給付企業年金(DB)では知識のない担当者が金融機関に任せきりであったりで運用戦略がないなどの問題が起きています。

企業にどのようなことが求められるのか今後の法改正での動向が注目されます。