藤間秋男のブログ
2020.12.29 Tue
私の拙著「永続企業の創り方10ヶ条」より今日から皆様の会社を永続企業にしていくためのエッセンスをお届けします。今日は「ういろう」の承継を例にとり、「後継者問題解決のために親戚一族を当たってみる」というお話をお届けします。
1368年創業の「ういろう」は、現社長の外郎氏が25代目です。代々一子相伝で、男名の「藤右衛門」を襲名する習わしとなっています。25代目の甥に当たる現社長が、承継を決意したのは43歳の時でした。
薬剤師として90歳を超えるまで、命を懸けてのれんを守ってきた先代から要請され、はじめは戸惑いがありました。
「薬剤師でなくても、経営をしっかりやってくれれば良い」
と言われ、先祖代々の思いを真摯に受け止めて、約20年間勤務してきた銀行を退職し、重責を担う覚悟を決めて、「ういろう」に入社しました。
そして、万が一のことがあった時に、薬屋の主が自分で責任を取れる体制を整えておくべきでは、と改めて感じたそうです。
薬剤師である先代と同じ立場で代を継ぎたいという思いと、従業員に25代目の覚悟を示し老舗の未来を示したいという思いが強くなり、2007年に45歳で薬科大学に入学します。
6年間学び無事卒業されて、国家資格にも合格し、薬剤師の資格を取得しました。そして、名実ともに25代目藤右衛門を襲名したのです。
このような形で、一族の中にいないかをぜひ探していただきたいと思います。私たちもそのお手伝いをしますし、説得もさせていただきます。
「ういろう」の先代がやったように、「一族の中から選ぶ」それも1つの選択だと思います。自分の子どもも婿養子も難しいなら、親戚・一族を当たってみましょう。
例えば、妹さんのお子さんを入れるとか、またはそのような人を養子に迎えるのも手です。もし、子どもがいなければ、お墓も無くなってしまうわけです。そういう意味でも養子に迎えるというのも重要だと思います。
私どもが探すと、そういった人は次男のような立場の方であれば、長男がいるから彼を養子に迎えるということも出来やすいでしょう。また、能力をいろいろと試すことができます。
入ってきてすぐ継がせるのではなく、2年ぐらいは一通り社内の仕事を経験し、ある程度部門長を経験させ、「これでできる」と思ったら継がせる。
必ずしも、入れたからには継がせなければいけないわけではありません。継がせて不幸になったらお互いに不幸で大変ですし、継がせるのがお互いにとって幸せかを考えていければ、会社は続くのではないかと思います。
ぜひ、いろいろな意味で「継ぐ人」をひとつひとつ検証していくことを皆さんにお勧めたいと思います。