100年企業創り通信
2023.06.30 Fri
令和6年4月から労働基準法施行規則の改正により、労働条件の明示のルールが変更されます。
有期雇用契約をする際にこれまでは契約締結時(更新時を含む)に更新の有無と更新の判断の基準を明示する必要がありました。しかし改正によって労働条件明示事項に「上限」(もしあれば)を追加することが義務化されます。そのため改正後は契約締結時や更新のタイミングで労働条件明示事項が追加された労働条件通知書や雇用契約書の書面で明示する必要があります。
①すべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に就業場所・業務の変更の範囲
を載せる。
②有期労働契約の締結時と更新時に更新の上限(通算契約期間)または更新回数の上限の有無と内容、併せて最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設して短縮する場合はその理由をあらかじめ労働者に説明することが必要です。
③無期転換ルールに基づく無期転換申し込み権が発生する契約の更新時は無期転換申し込み機会、転換後の労働条件を示します。
定めない場合について改正後の契約締結時に上限を明示しない状態を継続した場合契約更新を余儀なくされるリスクが増加するかもしれません。
また、更新回数は人によって更新したりしない人もいる場合は(決めてしまうと長く勤めてほしい有期社員に残ってもらえなくなることを想定して)上限を設けないで明示すると働く側全員が更新への期待が高まることも考えられます。
これまでは最初の契約締結時に「更新する場合がある」と記載されており更新されないこともあるという解釈もできましたが、上限3年などを入れるとそこまでは更新があるのだろうと期待を抱かせることになります。企業として最初の段階で先の雇用期間を定めることが難しい場合は迷うことが多くなるかもしれません。
この助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うために、当該事業再構築に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するものです。
次の①~⑧のすべてに該当する事業主
①令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること
※第10回公募要領の「物価高騰対策・回復再生応援枠」および「最低賃金枠」に限る。また、「実施体制」に人材確保関連事項を記載した場合に限る
②対象労働者の雇入れにあたって、次の全ての条件を満たすこと
a.雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
b.期間の定めのない労働契約を締結する労働者として雇い入れること
c.「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること
③対象労働者に対して1年間に350万円以上の賃金を支払っていること
※対象労働者とは次のaまたはbのいずれかに該当する者
a.専門的知識や技術が必要となる企画・立案、指導の業務に従事する者
b.部下を指揮監督する業務に従事する者
④雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間に雇用する労働者を解雇等していないこと
⑤基準期間に特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が対象労働者の雇入れ日の被保険者数の6%を超えていないこと
⑥支給申請日の前日以前に、過去に本助成金の支給決定の対象となった労働者を解雇していないこと
⑦「受給に必要な書類」について、a.整備し、b.受給のための手続きに当たって労働局等に提出するとともに、c.保管して労働局等から提出を求められた場合はそれに応じて速やかに提出すること
⑧労働局等の実地調査を受け入れること
中小企業:280万円/人
助成対象期間:1年
1事業主あたり5人まで受給できます。
2020(令和2年)4月以降、特定の法人(資本金等が1億円超の法人など)の下記の届出は電子申請が義務化されています。
<健康保険法・厚生年金保険法>
〇被保険者報酬月額算定基礎届
〇被保険者報酬月額変更届
〇被保険者賞与支払届
<労働保険(一括有期を含む継続事業)>
〇年度更新関連の申告書(概算保険料・確定保険料・一般拠出金の各申告書)
〇増加概算保険料申告書
<雇用保険法>
〇被保険者資格取得・喪失届
〇被保険者転勤届
〇高年齢雇用継続給付支給申請
〇育児休業給付支給申請
新たに電子申請が義務化される届出
厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会は、労働者死傷病報告などの電子申請義務化について、「妥当」と答申しました。
厚生労働省は、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法で義務づけられている下記の届出について、2025(令和7年)1月以降、電子申請義務化の対象とする予定です。
<労働者災害補償保険法>
〇労働者死傷病報告
<労働安全衛生法>
〇定期健康診断結果報告
〇総括安全衛生管理者選任報告
〇安全管理者選任報告
〇衛生管理者選任報告
〇産業医選任報告
〇じん肺健康管理実施状況報告
〇有機溶剤等健康診断結果報告
〇有害業務に係る歯科健康診断結果報告
なお、休業4日未満の死傷病報告については、「被災者の経験期間」「国籍・在留資格」「親事業場の名称」が追加されます。
従来方式の届出も経過措置で認められるようですが、スマホやタブレットで申請できるようシステム改修される予定です。
比較的頻度が高い申請も含まれており、社内での事前準備が必要となります。
加算税は、申告内容が誤っていたり、申告しなかったり、仮装・隠蔽を行ったりした場合や、納税が遅れた場合に課されるペナルティです。
過少申告加算税:期限内申告について修正申告・更正があった場合に課される。正当な理由がある場合や更正を予知しない自主的修正申告の場合は不適用。
無申告加算税:①期限後申告・決定があった場合②期限後申告・決定について、修正申告・更正があった場合に課される。正当な理由がある場合や法定申告期限から1月以内にされた一定の期限後申告の場合は不適用。更正・決定を予知しない自主的修正申告・期限後申告の場合は課税割合が軽減される。
不納付加算税:法定納期限後に納付・納税の告知があった場合に課される。正当な理由がある場合や法定納期限から1月以内にされた一定の期限後の納付の場合は不適用。納税の告知を予知しない法定納期限後の自主的納付の場合課税割合が軽減される。
重加算税:仮装隠蔽があった場合課される。とても重い課税割合(過少・不納付35%、無申告40%)。
令和5年度税制改正では、社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い規模の高額無申告について、納税額が300万円を超える部分のペナルティとして、無申告加算税の割合が従来の20%から30%に引き上げられることになりました。
※納税者の責めに帰すべき事由がない場合、30%の適用は除外
改正前は過去5年以内に無申告加算税が課されていた場合、無申告加算税の割合を10%加重する措置が取られていましたが、これでは複数年無申告だった場合で、今回が初めての無申告加算税適用だったというような「意図的に無申告を繰り返すケース」に対応できなかったため、過去2年間連続して無申告加算税等が課される事例に対して、加重措置が取られるように改正されます。
国税庁は毎年、所得税等・消費税・贈与税の確定申告状況を報道発表しています。今年は久々にコロナウイルス関連での提出延長手続きが通常の申請となった影響で、令和3年分まで3年間、4月末までだった集計対象が3月末までとなっています。
所得税等の申告人数は前年比+0.4%の2,295万人、申告納税額は3兆6,801億円で、前年比-2.9%とのことです。
まず特筆すべきは自宅等からe-Taxで申告した方の数です。その数は税理士による代理送信を含めて1,075万7千人で、前年比+16.6%。国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」として、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会目指す」としており、成果が着実に表れてきているのではないでしょうか。
自宅からスマートフォンを使ってe-Taxで申告した人は249万人で、令和3年と比較すると約1.6倍となっています。令和2年と令和3年の比較でも約1.5倍増加となっており、ここ数年はスマホで確定申告を行う人の増加が加速しています。確定申告作成コーナーにスマホで使いやすいデザインを導入、源泉徴収票はカメラで撮影すれば自動入力、青色申告決算書や収支内訳書がスマホからでも作成可能と、機能面を充実させた結果が出ているものと思われます。
自宅から納税者本人によりe-Taxで申告書を提出した592万人のうち、マイナンバーカード方式を利用した人は387万人。 マイナポータル連携により控除証明書等を取得した人は132万人で、令和3年から約4倍の増加です。
マイナポータル連携を行うと、生命保険料等の控除証明書や公的年金等の源泉徴収票、ふるさと納税や医療費等が入力の手間なく申告書作成画面に反映されるため、とても便利です。最近不祥事が報道されることの多いマイナンバーカードですが、確定申告においては、多くの人が便利に使いこなしているように感じられます。