100年企業創り通信
2023.04.28 Fri
「主文 被審人を過料金50,000円に処する。本件手続費用は、被審人の負担とする。理由 被審人は、左記会社の代表取締役に在任中平成31年3月31日取締役は退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和4年3月〇日までその選任手続を怠った。適条 会社法976条・・・年月・裁判官名」
こんな書類が突然届いたらびっくりしますよね。裁判所からは何の連絡もなく、いきなり社長の自宅に郵便が届いたようです。
社長が電話で裁判所に問い合わせをしたところ、過料額(法令上では100万円以下)は、どの登記をどの期間懈怠(かいたい=やるべきことをやらず放置すること)したかによって変わってくるとの説明を受けたとのことでした。裁判所の説明内容を聞いたところ、対象と期間を考えると納得できるものではありましたが、この種の過料は普段から注意をするようにして、避けたいものです。
取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合、定款の規定でそれぞれ10年まで延ばせます。役員の任期が満了となるタイミングで役員を再任もしくは新任の選任をし、登記事項発生日から2週間以内に法務局に登記しなければなりません。
顧問の司法書士がいれば、任期が切れるタイミングでの選任と法務局への登記手続きを適時の対応と登記で懈怠となることは避けられます。中小のオーナー企業で役員の交代もなく、任期を10年にしている場合に、選任懈怠が多い傾向にあるようです。
任期満了による退任や辞任の登記をしないままでいると、登記簿上はその会社の役員であることになります。自分はその会社ともう関係がないと思っていても、登記簿上は役員である状態が続いてしまうと、会社に重大な損害が出てしまった場合などに経営陣の1人として経営責任を問われてしまう可能性があります。最悪の場合、多額の損害賠償となる可能性もあります。 役員の任期は毎年の定時株主総会に際して毎回確認するとともに、登記事項が最新の状態になっているかどうか定期的に登記簿謄本で確認するようにしましょう。
相続で取得した土地が建物を建築できない敷地や郊外の利用価値の低い土地の場合、これまでは手放したいと思っても放置せざるを得ませんでした。しかし、このような土地でも要件に合えば、国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度が、令和5年4月27日から始まります。
相続土地国庫帰属制度は、相続又は遺贈で取得した土地について法務大臣の承認を得て負担金を納付することで利用できます。令和5年4月27日以前に相続した土地も対象になります。
ただし、次のような利用制限のある土地は申請できません。例えば、建物がある土地、抵当権や地上権、賃借権などが設定されている土地、通路など他人に使用されている土地、土壌汚染のある土地、隣地との境界が明らかでない土地など、これらの土地は制限を解消しないと申請できません。
また、一定の勾配や高さのある崖地、土砂災害のおそれのある土地、地上や地下に管理・処分を阻害する有体物がある土地、隣接地の所有者と争いがある土地などでは、申請しても承認を受けられない場合があるので注意しましょう。
相続土地国庫帰属制度の要件に該当するかは事前相談することができます。しかし、その前に、現地を見ておくことが必要です。申請の後、法務局の担当官が現地に赴き、境界がどこにあるかを確認します。長く放置された土地の場合、境界がすぐに判別できないこともあります。
審査にあたっては、申請する土地と隣接する土地との境界を明らかにする写真、土地の形状を明らかにする写真を用意しておくことが必要です。また、隣接地の所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないことも要件になります。境界を確定させる場合には、土地家屋調査士など専門家に相談すると良いでしょう。
通路など他人の通行に使用されている土地は、相続土地国庫帰属制度の対象外となります。ただし、現在、通路や道路として使用されていなければ申請することができます。土地が実際にどのように利用されているかについても、事前に現地を確認しておきましょう。
相続で取得した土地に買手がつかず処分に困る場合でも、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらえます。令和5年4月27日から開始されるこの制度を利用するには、次の手順を踏みます。
① 事前相談
所有する土地を国が引き取ってくれるかについては、物件の所在する地域を管轄する法務局・地方法務局(本局)で事前相談を受けます。また、遠隔地の土地の場合は、申請者の近くの法務局・地方法務局(本局)で相談することもできます。
土地の権利関係を示す登記事項証明書、土地の形状や境界がわかる図面、写真などを持参すると良いでしょう。相談は事前予約制で、1回30分以内、法務省サイトの「法務局手続案内予約サービス」から予約します。
② 承認申請
土地の所有者が申請します。申請書の作成は、弁護士、司法書士、行政書士に代行してもらうことができます。申請書類に必要な項目は、法務省サイトに掲載されたチェックリストが公開されています。必須書類は次のとおりです。
(1)承認申請する土地の位置及び範囲を明らかにする図面
(2)承認申請する土地と隣接する土地との境界を明らかにする写真
(3)承認申請する土地の形状を明らかにする写真
(4)承認申請者の印鑑証明書(有効期限なし)
審査手数料は、1筆14,000円です。申請書類についても事前相談で確認を受けることができます。
③ 書面調査と実地調査
申請の後、法務局担当官による書面調査と実地調査が行われます。案内がなければ現地にたどり着けないような土地の場合、土地所有者に同行を求められることがあります。審査期間は、概ね半年から1年程度とされています。
④ 負担金の納付
国に引き取ってもらうとき、国に納付する負担金は、土地の種目、面積、地域に応じ、10年分の土地管理費相当額と定められています。宅地は原則20万円で、市街化区域や用途地域では面積に応じた金額となります。負担金は、通知が届いてから30日以内に納付が必要です。国庫帰属による所有権移転登記は、国が実施してくれます。
3年以上続いた新型コロナウィルスの分類が「2類相当」から「5類」に引き下げられることになりました。具体的には何が変わり企業にはどのような影響が出るのでしょうか。その対応はどのようになるでしょうか?
「5類」は季節性インフルエンザと同じ分類です。2類に該当する結核やSARSなどの扱いと季節性インフルエンザとは扱いが大きく違います。行政上の扱いも大きく変わってきます。2類の感染症は地方自治体が感染者に対し就業制限や入院勧告などの行動制限ができるほか、医療費も自己負担分も含めて公費で賄われます。新型コロナウィルスも同等の扱いで、行動制限、ワクチン接種、医療費の公費負担も行われていました。入院患者も原則、感染症指定医療機関が受け入れ、保健所の届け出も行われていました。5類になると行動制限はなくなり、保健所の追跡調査や濃厚接触者の特定も行われません。公費負担も当面はあってもいずれなくなります。
これまで企業では新型コロナウィルスに感染すると労働者や会社の判断ではなく行政による就業制限がありましたが、5類であれば行政による就業制限はなくなり、労働者が罹患した時、無症状に近い時や濃厚接触者の扱いで就業制限させられるなどはなくなりますので企業はほっとしていることでしょう。
企業では慣行化したルールの見直しは急務です。マスク着用は任意という企業が多いようですが店舗等で店員さんは当分着けるところが多いようですし、客側も習慣化しているのでなかなか外せません。アクリル板の設置、換気、体温測定、アルコール消毒等も変わるでしょう。黙食などは過去のものとなるのかもしれません。パーティションを外してコロナの終了を感じる企業も多くなりそうです。しかし対面で話す窓口ではパーティションは当面続けてゆくところも多いのではないでしょうか。
コロナ禍で働き方も変則的になりました。テレワーク、フレックス、時差勤務、通勤手当の見直し、書類のデジタル化も進み守秘義務強化等は今後も続くでしょう。コロナを機に働き方が変わった企業もあることでしょう。
本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
コロナや物価高等により依然として業況が厳しい事業者への支援として「物価高騰対策・回復再生応援枠」を措置することに加え、産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者への支援として「産業構造転換枠」、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーン及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)への支援として「サプライチェーン強靱化枠」、成長分野への事業再構築を支援するべく売上高等減少要件を撤廃した「成長枠」を新設するなど、ポストコロナ社会を見据えた未来社会を切り拓くための取組を重点的に支援していきます。
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援するものです。
今回新たに創設されたものも含め、「成長枠」「グリーン成長枠(エントリー)」「グリーン成長枠(スタンダード)」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」の9枠があります。枠の種類によって補助金額も補助率も変わってきます。そのため、どの枠で申請するかについて戦略的に検討する必要が出てきました。
【公募期間】
公募開始:令和5年3月30日(木)
申請受付:6月上旬予定
応募締切:令和5年6月30日(金)18:00