100年企業創り通信
2021.02.12 Fri
そろそろ確定申告の時期です。今年の申告書のひな型を見てみると、第1表から変化が見られます。雑収入及び雑所得の記入欄が、前年までは、収入欄は「公的年金等」と「その他」となっていて、所得欄は「雑」の1つのみとなっていましたが、今年は収入欄については「公的年金等」「業務」「その他」の3つ、さらに所得欄については「雑所得の小計」が追加になっています。
「業務」が増えた理由としては、令和4年以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合、現金預金取引等関係書類を保存しなければならなくなるためです。近年の働き方改革等で、雑所得の申告が増えると見越しての制度変更でしょうか。
公的年金等控除については、今までは無条件に年齢が65歳未満か以上かで控除額が決まっていましたが、今年から年齢に加え、公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計が「1,000万円以下」・「1,000万円超2,000万円以下」・「2,000万円超」の3パターンが加わり、公的年金等控除額の計算は合計で6パターンとなりました。これに対応するため、申告書第1表の右下に「公的年金等以外の合計所得金額」という欄が追加されています。また、公的年金以外の所得額を把握するために「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額の計算書」という書類も新たに導入されています。
公的年金以外の所得が1,000万円以下の場合は、去年と比べると控除額が10万円減少となりますが、基礎控除が10万円増加するため、税金の額に変動はありません。一方、「1,000万円超2,000万円以下」の方は控除額が20万円減、「2,000万円超」の方は控除額が30万円減となり、去年と比較すると増税となります。
例えば年金受給をしている方が、業務で赤字が出ている場合、年金所得から業務の赤字を差し引くことができます。ただし、雑所得の合計がマイナスであった場合でも、他の所得から赤字分を差し引くことはできませんのでご注意ください。
相続による事業の承継には、非事業者であった相続人が相続により事業者になる場合のほか、相続人も被相続人も事業者の場合があります。
相続承継後翌年以後の課税・免税事業者の判定は、承継前の相続人と被相続人の事業の各基準期間の課税売上を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定することになります。
被相続人の事業を2以上の相続人が分割承継又は共同相続した場合には、相続開始年の翌年以後の課税・免税事業者の判定に取り込むのは、各相続人の承継割合に応じた課税売上となります。
だし、相続開始年に限っては、扱いが少し異なります。①課税事業同士の相続承継、②相続人の課税事業への被相続人の免税事業の相続承継、③相続人の免税事業への被相続人の課税事業の相続承継、④免税事業同士の相続承継、これら4ケースがあります。
相続人の課税・免税事業者判定は、①②のケースは年間を通じた課税事業者、③は相続日の翌日からその年の年末までの期間の課税事業者、④は免税事業者です。
年末までに遺産分割が済んでいる場合でも、未分割の場合と同じく、基準期間における被相続人の課税売上高を各相続人の法定相続分で按分した金額により相続人の納税義務を判定してよい、との「文書回答事例」が公開されています。
なお、相続の際、被相続人の消費税納税義務を考慮するのは、「相続(含包括遺贈)」による承継の場合のみです。
たとえ相続承継であったとしても、特定遺贈・死因贈与による承継の場合には、上記の納税義務可否判定規定の適用はありません。これは、通達で示されている考え方で、この場合には、特定財産受遺者又は死因贈与契約受贈者の、自分の事業のみの基準期間課税売上高のみによって判定します。
消費税法には、「相続」には包括遺贈を含むと規定されていて、そのことにより、特定遺贈・死因贈与は、包括的承継としての相続承継から除外されていると反対解釈されるため、通達でそれを示しているわけです。
2020年は多くの企業がコロナの影響を受けましたが、事業だけではなく人材育成についても影響が出ています。ある民間調査によると、新入社員を迎えた企業の8割方は、オンライン対応が間に合わず集合研修を実施したようです。一方で、オンラインやe-ラーニングで実施した企業も増加はしていて、部分的にでもオンラインで実施した企業も少なくありません。
そして2021年4月入社者の研修については、集合型が根強く残るものの、オンラインとリアルを組み合わせて実施する企業も多いようです。
オンラインのメリットは、コロナ対応だけではありません。会場設営の手間やコストが減少し、複数拠点に対して研修の同時開催が可能なことなどもあげられます。また、今年度、多くの大学ではオンラインで講義が行われています。コロナ後についても、部分的にはオンラインが残ると言われており、今後はこの環境で育ってきたリモートネイティブが社会に出てくることになります。彼らにとっては、集合型の研修のほうが違和感のあるものになっていく可能性があり、企業側の対応力が問われます。
研修のオンライン化を進めるにあたっては、オンラインに適している部分と適さない部分を明確にし、オンライン化する箇所については、ZOOMなどの機能を使うか、e-ラーニングや動画配信などを使うか、ツールの選択を行いましょう。
たとえば、意識の醸成や人間関係の構築には集合型が向くと考えられます。座学の講義についてはオンラインがよさそうですが、チャット機能や投票機能を使うことで、より双方向なコミュニケーションが可能となります。
また、オンラインの場合は、集合型の場合よりも、伝える内容をより明確にする必要があるとも言われています。これまでは身振り手振りも含めた空気感で伝えられたことも、言語化が求められます。集合型研修をオンラインに移すというだけではなく、そもそもの研修の目的、意義を再確認しながら、オンラインに適した研修の再構築をすることが、よりよい育成につながるでしょう。
就職、結婚、定年……人生にはいろいろな出来事がありますが、良いことばかりでなく思わぬアクシデントに遭遇することもあります。年金は人生の転機と大きく関わっています。山あり谷ありの人生のモデルケースのライフステージを見てみましょう。
1. 20歳になると国民年金加入のお知らせが届きます。日本に住む20歳以上60歳未満の方は全員加入が原則とされています。第1号被保険者となります。
2. 就職して厚生年金保険に入る。高卒18歳で厚生年金保険適用事業所に就職すれば、加入します。大卒22歳以上で就職したときも同様です。第2号被保険者となります。
3. 海外留学や海外派遣
国民年金の加入者が海外留学中は任意加入となり、加入すれば保険料の納入が必要となります。企業から海外派遣などで勤務する場合は一時派遣であれば日本の年金制度のみ加入、長期は社会保障協定で決められている基準に従い相手国の年金に加入します。
妊娠・出産・育児休業期間は保険料免除制度があります。妻が退職し専業主婦となった場合は第3号被保険者となり夫の勤務する会社を通して手続きします。再就職しても年収130万円未満であれば保険料はかかりません。
夫婦とも第1号被保険者(60歳未満)。市区町村役場で手続きをする。
母子に遺族厚生年金、遺族基礎年金が受給できます(遺族基礎年金は子は18歳の年度末まで)。
子は20歳で国民年金に加入。万が一の交通事故などで後遺症が残ったときは障害基礎年金が受けられます。
老齢年金を受給できる年齢になったら年金の請求手続きをします。働いているうちは給与に応じて年金額が減額されます。老齢年金と遺族年金の選択も必要です。65歳にはもう一度、老齢年金の請求書が来るので提出します。