100年企業創り通信
2020.12.25 Fri
各府省の申請届け出等手続の方法や様式を電子申請で行えるサービスの名称、e-Gov(イーガブ)は、開始より20年近くたちデザインや操作性などを更改することになりました。
労務管理・社会労働保険の手続面でも電子申請を行うにあたって大きなハードルになっていたのは、政府の電子申請ポ-タルであるe-Govの操作方法の面倒くささです。政府はそこを課題としてe-Govの大幅改善をすることになりました。
新しくなるところは5つあります。
① ユーザーインターフェイスの刷新……従来のe-Govの操作画面は民間のHRテクノロジーと比べ操作が難しいと言われていました。操作手順が複雑であるとか操作性が悪いとかいうような点をわかりやすいインターフェイスに変えて、利用者のハードルが下がることを期待しています。
② マイページの導入……従来はe-Govで電子申請をして申請者が「パーソナライズ」という申請履歴を自分で記録しておく必要がありました。登録を忘れると申請結果や公文書を取りづらい状況でした。マイページ導入で申請後の状況確認や公文書受け取りが容易になります。
③ GビズIDによるログイン……従来は申請のための電子証明書を取得するのに費用が掛かることや、電子署名をブラウザにインストールしなければなりませんでしたが、GビズIDを無料で取得すればログインできるようになります。
④ モバイル対応……法令や政府発表情報をスマートフォンでも閲覧しやすくなります。電子申請後の状況確認もできます。
⑤ MacOSに対応……従来、電子申請はWindowsのPCからのみでしたがMacでも電子申請ができるようになります。
11月にはマイナポータルを経由した税・社会保険のワンストップ手続も開始されました。しかしすべてワンストップでできるわけではなく、当分はe-Govとワンストップサービスで行った方が良い手続を併用して使い分けるようになるでしょう。
要介護状態の家族を介護するために休みを取得できる、労働者が仕事と介護を両立させるための制度に、「介護休暇」と「介護休業」があります。
「介護休暇」は要介護状態の家族を介護する、雇用期間が6か月以上の全従業員が、対象家族1人の場合1年度に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)取得できます。短期休暇なので、突発的な用事や短時間の用事に使うことになります。
一方の「介護休業」は、介護の態勢を整える等、より長期の休みが必要な場合に使えます。同一の事業主に1年以上雇用されている全従業員が、要介護状態の対象家族を介護するため93日まで休暇取得できます。3回まで分割可能です。ただし、介護休業予定日から起算して93日を経過後、6か月以内に労働契約期間が満了する場合は取得対象外となります。
長期の休みと言っても、家族の介護は一度始まったらいつまで続くか分からないものです。介護休業期間が通算93日までというのは、短すぎるのではと感じますね。
同じ育児介護休業法に定められている育児休業は、原則、子が1歳に達するまで取得ができるのに対し、介護休業はなぜ3か月程度しか認められないのでしょうか。
その理由は、育児休業は本人が育児をするための休業ですが、介護休業は本人が介護をすること以外に別の目的があります。
それは、本人が直接介護するためだけではなく、介護が必要な家族に対し、ケアマネージャーに要介護認定をしてもらったり、在宅で介護するのか、それとも介護施設に入居するのかをはじめ、介護サービスを選定したりといった、いわば介護に関する長期的方針を決めるための計画と事務手続期間と位置付けられているためです。
それによって、当面家族による介護がやむを得ない期間について、緊急的対応措置として休業ができ、その後は本人がつきっきりでなくても、働きながら介護ができるような態勢を整えることを想定しています。
法律の趣旨としては、休業中だけでなく、休業後に「介護と仕事の両立」をさせることを重視していると言えますね。
2019年10月1日から消費税の標準税率が8%から10%に引き上げられ、同時に一部対象品目に8%の軽減税率が新設されました。軽減税率の対象品目は、① 酒類・外食を除く飲食料品、② 週2回以上発行の新聞です。
導入前はイートインスペースでの飲食はどう扱われるのかなどが話題となりました。が、いざ始まってみると、請求書やレシートを見て経費計上する際に意外と面倒だということがわかってきました。これまで以上に、証憑書記載の適用された消費税率の確認に、時間を取られてしまうのです。
(1)家賃やリース契約
家賃やリース契約では、従前の契約期間までは旧税率の8%が適用され、契約更新で新税率の10%が適用されます。
ところが、家賃の場合、月額賃料には旧税率が適用され、電気使用料等には新税率の標準税率が適用されています。リース契約は旧契約対象が継続期間中でも、新しくリース物件が追加されるとそこは新税率が適用されています。新旧混在に要注意です。
(2)コンビニレシート
出張時の旅費規程が実費精算で、コンビニで買い物がある場合、食料には8%、お酒他食品以外のものには10%と、軽減税率と標準税率の混在です。
(3)駅ビルやデパートでの手土産購入
これも出張時経費の話ですが、新幹線や飛行機利用で顧客向けの手土産の茶菓の購入は食品として軽減の8%適用ですが、同じお店のレシートでもその中身がレストランでの飲食であれば10%の適用です。こちらは混在というよりも、同じ店なのに税率が違う場合があるので要注意ということです。
(4)ミネラルウォーター・珈琲サーバー
会社でミネラルウーターや珈琲のサーバーをレンタルして設置している場合です。こちらは食品である水や珈琲は軽減対象、機器レンタル料は標準税率適用です。コンビニレシートに類似した例と言えます。
(5)日刊新聞のセット契約
電子版でも新聞紙でもどちらでも記事を読める日経Wプランの契約では、紙は軽減税率、電子版は標準税率です。こちらは毎月同じ内容なので登録しておけばOKです。
※上記は代表例です。各社要確認です。
高額な資産、たとえば事業用ビル一棟買いをした場合などを想定してみましょう。
税込価格11億円で取得、減価償却計算の耐用年数を50年とします。
<税込経理の場合>
建物 11億円/現金 11億円
未収還付消費税 1億円/雑収入 1億円
減価償却費 2200万円/建物 2200万円
<税抜経理の場合>
建物 10億円/現金 11億円
仮払消費税 1億円/
減価償却費 2000万円/建物 2000万円
税込経理の場合、消費税還付金1億円が収益として処理され、法人税・所得税計算上、課税所得となります。逆に、減価償却費が増えて、当初の課税を後の耐用年数期間で取り戻していきます。長期的には損得ないことになりますが、金利的・資金計画的には税込経理が不利です。
高級絵画を購入した場合を想定すると、絵画は減価償却できませんから、売却するまで消費税部分は費用にならず、売却がないとすると、永久に取り戻せません。
消費税の経理処理としては、税込経理と税抜経理どちらの方式を選択してもよいことになっています。
そして、どちらの方法を選んでも年間の消費税負担は同じです。
減価償却資産の取得がなければ、会計上の利益も、税込経理の場合、期末で確定する消費税の額を未払金として計上すると、税抜経理の時と基本的に同じになります。
ただし、税込経理、税抜経理の変更をすると、会計データの期間比較性を損なうことになります。
なお、税込経理、税抜経理には、次のようなメリット・デメリットがあります。
● 交際費の額が大きくなり不利。
● 償却資産税の課税標準が大きくなり、税額も増加するので不利。
● 少額減価償却資産等の30万円(または20or10万円)未満の判定では不利。
● 特別償却や税額控除の判定では×××万円以上という要件が多いので有利。
● 売上金額を大きく見せるのに有利。
● 経理処理方法が簡便なので有利。
● 控除対象外消費税が生じないので、その知識が不要につき有利。
家庭裁判所に対して、被相続人の財産を一切承継しない旨の意思表示をすることをいいます。家庭裁判所への意思表示は、申述書を作成し提出しなければなりません。
相続放棄ができる期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。相続放棄をすべき裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
相続放棄をした人は、初めから被相続人の相続人でなかったことになります。
相続放棄ができる人は相続人です。相続人が未成年者又は成年被後見人である場合には、親又は成年後見人が代わりに相続放棄の手続をします。親が先に相続放棄をしている場合を除きますが、未成年者と親が共に相続人であって未成年者のみが相続放棄をするとき又は複数の未成年者の親が一部の未成年者を代理して申述するときには、相続放棄をする未成年者について特別代理人の選任が必要となります。
① 被相続人の借金が多額となる場合
相続財産はプラスの財産もあればマイナスの財産もあります。プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合には相続放棄を検討しなければなりません。
② 相続手続に関わりたくない場合
相続放棄により被相続人の相続人とはならないため、相続手続から解放されますが被相続人の財産は一切承継できないので、面倒だからといって相続放棄をするには注意が必要です。
親が死亡し子が相続放棄をする場合
① 相続放棄の申述書
② 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
③ 相続放棄する人の戸籍謄本
④ 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
こちらは一般的な例であり、家庭裁判所より追加書類の提出をお願いされることがあります。
相続放棄をする場合には、慎重に考慮し、手続は迅速にする必要があります。不明点は専門家に相談することをお勧めします。