TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社

100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.87

2022.09.09 Fri

相続から3年以内の遺産分割

遺産分割協議が長引いても、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合は、小規模宅地等の課税価格の特例や配偶者の税額軽減の特例を受けることができます。

3年以内の分割見込書の提出

特例を受けるには、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割を行う必要があります。

ただし、未分割の場合でも、申告期限から3年以内に分割見込みがあるときは、特例の適用がない状態で相続税の申告書を作成し、申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出します。

申告期限から3年以内に遺産分割が終了したときは、特例の適用を受けて、分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求を行うことができます。

やむを得ない理由がある場合の承認申請書

なお、申告期限後3年を経過する日に、裁判や調停など、やむを得ない事情により分割未了のときは、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出して承認を受けます。判決確定等を受けて4か月以内に分割されたときも更正の請求ができます。

土地の遺産分割協議日に注意!

相続税の申告期限から3年以内に、土地の遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成して相続登記したものの、預金など他の財産の遺産分割協議が長引き、遺産全部についての分割が終了してから更正の請求をした場合、土地の遺産分割協議書作成日から4か月以内に更正の請求をしていないときは、小規模宅地の特例を受けることができなくなりますので注意しましょう。

遺産分割は相続開始後10年までに

所有者不明土地の発生を予防するために、改正民法では、令和5年4月より遺産分割未了のまま相続開始から10年経過したときは、画一的な法定相続分で遺産分割されることになりました。

また、令和6年4月より不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が義務化されます。ただし、遺産分割未了の場合でも相続人申告登記を行い、登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで申請義務を履行したものとされます。これらの措置は、施行日前の相続にも適用されますので、早い機会に遺産分割協議を進めることをお勧めします。

令和4年分申告書等作成コーナー新機能

今年も早々に新機能を紹介

国税庁のホームページで毎年刷新される確定申告書等作成コーナー。毎年新しい機能を早めに紹介して、利用を促進しています。今年の発表は8月にありましたので、内容を確認してみましょう。

 

スマホで青色申告決算書等が入力可能に

令和5年1月から、青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能になります。また、パソコン画面も使いやすいようにリニューアルされる予定です。

会計ソフトでもスマホ対応をしているものもあり、すでに経理や決算をスマホで行っている、という方もいらっしゃるはずです。PCで入力した方が早いという方も多いかもしれませんが、フリック入力等を極めたスマホユーザーには嬉しい変更ではないでしょうか。

 

マイナンバーカードの読み取り回数減

現行は①e-Tax登録情報確認 ②電子署名の付与 ③e-Taxへのログイン、と3回のマイナンバーカードの読み取りが必要だったものが、過去にマイナンバーカード方式で申告された方についてはe-Taxへのログインの1回読み取りのみで済むようになります。

 

マイナポータル連携による自動入力拡大

マイナポータル連携は、マイナポータル経由で控除証明書等の必要書類データを一括取得し、各申告書の該当項目へ自動入力する機能です。すでにふるさと納税の寄附金控除や、生命保険、地震保険等の控除内容はマイナポータル連携が可能でしたが、令和5年1月以降は1年間分の医療費や公的年金等の源泉徴収票、国民年金保険料もマイナポータル連携の対象となる予定です。

ただし、医療費については健康保険の医療費通知情報から連携が行われるので、自由診療やドラックストアで購入した薬の費用は対象とはなりませんから、注意が必要です。

マイナポータル連携については今後も順次拡大をしてゆく予定で、給与所得の源泉徴収票やiDeCo、小規模企業共済等掛金も自動入力できるようになるとのことです。

ふるさと納税 基本的なポイント

基本的なポイントをお話しします

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。令和3年度の実績は寄附額約8,302億円、寄附件数は約4,447万件でした。TVCMやインターネットの広告等で目にすることも多く、すでにふるさと納税をしている方も多いことでしょう。

ただ「興味はあるけどまだやったことがない」という方もまだまだいらっしゃるはず。そんな方のために、今回は基本的なことをおさらいいたします。

1回でも良い、上限まで寄附しなくて良い

ふるさと納税は、定期的な寄附を求めないので気軽に行うことができます。今年1万円寄附したからといって、来年も同じ自治体に1万円寄附しなければならないわけではありません。その時々の「応援したい自治体」へ寄附して良いのです。

ふるさと納税はその当年の自分の所得や控除によって決まる年間の控除上限金額までの寄附であれば、基本的には自己負担は2,000円で済む仕組みになっています。控除上限金額の計算は、ポータルサイト等で行えます。ただ、控除上限金額はあくまで「自己負担が2,000円で済む上限」のため、それ以下の寄附であれば自己負担は2,000円で済みます。後に支払うべき税金が減ることによって戻ってきますが、一時的なキャッシュフローはマイナスになりますし、払った分-2,000円だけ税金が減る仕組みで直接的な節税ではないため、無理に上限額全額まで使う必要もありません。

当然、たくさん寄附をすればたくさんお礼の品が貰える分お得ですが、未経験の方で「試しに1つだけやってみよう」という使い方でも問題はありません。

税を引いてもらう手続きが必要

寄附してそれでおしまい、というわけではなく、確定申告かワンストップ特例申請という手続きをしないと、後に税金を引いてくれません。なお、ワンストップ特例申請は「確定申告をしない方」「5か所以内の自治体への寄附」という利用条件がありますので、ご注意ください。

ふるさと納税 受入れ自治体の統計

令和3年度は過去最高を記録

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。令和4年7月29日総務省発表の資料を見てみると、令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)の実績は寄附額約8,302億円で前年の約1.2倍、寄附件数は約4,447万件で前年の約1.3倍と、認知が進んだ上にコロナ禍の巣ごもり需要も相まって、寄附額・件数ともに過去最高を記録しています。

総務省ではふるさと納税の受入れ額等の統計を公表しています。ちょっと見てみましょう。

受入れランキングは北海道が独走

都道府県別で見ると、北海道の自治体の受入れ総額は1,217億円超で、2位の宮崎県は約463億円となっており、他の都府県を突き放しています。返礼品が貰えるふるさと納税ですが、「地場産品に限る」という制約がついているため、海産物や農作物・畜産業の多い北海道への寄附額が多いのにも納得です。

ちなみに受入れ件数でも北海道が約747万件でトップとなっており、2位の福岡県が約314万人と、こちらも大きく引き放しています。

寄附の使途選択や受入額も公開

ふるさと納税は大半の自治体への寄附について、「健康医療福祉」や「教育人づくり」「子ども子育て」等、使途分野を指定できます。令和3年度は全体の97.7%、1,746団体でふるさと納税を募集する際の使途が選択できるようになっています。

元々ふるさと納税はその名の通り「今は遠く離れたふるさとに納税するための制度」です。故郷の政策や施策に貢献できる点も魅力の一つですから、返礼品だけでなく取組について応援する、という目的で寄附を考えるもの良いでしょう。

また、受入額実績・活用状況の両方を公表している自治体は79.9%の1,429団体、寄附者に対して寄附金を充当する事業の進捗等を報告しているのが44.6%の798団体となっています。寄附をしたお金がきちんと使われているかどうかの公表については努力課題としている自治体がまだまだあるようです。

副業収入300万円の壁

業務に係る雑所得の範囲について、国税庁は、収入金額の規模が300万円を超えない場合は、雑所得とする案を公表し、パブリックコメントで意見募集しています。

事業性の判定基準は300万円

事業所得か雑所得かの別は、まず、社会通念上、事業と称する程度で行われているかで判断するとしています。不動産所得では、5棟10室基準が事業的規模の目安とされていますが、事業所得では、これを収入金額300万円で線引きするというものです。副業・兼業を営む給与所得者の多くにとって、事業所得者となるためには、大きなハードルが課されることになりそうです。

事業所得とするメリット

給与所得者にとって、副業・兼業が事業所得となる場合、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられるほか、事業所得が赤字のときは、給与所得と損益通算できることがメリットです。一方、副業・兼業が雑所得とされた場合は、青色申告特別控除を受けられず、給与所得と損益通算の恩恵も受けることはできなくなります。

給与所得の扱いは憲法に違反しない

判例には、給与所得と事業所得の課税の違いが違憲ではないか争われたものがあります(大島訴訟)。納税者は、事業所得の経費には実額控除を認めるのに、給与所得の経費を概算控除とする取扱い、それぞれの所得の捕捉率の較差、事業所得の特別措置は不公平であり、憲法14条1項(法の下の平等)違反に当たると主張しました。

しかし、最高裁は、給与所得者の経費のほとんどは使用者が負担していること、給与所得者に実額控除を認めると、家事費、家事関連費が混入し、かえって不公平が生じる弊害などを理由に、納税者の主張を認めませんでした。その後、給与所得に特定支出控除が創設され、一部是正されました。

300万円基準は、赤字の回避が目的か?

事業的規模の判定要件を収入金額300万円超とする今回の改正案は、クロヨンと言われる給与所得と事業所得の捕捉の精度の違いを残したままにしているようです。事業所得の経費には概ね、300万円かかると想定し、事業所得が赤字とならない程度の収入金額として、300万円を設定したのではないでしょうか。そして300万円超の事業所得については、請求書や領収証の保存により、税務調査で適時把握できると考えているのではないかと思われます。