100年企業創りレポート
2022.08.30 Tue
赤文字:藤間のコメント
黒太文字:引用
「社員・家族・お客様・社会から100年残ってもらいたい会社になりませんか」という考え方から、『100年残したい日本の会社』を扶桑社から出版いたしました。アマゾン新書ランキング:「環境とビジネス」部門で1位になりました。
「日本一多くの100年企業を創る」というビジョンを掲げるTOMAグループの100年企業創りコンサルタント藤間秋男が、多くの100年企業を取材し、今は100年に満たない会社でも、この会社は100年残るはずだ、残らなくてはならないと思った企業10社を取材しました。
その選定基準は、「大きな夢を目指してその社員をその夢に巻き込もうとしているかどうか」でした。夢も志に変わっている会社でした。志があるから頑張れるのです。各社を紹介いたします。
A.大きな夢を追う
① ユーグレナ・・・栄養豊富な微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を研究し商品化したのは、栄養失調に苦しむ子供たちに提供し、世界から貧困をなくすためでした。貧困の撲滅を成し遂げたら、貧困とは何かを学ぶ貧困博物館をバングラデシュに作りたいという夢を聞いて涙しました。
②宮田運輸・・・自分の子供たちが描いた絵をラッピングしたトラックを運転する事によって事故を防ごうと考えました。さらに協会をつくってその活動を広げています。会員267社、ラッピングトラック935台のグループを作りました。そのスタートは、会社のトラックで、小さな子供を持つお父さんをなくしてしまった事故での被害者の父親の言葉でした。
現在は弁護士さんからトラックが絡んだ交通事故の示談の条件として、ご遺族からトラック会社に、この協会のプロジェクトに入ることを加えたいという話があったほど活動が広がっているそうです。
B.会社の残し方のヒント
①ピジョン・・・主力の哺乳びんの他、育児用品を製造。日本国内での販売がほとんどだったのを、同族会社から上場して世界に進出して、経営理念の「愛」を世界に届けています。
②おやつカンパニー・・・ベビースターラーメンで知られるお菓子メーカーは海外戦略強化の為に、同族系をやめ、米投資会社カーライル・グループと業務資本提携をしたと知り、その世界戦略に、企業の生き残りに賭ける強い想いを感じました。
③ホリプロ・・・芸能プロダクションとして日本で最初に上場し、ビジネスを文化事業にも広げています。エンタメをビジネスとして成立させ、業界を牽引してきました。当時の業界は一代限りと言われていたので51歳で社長を譲り、会長の自分は文化事業をスタートさせ、一つの柱にしました。
C.新しいビジネスモデルを作る
①ベアーズ・・・香港で体験した共稼ぎサラリーマン夫婦の悩みをヒントに家事代行会社をスタート。当初はいろいろ苦労しましたが、日本で家事代行を産業として成立させました。
②鎌倉投信・・・投資の常識を覆すスタンスで、社会に貢献している「いい会社」を選んで投資を進めている会社です。しかしやっぱり「いい会社」は業績も良く、運用実績も上げていると知って驚かされました。いや、納得しました。
③ハー・ストーリィ・・・女性視点マーケティングを提案している会社。衣食住など色々な商品の購入の決定はほとんど女性がしているにも関わらず、企業の経営もマーケティングも男性主導がほとんどです。そこに一石を投じて、日本企業の考え方を支えてくれる可能性を感じ、応援したくなります。
D.工夫-未来を切り拓く
①紀尾井町 福田家・・・あえて、多店舗展開を封印する決断。政財界や文化人御用達のお店として名を馳せる料亭。趣深く料理をいただける魯山人の器をたくさん持ち、「格式は高く、敷居は低く」という新たな客層にアプローチをしています。祖父からの「継続は文化なり」を続けていってほしいです。
②星野リゾート・・・強烈な危機感が原点。所有と運営を一体化とする日本の観光業界で、いち早く運営に特化したビジネスモデルへ転換を図り、急激に成長しています。
安定した地方旅館から経営の変革をされたのは素晴らしい決断だったと思います。
まとめると、以下のことが学べます。
①本気の夢、志、経営理念を実践している
②会社の未来と社長の引き際が感じられます
③色々な経験や、事業の中の深い気づきが本気で取り組む事業を生んだ
会社は駅伝と考えれば、社長がタスキを渡し続けますが、そのタイミングを間違えると成長ができなくなります。
これからの「新しい100年企業」の条件とは
①常に夢を持っていること
本気の夢を語ることで、人を動かしていくことが出来るのです。
②夢に社員を巻き込んでいく
その思いに共感してくれる社員が多くなるほど会社は力強くなるし、社員も幸せになれる。
③夢を語ることが、社員の幸せになる。
夢を語り、経営理念を社員に理解してもらうことは、100年続く企業になっていくためには非常に重要なことなのです。
TOMAの商品として「たくさんの方たちから100年企業になって欲しい」と思われる企業になるためのコンサルメニューを作りましたので、お気軽にご相談ください。
〈藤間の補足〉覚悟を決める。その典型として越智直正氏(タビオ会長:東証2部 靴下の会社) が紹介されていました。
「致知 2022年8月号」(致知出版社)より抜粋
① 「ここを離れない」という覚悟
中卒の氏が三年間で『孫子』全文を暗誦できるようになったのはなぜか。もし氏が辛いから他の会社、職種を探そうとしていたら、『孫子』など放り出していたに違いない。自分が仕事の能力を磨き、人物を養うのはここしかないと思っていたからこそ『孫子』に集中できたのである。
② 「先縁尊重の人」
「先縁尊重」とは「原点の人を忘れない」ことである。詳細は省くが、越智氏は社長の誤解から突然解雇された。普通ならその理不尽に恨みを抱いても不思議はない。だが越智氏は、自分が一人前になれたのは社長のおかげと、独立後も毎年正月に元社長の家に挨拶に行くのを欠かさなかった。この一事にも越智氏の覚悟を感じることができる。
いまいる場所で花を咲かす。恩ある人の恩義には生涯尽くす―この二つの覚悟を決めたことが、越智氏の運命を拓いたことは間違いない。
③ 越智氏の著書『男児志を立つ』にこういう話がある。
初めてのアメリカ旅行でオーランドに行った時、荘厳に沈む大きな夕日を見ていて、「靴下が私を選んだのだ」と、強烈なショックと共に気づいたという。以来、靴下のことしか頭になくなり、「一灯を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うる勿れ。ただ一灯を頼め」「今生の命、一切衆生に施す」「死して護国の礎となる」などの言葉に接すると、一灯、衆生、護国がすべて靴下と読めるようになった、というのである。
仕事と一体になる人を仕事大人、会社と一体になる人を会社大人という。大人になると覚悟を決めた人でなければ見えない世界、拓けない世界があることをこの話は教えてくれる。
④ 「人はその一心だに決定すれば、いかなる環境に置かれようとも、いつか必ず、道がひらけてくるものである」
森信三の言葉である。深い英知の言葉を噛みしめて人生に臨みたい。
常に覚悟を持っていたら、必ず道が拓かれていくものです。それが他業種や他社になってウロウロしていたら覚悟がゆらぎ、道は絶対に拓かれないのです。
私は日本一多くの100年企業を創るコンサルタントを目指しています。
事業承継の実践として、最高の記事に出会いました。後継者が跡を継がないなどの理由は色々とありますが、以下を必ず実践してみてはいかがでしょうか。
【自由研究は家業の歴史】 メルマガ「ほぼ日刊ライスレポート」(船井総研 三浦康志氏) 220712
子供が親の事業を昔ほど継がなくなったのは、職住分離に最大の理由があると思います。
一階が仕事場で二階が住居という職住一致の時代は、幼少期から自然に子供が事業に関わるようになります。
その経験が後継者育成にとってとても重要なのだと思います。
職住分離の状態では、自然に子供が事業経験を積むことが希薄になります。
意図的に関わる環境を整えなければなりません。
そのために夏休みはとても良い機会だと思います。
小学校高学年になれば、自由研究、という夏休みの宿題が課せられます。
この自由研究をネタに家業に関わらせる環境を整えてはいかがでしょうか。
例えば「家業の歴史」を研究するのです。先代の祖父、祖母が存命なら最適です。
祖父や古参の社員さんに創業当時のエピソードなどをヒアリングするのです。
もちろん父親である現経営者も重要なヒアリング対象です。
歴史を知れば家業に対する関心は高まります。
歴史以外のことも深く知りたいという意欲が湧いてくるのではないかと思います。
夏休みは、家業のアルバイトを始めるのもよい機会です。
職住分離の環境下で、大人(大学生、社会人)になってから家業への関りがスタートするのでは遅いと思います。
子息を後継者候補としたいなら、小学生高学年、遅くとも中学生から何らかの方法で家業に関わらせるべきだと思います。