100年企業創りレポート
2021.09.01 Wed
「松下幸之助に学ぶ指導者の一念 “商売の神様”から“経営の神様”へ。それを画したものは?」
パナソニック株式会社 終身客員 木野親之(「理念と経営 2021年6月号」コスモ教育出版)
① 幸之助は大正6年(1917年)に、有名な二股ソケットの製造をするために事業を起こしました。〈独立の年〉
② 二股ソケットは便利で、誰もが売れるに違いないと思っていました。いわば100%成功の条件が揃っていたのです。しかし、見事に事業は失敗します。
③ “自分に邪心があったのと違うか。うまくいけば儲けることができるやろう、多少はうまい物も食べられる―。(略)自分が間違っていた!”と大反省をしたのです。
④ なぜその商売をするのか、理念、創業の精神が欠けていた。
⑤ 創業の志、経営理念を明確にしてからは、二股ソケットは飛ぶように売れました。それ以降、終戦まで幸之助は一度も失敗をしていません。〈創業の年〉
松下幸之助でも、スタートは邪心のかたまりに失敗する。この時を〈独立の年〉としています。そしてそれを大反省し、創業の志や経営理念を固めて再スタートして成功した翌年を〈創業の年〉として区別しているそうです 。どんな企業でも、志と経営理念とビジョンが必要ですね。
「企業の成功法則 『鬼滅の刃』は、なぜ大ヒットするのか」 田舞徳太郎(「理念と経営 2021年6月号」コスモ教育出版)
① 幼い頃に母から言われた「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」という言葉を回想します。上玄の鬼の甘いささやきにも揺るがず、人を守るため、リーダーとしての責務を果たします。
② 才に恵まれた者は、その力を世のため人のために使わねばなりません。
③ 社長は人の上に立つリーダーです。『鬼滅の刃』はわれわれに生きる姿勢を問うています。
④ 『鬼滅の刃』に学ぶこととは?人に言われて立ち上がったのではなく、a)自らの正義感、良心、冒険心、b)人を思いやる仁、c)どんなに危険でも悪に立ち向かう義、 d)鬼殺隊の柱を尊敬し真摯に学ぼうとする礼、e)困難に出遭っても鍛錬の積み重ねと自助努力で智恵を出しながら戦う姿勢、f)人間として信(まこと)を尽くす誠実さや助け合いなどの信を、映画や漫画に登場する少年や柱の活きる姿に強く感じました。
⑤ 誰かのために生き、己を投げ出す崇高さ。
⑥ (主要な登場人物である)杏寿郎が問う「人生の真の勝者」とはa)老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ堪らなく愛おしいのだ。b)俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!!
⑦ 自分なりの生き方を貫ける人が、自己実現できたとして、それこそ人生の真の勝者なのだ。
私は、孫が行くときに一緒に観に行きました。映画館はすごく空いていて、もう飽きられたのかと思いましたが、そうではなかったようです。すごく道徳的で人間の在り方など考えさせる映画でした。私が感激したのは「お前は強く生まれたのだから、弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」という言葉。少し涙ぐみました。戦いはすごく残酷ですが、若い人たちにとって素晴らしい教育になっていると思いました。老若男女が観て納得できる映画だと思います。
『佐藤肇 経営者の決断101項』 スター精密 代表取締役会長 佐藤肇(日本経営合理化協会刊)
① 「ウチの会社で3年頑張ってみて、肌に合わなかったら辞めていいぞ」と言われたからこそ、親父の会社に入ってみようと思えた。いま思えば、あんな上手い誘い文句はない。
② 自社は「継いだ子供が幸せになれる会社」か?
継いでくれる子供が幸せな会社にしておく。厳しいことを言うようだが、これは親としての責務だと肝に銘じて、来るべき日まで頑張ることだ。
③ 後継者を「スペシャリスト」に育ててはいけない。
後継者を自社のどの部門で修行させるにしても、一部門のベストでなく、会社にとってベストを常に考える視点を持たせることだ。(略)後継者には会社全体を率いる、ゼネラリストとしての訓練を積ませていただきたい。
④ 帝王学は「数字」から始まった。
絶対に会社を潰させないために、財務の要諦を学ぶことが絶対不可欠との信念からである。
⑤ 決断力と実行力、この二つがない後継者を社長にしてはいけない。
経営とは環境変化適応業である以上、何も決断せず実行しなければ、あっという間に業績は落ち、会社は衰退する。(略)厳しい言い方になるが、決断力と実行力がない者を社長にすれば、多くの人を不幸にする。
⑥ 社長の仕事は、後継者を決めることではない。
私の役割は業績を立て直し、次の社長を育て、新社長が何の足かせもなく活躍できる環境を整えることと定め、その任務に全力を注いだ。
⑦ 後継者は、「先代を超えよう」などと考えてはいけない。
事業承継の鉄則は「守りながら変容」である。先代が築いた「財産」を受け継ぐことに感謝しなければ、これを守ることも、ましてその財産を活用して「新たな財産」を生み出すこともできない。事業の永い繁栄は、先代への「感謝の気持ち」と「謙虚な心」が土台となる。
⑧ 経営は、見通しのよい一本道ではない。後継者は、迷子にならぬよう先代の背中を常に追っていけばよい。
(後継者は)誰にも替えがたい経営の師に寄り添ってもらえることに感謝しながら、先代の後ろを常に追っていけばいいのだ。
最近は会社を継がない子供も多いですが、「3年頑張ってみればいい」は、入りやすいかもしれません。ただ、良い会社にしておくのが前提だと思います。後継者は、すべての部門を1年くらいずつで経験させて、ゼネラリストにすべきだと思います。その中で、各部門ごとのNo.2、番頭を見つけてくるべきだと考えます。先代のNo.2の番頭は、新社長のNo.2の番頭ではありません。後継者は簿記の2級くらいは取っておくべきで、経理部・財務部で1年くらい経験させるべきです。倒産する会社は、かなりの率で決算書の読めない社長が多いと言われています。
『佐藤肇 経営者の決断101項』 スター精密 代表取締役会長 佐藤肇(日本経営合理化協会刊)
① 困った典型がある。それは、社長の呼称を「会長」に変えただけで、相変わらず自分が陣頭指揮をとるケースだ。会長業の鉄則は、「口をはさまない」「新社長を立てる」である。
② 会社を危機に陥れるような判断ミスをしないかぎりは反対せず、一度や二度は新社長に失敗を経験させ、なにくそと挽回することで成長させる。
③ 理想は、気力体力のあるうちに社長を譲り、事あるときはいつでもバックアップする余力を残したまま、会長となり見守ることだ。
④ 棺桶に片足を突っ込むような歳になってやっと交替したのでは、新社長に挑戦と失敗の訓練を積ませる機会を与えてやれない。事業承継には「任せたら任せきる」という、譲る側の覚悟が必要なのである。
⑤ 会長の仕事は、会社に残る「負の遺産」を取り除くこと。
私は自らが社長時代につくった海外支店を3つ、国内工場2つを、会長になってから3年計画で売却した。いずれも斜陽化するものと判断し、会長主導でやったことである。
私は、社長を譲る1年以上前から、ほとんど後継者に任せました。そして、毎月何回か2人だけで話し合いをして、いろいろ議論します。激論のときもあります。最後は私が「あとは社長が決めて下さい」と言って判断を任せています。そうでないと、社長ではないですよね。
また、「負の遺産」の例として、自社株をもめないように処理する。一族経営でもめないような人事にする。会社が活用している個人資産を会社で買い上げる、などなど、後継者が本業に徹することができるようにしてあげることです。
『成功者がしている100の習慣』 ナイジェル・カンバーランド (ダイヤモンド社)
成功している人は「モデル」から学ぼうとし、成功しない人は成功者を真似しようとしない。
① 夢を持っている
成功する人は夢を追い求め、成功をしない人は現実に流されている。成功の陰には、必ず夢の実現がある。
② 人の力を借りている
成功する人は恥ずかしがらずに「わかりません」と言い、成功しない人は自分の無知を認めない。完璧であろうとするほど、物事はうまくいかなくなる。
③ 仕事を遊びに変えている
成功する人は仕事を楽しむ努力をし、成功しない人は仕事が嫌だと不満を言う。
④ 朝に一日の計画を立てている
成功する人は朝を制することで一日を制し、成功しない人は朝から遅れをとることで一日に敗れる。
⑤ 一生、学び続けている
成功する人は絶えず新しい何かを学び、成功しない人は古い知識にしがみつく。
⑥ 直感を信じている
成功する人は「直感」というスパイスを活用し、成功しない人は理屈だけで動く。直感は、「成功の秘密兵器」です。
⑦ 人に好かれようと努力している
成功する人は周りから好かれるために努力をし、成功しない人は嫌われていることに気づかない。真の成功とは、多くの友人に囲まれること。
⑧ 感謝を言葉にして伝えている
成功する人は「ありがとう」が簡単に言え、成功しない人は素直に感謝ができない。
⑨ 新しいアイデアに心を開いている
成功する人は「オープンマインド」を意識していて、成功しない人は狭い考え方から抜け出せない。
⑩ 失敗を恐れない
成功する人は失敗から学んで成長し、成功しない人は失敗を恐れて行動しない。
⑪ よく笑う
成功する人は笑顔で周りを明るくし、成功しない人は笑いの価値を低く見積もる。
⑫ 人格の向上に努めている
成功する人は人格を磨き、成功しない人は評判を気にする。
⑬ 悔いのない人生を送ろうとしている
成功している人は生きているうちにやりたいことをやろうと努力し、成功しない人はやらない言い訳を探している。
他、たくさんあります。以下は、成功者の条件です。
船井幸雄さんは、「素直」「プラス発想」「勉強好き」
稲盛和夫さんは、「成功の方程式=考え方×熱意×能力」
倫理法人会は、「明朗」「愛和」「喜働」
TOMAの経営理念も、「明るく・楽しく・元気に・前向き」 など
なんとなく成功者のイメージがわいてきませんか。暗くして楽しくならず、元気なくして後ろ向きの人は、成功しそうにありませんね。