100年企業創り通信
2021.06.11 Fri
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの中小企業者等が、売上の減少や借入の増大に直面しています。こうした中小企業者等の多くが、資金繰り計画などを作成していないために、将来の見通しが立てられていないのが現状です。この事業は、中小企業者等が基本的な内容の経営改善に取り組むことにより、資金繰りの管理や採算管理が行えるよう支援を行います。
本事業は、資金繰りの管理や自社の経営状況の把握などの基本的な経営改善に取り組む中小企業者等が、国が認定した税理士などの専門家の支援を受けて資金繰り計画やビジネスモデル俯瞰図といった内容の経営改善計画を策定する際、その費用の3分の2(上限20万円)を補助することで、中小企業者等の早期の経営改善を促すものです。
●コロナの影響などで資金繰りが不安定
●コロナなどの影響で売上が減少し、先行きが不安である。
●自社の状況を客観的に把握し、今後の取組事項を整理したい。
●初めてお願いする専門家に、いきなり高額の費用は払えないので、まずは一度お試しで計画を作りたい。
過去の資金繰り状況を分析し、今後の資金計画を策定することができます。自社の経営課題を把握し、具体的な行動計画を作成できます。計画策定から1年後に、専門家によるフォローアップを受け、計画の進捗を確認できます。
コロナ禍の影響は先行きを見通すことが難しいものですが、手元の現預金がどのように推移するかを予測する資金繰り計画を作成し、逆算をして、早期に売上の向上や費用の抑制などの経営改善の取組を始める必要があります。また、売上等が回復する時期が不透明なため、資金予定計画を作成する際には、複数のケースを作成してシミュレーションすることが重要です。
キャリアアップ助成金正社員化コースは
雇用されてから6か月以上3年未満の有期雇用契約社員を正社員に転換し、転換後の賃金を転換前の賃金よりアップすることで申請ができます。受給額は中小企業で1人57万円(生産性向上要件に該当したときは72万円)です。
対象となる有期契約社員の主な条件は、
① 正社員転換後は雇用保険に加入していること
② 社会保険に加入していること(強制加入被保険者の場合)
③ 事業主又は取締役の3親等以内の親族以外であること
(1)正社員への転換時の賃金アップ率が「5%以上」から「3%以上」へ引下げ
キャリアアップ助成金正社員化コースは正社員転換後の6か月間の賃金総額が転換前直近6か月間の賃金総額から5%以上アップすることが必要でしたが、令和3年4月からの転換については3%以上のアップでよくなりました。率が引き下げられたので転換時のハードルが少し低くなりました。
(2)賃金総額に賞与は不算入
従来、賃金アップの総額には正社員期間に支給された賞与も加算することが可能でしたが、4月以降の転換では認められなくなりました。したがって基本給とその他の固定的手当で3%以上の賃金アップが必要になります。
3%アップに含まれない手当は①実費補填、②毎月の状況で変動するもの、③賞与、以上は名称にかかわらず含められません。
代表例としては通勤手当、住宅手当、歩合給、精皆勤手当、無事故手当、食事手当、休日手当、時間外手当、固定残業手当(転換後の賃金の固定残業代を減らしたときは、固定残業代を含めた賃金が3%以上のアップになってないと支給対象外になります)
(3)新たに正社員制度を規定し短時間正社員に転換した場合は助成金を加算
フルタイムの正社員を転換したときと助成額は同じですが、新たに短時間正社員制度を設けて転換した場合、1事業所1回のみ中小企業で9万5000円(生産性向上要件該当で12万円)が加算されます。
2021年4月以降に実施される緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う「飲食店の休業・時短営業」や「外出自粛等」の影響により、売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者等に月次支援金が給付されます。
以下の2つの要件を満たせば、業種や地域を問いません。
① 対象月の緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること
② 2021年の月間売上が、2019年又は2020年の同月比で50%以上減少していること
2019年又は2020年の基準月の売上-(マイナス)2021年の対象月の売上
中小法人等については20万円/月、個人事業者等については10万円/月が上限となります。
原則、対象月の翌月から2か月間が申請期間となります。今年の4月・5月分については2021年 6月中下旬~8月中下旬となり、6月分については2021年 7月1日~8月31日となります。
地方公共団体による休業又は時短営業の要請に伴う協力金の支給対象の事業者は給付対象外です。また、一時支援金又は月次支援金で無資格受給又は不正受給を行った者や不給付となった者は、月次支援金の申請・受給を行う資格はありません。
2019年以降新規開業した場合、合併した場合、事業承継があった場合、法人成りがあった場合などは、証拠書類や給付額の算定について特例措置が講じられています。
申請前に登録確認機関で事前確認を受ける必要があります。一度月次支援金に関する事前確認を受けて受給すれば、基本的に2回目以降の申請では事前確認を受ける必要はありません。なお、事前確認を経て一時支援金を受給した事業者は、基本的に月次支援金の申請のために改めて事前確認を受ける必要はありません。
中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できるものです。
これまで、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)が対象になっておりましたが、新たにデジタル化設備(C類型)が対象に加わりました。
デジタル化設備とは、下記のいずれかに該当する投資計画を達成するために必要不可欠な設備です。
1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
2)以下のいずれかを目的とすること
A)事業を非対面で行うことができるようにすること
B)事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化※を行うことができるようにすること
1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること
※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
中小企業・小規模事業者等は事業分野指針に沿って「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けることにより、税制や金融支援等の支援を受けることができます。
令和3年度は、3年に一度の固定資産の評価替えの年(基準年度)です。新しい評価額は、令和4年度、令和5年度まで3年間適用され、市区町村の固定資産税納税通知書および課税明細書に記載されています。
土地の評価には、負担調整措置があります。固定資産の評価額に対する税負担に地域や土地による格差があるのは税の公平の観点から問題があることから、負担調整措置により負担水準(評価額に対する前年度課税標準額等の割合)が高い土地は税負担を引き下げたり、据え置いたりする一方、負担水準が低い土地については段階的に税負担を引き上げます。
令和3年度は、評価替えを起因とする税額の上昇を抑えるため、前年度と比較して価格が上昇する場合、令和2年度課税標準額に据え置かれます。納税者の負担は令和2年と同じですが、評価額そのものは改定されているので、しっかり確認しましょう。
宅地は地方税法の定める「固定資産評価基準」により評価されます。固定資産税の路線価が設定される地域では、路線価に画地補正率を乗じ、さらに修正率を乗じて1㎡あたりの土地評価額を算定します(修正率は毎年設定)。なお、画地補正率は、市町村(東京23区は東京都)の条例で独自に定めて適用することができます。
固定資産税路線価は、相続税の路線価と異なり、基準年度の前年1月1日(令和3基準年度は、令和2年1月1日)の地価公示価格、または不動産鑑定評価額の概ね70%で設定されます。また補正率は、相続税の補正率と同様のものが設定されていますが、地区の区分や適用される数値は相続税と異なるので注意が必要です。また令和3年度の修正率は、令和2年1月1日から令和2年7月1日までの地価の下落状況を反映して路線ごとに設定されています。今年は減額修正されている路線が多くあります。
令和3年度の評価額は、納税者の側でも固定資産税の路線価、画地補正率、修正率を使用して算出できます。市区町村の固定資産税課に出向けば、土地評価額を閲覧できるほか、担当者に問い合わせて評価額の根拠を教えてもらうこともできます。一度ご自身で土地の評価を確認してみてはいかがでしょうか。