100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.40

2021.05.28 Fri

企業PRに活用したい認定マーク

企業アピールに利用できる

「○○省認定」「○○マーク取得」というような、特定分野で優良な企業を認定するための制度があります。企業認定制度を取得することは自社の活動が公に認められることで、社会に対してPR効果が見込めるので取得したいと考える企業も多くいます。今回は厚生労働省関連で両立支援や女性活躍推進などに取り組んでいる企業を認定する主な制度を紹介します。

◆子育てサポート「くるみん」「プラチナくるみん」マーク…次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画の策定・実施等をした企業は、申請を行うことで「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。2020年3月時点でも約3,300社認定されています。くるみん認定後の上位認定に「プラチナくるみん」認定が受けられます。

◆女性活躍推進「えるぼし」・「プラチナえるぼし」…女性の活躍推進に関する取組が優良な企業で受けられます。認定には採用に関して男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であることなどが要件になっています。上位認定として「プラチナえるぼし」があります。

◆若者の採用・育成「ユースエール認定」…

若者の採用育成に積極的で雇用管理状況が優良な中小企業を認定する制度です。若者雇用促進法に基づく認定マーク(ユースエール)を受けます。労働時間(正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下、かつ月間時間外労働60時間以上の正社員ゼロ)などの基準を満たす必要があります。

◆安全・健康で働きやすい職場「安全衛生優良企業認定」(ホワイトマーク)…労働者の安全な健康を確保するための積極的な取組(メンタルヘルス対策、過重労働防止対策等)が高い安全水準を維持改善している企業が認定されます。

◆仕事と介護の両立「トモニン」…社員の介護離職を未然に防止するため、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組む企業で「両立支援の広場」に両立に関する取組を登録します。

上記のように企業認定を取得するには定められた基準のクリアが必要です。そのことで従業員の働く環境整備が進み、ロゴやマークをHPなどでアピールして採用面でも効果が出ています。

免税事業者が課税事業者となる訳

インボイス制度で免税事業者が課税事業者に誘導される理由を消費税の制度面から考えてみます。

消費税の仕組み

消費税は、事業者が国内で行った課税資産の譲渡、貸付、役務の提供(課税資産の譲渡等)について課され、事業者は売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額(資産の取得に係る消費税を含む)を控除し、差額を納付する(還付を受ける)制度です。

消費税制度は、消費に広く公平に課税すること、簡素でわかりやすく、事務負担が軽減されるよう配慮されています。それぞれ取引の前段階で課税された仕入税額を控除することにより、税の累積がされないよう設計されています。

事務負担への配慮と帳簿方式の課題

事業者の事務負担の軽減措置は、小規模事業者の免税点制度、帳簿方式の税額控除制度、簡易課税制度の3つです。

免税事業者は、売上に係る消費税の納税義務が免除されますが、仕入れに係る消費税額の控除も認められません。帳簿方式では、事業者は帳簿の記帳内容から売上に係る税額と仕入控除税額を計算することができ、また簡易課税制度を選択し、みなし仕入率を使用して簡易な計算もできます。

一方、現状の帳簿方式には課題もあります。課税事業者は、仕入先が課税事業者か免税事業者かを判断できないため、仕入先が免税事業者であっても仕入税額控除が認められます。仕入先では請求した消費税は益税になります。また簡易課税制度でも、みなし仕入率の適用により益税が生じることがあります。益税は支払側の不信感を生みます。そのほか帳簿の正確性が担保されなければ、誤りや課税漏れも生じます。

免税点制度を閉ざすインボイス制度

令和5年10月から課税事業者は、インボイスを介して消費税を授受します。インボイス保存が仕入税額控除の要件となり、インボイスを交付できない免税事業者は取引先からはずされていくことでしょう。

免税点制度でこれまで守られてきた負担軽減措置は、インボイス制度のもとで実質閉ざされることになります。免税事業者の多くは、課税事業者となったうえでインボイス登録事業者を選択し、併せて事務負担が少なく、益税の余地が残される簡易課税制度を選択することになるでしょう。そのほか、電子インボイスによる事務負担の軽減も期待されます。

税制面でも有利に働く ~経営力向上計画活用のススメ~

経営力向上計画の概要

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。

制度利用のポイント

【ポイント1】申請書様式は3枚

①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標、④経営力向上の内容、⑤事業承継等の時期及び内容など簡単な計画等を策定することにより、認定を受けることができます。

【ポイント2】計画策定をサポート

認定経営革新等支援機関に計画策定の支援を受けることができます。また、ローカルベンチマークなどの経営診断ツールにより、計画策定ができるようにしています。

【ポイント3】計画実行の3種の支援措置

●税制措置…認定計画に基づき取得した設備や不動産について、法人税や不動産取得税等の特例措置が受けられます。

●金融支援…政策金融機関の融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援があります。

●法的支援…業法上の許認可の承継の特例、組合の発起人数に関する特例、事業譲渡の際の免責的債務引受に関する特例措置

制度活用の流れ(税制措置を受けたい場合)

1.制度の利用を検討

適用対象者の要件や手続等を確認後、設備投資について税制措置を受けるためには、計画申請時に工業会証明書や経産局確認書等を取得します。

2.経営力向上計画の策定

「日本標準産業分類」で、該当する事業分野を確認の上、事業分野別指針を確認し当該指針を踏まえて経営力向上計画を策定します。

3.経営力向上計画の申請・認定

各事業分野の主務大臣に計画申請書を提出します。認定を受けた場合、主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが交付されます。

 

※自社のみで策定が不安なら、認定経営革新等支援機関に相談することも出来ます。

なぜ給与支払者が源泉徴収義務者で納税しなければならないのか?

源泉徴収は国の仕事の押し付けでないか?

所得税法では、給与の支払者が給与支払時に源泉所得税を天引きし、翌月10日までに国に納付しなければならないと規定されています。“これって国のやるべき仕事を給与支払者に押し付けているのでは?”と疑問に思ったことはありませんか?

源泉徴収制度は事前に税収を確保できる国にとって便利な制度です。滞納の未然防止や納税の簡易化、納税者の捕捉などにも資するものです。とはいえ、給与支払者にとっては手間も時間もかかる余計な仕事である上に、申告や納税が遅れるとペナルティ(=不納付加算税など)も大きい嫌な制度です。

手間の掛かる源泉徴収義務は憲法違反か?

給与支払者に源泉徴収義務を課すのは憲法違反だとする源泉徴収制度の合憲性が争われた事件がありました。原告側の主張は、源泉徴収制度は憲法14条1項(法の下の平等)、18条(その意に反する苦役に服させられない)、29条1項3項(財産権の侵害)に違反すると訴えたのです。

しかしながら、昭和37年2月28日の最高裁の判決で、「給与所得者に対する所得税の源泉徴収制度は、これによって国は税収を確保し、徴税手続を簡便にしてその費用と労力とを節約し得るのみならず、担税者の側においても、申告、納付等に関する煩雑な事務から免がれることができる。また徴収義務者にしても、給与の支払いをなす際所得税を天引きしその翌月10日までにこれを国に納付すればよいのであるから、利するところは全くなしとはいえない。」として訴えは退けられました。

現行の源泉徴収制度は三方よしの手法

最高裁の棄却理由として、①国の簡便手続での税収確保、②従業員は確定申告不要となる、③給与支払者の資金的利便の3つを理由としました。

そして、「されば源泉徴収制度は、給与所得者に対する所得税の徴収方法として能率的であり、合理的であって、公共の福祉の要請にこたえるものといわなければならない。」として、合憲としました。

以後に争われた源泉徴収制度の合憲性事件でも、この昭和37年最高裁判決が引用されて今日に至っています。

コネクテッド・インダストリーズ実現へ ~ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助~

コネクテッド・インダストリーズとは

IoTやAIなど、デジタル技術が新たな価値を生み出そうとしています。政府は国内のこうした動きを全面的に支援する戦略を打ち出しています。本事業は、「コネクテッド・インダストリーズ」の取組を日本経済の足腰を支える中小企業・小規模事業者等に広く普及させるため、また、地域経済を牽引する事業がもたらす地域経済への波及効果をより高めるため、複数の中小企業・小規模事業者等が連携して取り組む事業を支援するものです。

項目要件

(1)概要:複数の中小企業・小規模事業者等が連携して行う下記のプロジェクトを最大2年間支援します。

①事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクト

②地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認を受けて、連携して新しい事業を行い、地域経済への波及効果をもたらすプロジェクト

(2)補助金額:100万円~2000万円/者

(3)補助率:中小企業者1/2以内、小規模企業者・小規模事業者2/3以内

(4)設備投資:単価50万円(税抜)以上の設備投資が必要

(5)補助対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

(6)補助要件:以下の条件を全て満たす3~5年の事業計画を策定し、賃金引き上げ計画を従業員に表明していること

① 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)

② 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。

③ 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%増加(付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)