100年企業創り通信
2020.12.04 Fri
新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2~10月の任意の連続する3か月の事業に係る収入が前年同期比30%以上50%未満減少した場合は、令和3年度の固定資産税・都市計画税が1/2に軽減、50%以上減少した場合は全額免除されます。
ただし、減免される対象は事業用家屋及び設備等の償却資産に対する固定資産税と、事業用家屋に対する都市計画税に限定されています。土地は対象ではないのでご注意ください。
この減免措置は、不動産所有者がテナント等の賃料支払いを減免した場合や、書面等により一定期間賃料支払いを猶予した場合にも収入の減少として扱われます。
ただし、テナント等の賃料支払いを猶予したことによる収入減で、この措置を受けようとする場合は、3か月以上の賃料を、それぞれの賃料の支払い期限から3か月以上猶予していることが条件となります。
例えば、3~5月分の賃料を猶予した場合に、猶予された分の賃料は、3月分は6月以降に、4月分は7月以降に、5月分は8月以降に支払われる必要があるということです。
3~5月の賃料の猶予を6月に一括払いするとか、3月の賃料を4月に払う等、1か月のみのスライドをする等の措置では、収入の減少にカウントされません。
法人・個人が行った賃料の減額が、
①取引先が新型コロナウイルス感染症関連で事業継続が困難・困難になりそうなとき
②賃料の減額が取引先の復旧支援を目的としていて、それが書面で確認できるとき
③取引先等に被害が生じた後、営業再開するための復旧過程にある時期に減額されたとき
のいずれかの条件を満たしていれば、その減額分については寄附金には該当せず、税務上の損金として計上することが可能です。
また、支援策はオーナーだけでなく、物件を借りている事業者等へは家賃支援給付金制度があります。
精神的な障害により判断能力が不十分な方や判断能力がない方は、預貯金や不動産などの財産の管理、遺産分割協議や契約等の法律行為をすることができません。また、判断能力が不十分な方や判断能力がない方が、悪徳商法の被害にあい契約などを締結してしまう恐れもあります。
そこで、判断能力が不十分な方や判断能力がない方を保護し支援することが必要になってきます。このような不利益を被る可能性のある方達を守る制度が成年後見制度です。
判断能力が不十分、又は判断能力がない状況にある方とは、具体的に、認知症、知的障害、精神障害などの障害により不利益を被る可能性のある方のことです。
① 成年後見
判断能力が欠けているのが通常の状態の方
② 保佐
判断能力が著しく不十分の方
③ 補助
判断能力が不十分の方
と分けることができます。
次に一番利用されている成年後見について見ていきます。
申立権限のある人が家庭裁判所へ申立てをし、家庭裁判所が成年後見人となる人を選任します。
審判が確定すると、成年後見人は法定代理人として本人の財産を守ったり、必要な契約をしたりします。
いくつかの例を挙げます。
・認知症の親の高額な預金をおろすとき
・遺産分割協議が必要なとき
・不動産を売却するとき
・施設などに入所する際に契約をするとき
etc.
上記はあくまでも例ですので、成年後見人が不要な場合もあります。
一番よくある事例としては、親が認知症になり財産の管理ができなくなったときに利用されます。判断能力がなくなってからは現在、成年後見制度を利用するしか方法はありません。認知症になる前に専門家に相談し対策を講じておくとよいでしょう。
相続人が法務局に対して、戸籍謄本等の必要書類及び相続関係を記載した一覧図を提出することにより、登記官がその内容を確認し、認証文付の一覧図の写しを交付する制度です。
平成29年5月29日から全国の法務局でスタートした比較的新しい制度です。
相続登記や預貯金の解約などの相続手続において必要となる書類は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等の多くの戸籍関係書類が必要となります。これらを手続ごとに提出し、何度も同じ書類を集めなければなりませんでした。
この法定相続情報証明制度がスタートしたことにより、登記官が内容を確認して交付された認証文付きの一覧図の写しを提出することにより法定相続人が一目瞭然となるため、相続人及び提出先の担当部署の負担が相当軽減されることとなりました。
夫、妻、長男、長女という家族で夫が死亡した場合の必要書類を記載していきます。
① 夫の出生から死亡までの戸籍謄本
② 妻、長男、長女の戸籍謄本
③ 夫の住民票の除票又は戸籍の附票
①~③の書類を収集し、申出書を作成し管轄法務局に提出します。
法定相続情報一覧図に妻、長男、長女の住所を記載して欲しい場合には、上記①~③に加えて妻、長男、長女の住民票を提出します。
相続手続における戸籍関係書類の収集を1回にし、法務局に提出することにより戸籍関係書類に代わる法定相続情報一覧図を交付してもらい、相続人の戸籍収集の負担を軽減し、提出先(銀行等の金融機関)の担当部署の戸籍謄本等の解読が不要となり法定相続情報一覧図によって明らかになるということです。
相続人にもメリットですし、提出先にもメリットともなるので積極的に利用していきたい制度です。
平成16年の不動産登記法の改正により、新しく設けられた制度です。
16年の不動産登記法改正前の権利証に代わるものが登記識別情報となります。
アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、登記名義人となった各申請人ごと、各不動産ごとに定められ、登記名義人となった申請人にのみ通知されます。銀行のキャッシュカードの暗証番号を長くしたようなものです。また、12桁の符号の横にはQRコードが記されております。ただし、再発行及び登記識別情報の変更はできません。
夫婦が共有名義で土地1筆、建物1棟を取得し所有権移転登記をした場合、
土地………夫1通、妻1通 計2通
建物………夫1通、妻1通 計2通
土地及び建物の合計 夫婦で計4通
不動産ごと、名義人ごとに発行されるためです。
非常に重要な情報であるため、第三者に盗み見られないように厳重に管理する必要があります。
登記識別情報は、登記識別情報を記載した部分を覆うように仕組みが施してあり、第三者に盗み見られないような工夫がされて交付されています。また、一度切りとり剥がしたものや、シールを剥がしたものは二度と元に戻せない仕組みになっております。裏面には開封方法の記載がありますが、次回の手続で使用するまでは、切りとったり剥がしたりしないで保管することが望ましいと思います。
保管方法はあくまでも所有者の任意になりますが、金庫等に保管するなど厳重に管理することが望まれます。
不正な登記申請に用いられることがないようにするため、登記名義人またはその相続人その他一般承継人は不動産を管轄する法務局の登記官に対し、登記識別情報の失効の申出をすることができます。手続に関しては、最寄りの法務局に相談した方がよいでしょう。
個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。上限金額は今年の所得や控除によって決まるので、今年の所得が明確に分かる年末になるにつれ、寄附される金額が多くなります。
今年は給与所得控除や基礎控除に若干の変更点があったため、給与収入が去年と同額でも、若干の上限金額の増加(と同時に税額の増加となります)になる方がいらっしゃいます。
基礎控除の減額に関しては所得金額が、
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 基礎控除は 0円
となっていますが、この「所得金額」には給与所得以外の所得もカウントしますから、少々注意が必要です。
退職所得や株式譲渡益を申告した場合等は、この算定に入ってきますから、給与所得のみで計算して、基礎控除があったのに、確定申告をしたら基礎控除がなくなってしまった、ということもありえます。
株式譲渡益の特定口座源泉徴収ありの場合で、申告不要を選択していると、その譲渡益はふるさと納税の控除上限金額の計算には入りません。譲渡益を申告(住民税も同様の申告方法とする)すると、ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りますが、基礎控除の算定にもかかわってきてしまいます。
退職所得は一般的なものについては、ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りませんが、基礎控除が減る所得に達すると、税額が僅かに上がるため、ふるさと納税の控除上限金額も少しだけ上昇します。今までは「退職所得はふるさと納税には関係ない」という説明で一律済んでいたのですが、一部の方に対しては、今年からはそう言い切れなくなりました。
このように、少しでも仕組みが変わると、各制度に波及して影響が色々と出てきます。税の仕組みの難しさを垣間見る一例です。