100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.81

2022.07.22 Fri

問題社員の文書による指導

口頭の注意と文書の注意の使い分け

従業員に対し業務上の問題行動があったとき、通常最初は口頭で注意するでしょう。気が付いた時その場で口頭注意するのが一般的ですが、業務上の注意を同じ人に繰り返しする場合、前に注意をした記録もなく、口頭注意の効果がない時はその社員に文書で指導をすることになるでしょう。まったく反省してない場合、指導が理解されていない場合、反論して聞き入れない時なども文書指導になるでしょう。

文書やメール等で出す前と後に確認を

文書指導は事実関係の確認をして言い分を聞いてからにしましょう。話がこじれないように注意を払いましょう。指導書は出来事から数日以内に注意指導をする方が効果があります。

最初の段階では今までの経緯から解雇と思っていたとしてもそれが前提の文書ではなく、改善してほしいところを指導します。口頭で指導してきたこと、改善してほしいこと等の記載が必要でしょう。

社員の思っていることと会社の意図が違っているときがあります。指導内容は本人にちゃんと伝わっているのか確認が必要です。文書は口頭で言うよりその場の感情などに左右されにくいでしょう。文書指導した内容が冷静で、事実であり、業務上の指導を超えたものでなければパワハラと言われることもないでしょう。

また、会社が注意をしていることを理解してもらうには文書は「である調」にする方がよいでしょう。

文書名は何にするか

指導をする目的なら「指導書」「改善命令書」などで出しますが、柔らかく「今後の業務について」等の表題でもよいのではないでしょうか。

勤務態度を改善してもらうためのものであり、それでも改善しない時は懲戒処分、契約の終了も検討せざるをえないことを付け加えることもありえます。

「警告書」などはさらに次の段階となるでしょう。また、文書は他の人のいない部屋などで面談で渡すのが適当です。なるべく受領サイン欄はあるとよいでしょう。従業員が受け取りを拒否したときやその場で破棄したときは、内容を読み上げ指導書に顛末を記載しておくことが必要です。

 

経理実務 現金勘定

経理上「現金」勘定で処理するものは?

硬貨や紙幣といった貨幣(お金)のほかに、金融機関ですぐに換金できる通貨代用証券も含まれます。通貨代用証券とは他人振出小切手、送金小切手、郵便為替証書、配当金領収書、期限の到来した公社債利札 などです。また貨幣といっても円とは限りません。ドルや人民元等他国の通貨も「現金」勘定で処理します。

他国の通貨(外貨)の処理

外貨も経理上の表示は○○円と円表示ですが、その外貨を取得した時の円相場と決算時点での円相場が違っているときは、為替差損益で残高を修正します。例えば$1=¥120の時に$10,000取得した場合、「現金」勘定には1,200,000円と記帳されます。しかし決算時点で$1=¥130となった場合は、以下の処理をします。

(現金)100,000/(為替差益)100,000

仮想通貨はどうなるの?

仮想通貨は、通貨といっても現物がありませんので「現金」勘定ではなく、「仮想通貨」勘定等別の勘定科目を設けて処理するのが現状では妥当です。外貨同様、決算時点で相場が変わっていれば損益勘定で修正します。

現金取引は減っている

現在多くの企業では現金取引は少なく、ほとんどが銀行を通じた決済や電子決済となっておりますので「現金」勘定が登場する場面は少なくなっております。

企業が従業員の交通費や立替金を清算する場合は「小口現金」勘定を使い、「現金」勘定とは区別して管理します。

現金商売は日々の管理を

しかし小売業や飲食業などは日々の現金商いですから、現金勘定の管理は日々行う必要があります。最近では電子決済等のキャッシュレスで支払う人が多くなったので間違いは少なくなりましたが、つり銭間違い等で売上の伝票やレジ集計等と現金が合わない場合は「現金過不足」勘定で残高を合わせておく必要があります。

現金商売をしている小売店や飲食店には突然税務署の調査官が来て、レジの現金とレジ集計表との突合をしてゆくこともよくあることです。注意しましょう。

経理実務 預金勘定

預金の種類

「普通預金」「定期預金」「積立定期預金」「当座預金」がなじみの深い預金です。

勘定科目としてはそれぞれの名称で科目を設定しても良いし、まとめて「預金」勘定としても構いません。管理上は分けた方が管理しやすいため多くの企業では分けて勘定科目を設定しております。

ただ決算書などには、現金と合わせて「現預金」として一括表示するのが通例です。

預金と貯金

銀行(都市銀行・地方銀行・ネットバンク・信用金庫・信用組合)には、お金を預けて代わりに運用してもらいますので「預金」と呼んでいます。一方の郵便局・農協・漁協は、お金をためておくので、「貯金」と呼んでいます。

郵政民営化後はゆうちょ銀行となりましたが「貯金」という名称はそのまま使用されています。取り扱いは同じです。

外貨預金

外貨預金は預金通帳や取引明細書の記載は全て外貨ですが、記帳は日本円で行います。面倒なのは相場が日々変わることです。

例えば1ドル=120円の時に100ドルの売上があり、入金時の相場が1ドル=130円だった場合、更に決算時の相場が1ドル=125円となった場合を想定すると以下の処理となります。

売上時

(売掛金) 12,000 (売上)12,000

入金時

(外貨預金)13,000(売掛金)12,000

(為替差益) 1,000

決算時

(為替差損)500  (外貨預金)500

外貨取引が滅多にない会社でしたら上記の処理でも構いませんが、外貨取引が多い会社は毎日変わる為替レートで処理していると極めて煩雑になりますので、期の初めに年間の為替レートをあらかじめ決め、期中は全てそのレートで処理します。決算期末に期末のレートで換算し為替損益を認識します。しかし現在のように期の途中に大きく為替レートが動き、期の初めに設定した為替レートと大きく異なった場合は、期の途中で変更することもあります。今期は多くの企業で期中の変更が行われそうです。

経理実務 売掛金と売掛台帳

売掛金と売掛台帳とは

机上では売掛金は営業債権すなわち本業での債権で、それ以外の債権は未収金として区分することとなっております。

よって売掛金は企業の根幹をなす債権です。そこで売掛金の管理は現在の複式簿記が導入される前から「大福帳」として管理されてきました。売掛台帳とはその「大福帳」のことです。

経理処理は収益勘定と

経理処理は以下となります。

①営業債権発生時 (売掛金)/(売上)

②営業債権回収時 (現預金)/(売掛金)

営業債権発生時の処理の相手勘定科目は原則収益科目(売上)です。そうでない場合は特殊な取引ですので、取引の内容を確認するようにしましょう。債権回収時の相手勘定は(現預金)だけでない場合が通常です。手形や電子債権であったり、振込手数料が引かれたり、回収時に値引きがあったりしますので留意しましょう。

売掛台帳との整合性

売掛金は企業の売上の未回収分ですから、通常得意先ごとに管理しています。それを売掛台帳と言います。昨今は販売管理ソフトと連動して一括して管理しているのであまり問題ありませんが、別々に管理している場合は、往々にして経理の売掛金の残高と売掛台帳の残高が合わないことがあります。どうしても合わない場合は、売掛台帳が優先されます。なぜなら売掛台帳は得意先との牽制があるからです。得意先が多く毎月売掛金の残高と売掛台帳の残高が合わないで四苦八苦する企業様は以下の経理処理をお勧めします。

①営業債権発生時 経理処理なし

②営業債権回収時(現預金)/(売掛金)

③月末に経理の売掛残と売掛台帳の売掛残の差額を売上に計上し売掛残を合わせます。(売掛金)/(売上)

ただ②の処理は(現預金)だけとは限りませんからご留意ください。