100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.89

2022.09.22 Thu

運送事業者の働きやすい職場認証に 「二つ星」制度を導入

自動車運送業者の人手不足の現状

トラック運送業の有効求人倍率(令和3年5月)は1.88で全職業計0.94の2倍と慢性的に人手不足が深刻となっています。

バスやタクシー運転手の人手不足も深刻で、運転手が確保できないという理由でバス路線が廃止される事例も出ています。

自動車運転業務の現状は、全職業平均に比べ、労働時間は1~2割長く、所定外労働時間は2~3倍長く、賃金は1~3割安く、平均年齢は3~17歳高いとされています。

国土交通省は2020年8月に、トラック・バス・タクシー業の運転手不足の改善を目的として、「働きやすい職場認証制度」を創設しました。

 

「働きやすい職場認証制度」とは?

働きやすい職場認証制度で「一つ星」認証を受ける審査項目は、以下の5点です。

①  法令順守等

②  労働時間・休日

③  心身の健康

④  安心・安定

⑤  多様な人材の確保・育成

「二つ星」認証を受けるには、これらに加え、自主的・先進的な取り組みについても評価対象となります。具体的には、腰痛・転倒災害防止への投資や社員表彰制度の導入といった労働環境向上への自主的な取り組みが追加されるようです。

「二つ星」認証については、2022年9月までに審査項目の詳細が決定され、12月から申請受付が開始される予定です。

 

「働きやすい職場認証」のメリット

「働きやすい職場認証制度」は、一般社団法人日本海事協会が国土交通省指定の認証実施機関として、受付・審査・認証を行っています。審査料は税別5万円(電子申請の場合、同3万円)、登録料は同6万円です。

認証を受けると、ハローワークの求人票への認証マーク表示、求職者とのマッチング支援、求人サイト事業者の認証事業者特集ページへの掲載等のメリットがあります。

求人にお悩みの自動車運送業の方は、試してみる価値があるかもしれません。

国民健康保険の「傷病手当金」 ~新型コロナ特例~

新型コロナに感染した場合の保険給付

新型コロナウィルス感染症に感染した場合、医療や介護の現場など業務上の理由による場合は、労災保険から療養や休業等の給付を受けることになりますが、業務外の感染、いわゆる私傷病の扱いとなる場合は健康保険から給付を受けることになります。

 

健康保険の「傷病手当金」

健康保険による休業給付、つまり「傷病手当金」は、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日(4日目)から労務に服することが出来ない期間、最長1年6か月間支給されます。任意継続被保険者には適用されません。

傷病手当金が支給される要件は、以下の通りです。

①  業務外に起因すること

②  病気やケガによる休業であること

③  労務不能であること

④  給与が支給されていないこと

⑤  連続して3日休業したこと

例えば、有給休暇を使って休業した期間は、給与が支給されているため、傷病手当金は支給されません。

支給額は、標準報酬月額を30で割った金額に3分の2を乗じた金額が一日あたりの支給額となります。

 

国民健康保険の「傷病手当金」(特例)

本来、傷病手当金は健康保険独自の給付で、国民健康保険には設定されていません。

しかし、新型コロナ特例として、国民健康保険にも傷病手当金が設けられているのをご存じでしょうか。

支給要件は、①国民健康保険の加入者、②勤務先から給与の支給を受けているが不支給または減額されている、③新型コロナに感染、または感染が疑われ連続3日以上労務に服することが出来ない等です。

短時間労働者で健康保険の被保険者でない場合、国民健康保険の傷病手当金を受給できる可能性がありますので、パート社員がコロナに感染された場合、各市区町村に問い合わせを勧めてはいかがでしょうか?

社会保険の「二以上勤務届」と給与計算

二以上勤務は各社で社保加入の可能性有

複数の会社で勤務する方は、社会保険の「二以上勤務届」を提出しなければなりません。従来は2つ以上の会社で役員をしている方が該当する稀なケースでしたが、副業をする人が増えたことや、従業員500人(令和4年10月からは100人)超の会社で週20時間以上働く人が対象となるなど加入対象が広がったことで、該当する方が増えてきています。副業で従業員数が多い会社でパートやアルバイト勤務をすると該当することになります。

二以上勤務届の内容と社会保険料

この届出書の正式名称は「健康保険厚生年金保険被保険者所属選択二以上事業所勤務届」といいます。

どの会社に所属するのか(選択事業所と非選択事業所)を選択します。この選択は新たな保険証の発行のためであり、新番号で保険証が発行され、旧来の保険証は使えなくなります。

社会保険料の計算は、全事業所で支払われた給与額すべてを合算し、選択事業所の保険料額表(各県で違う)に当てはめて保険料が決定されます。そして、各事業所の合計給与額と各事業所の給与額の割合で按分し、事業所ごとの保険料を決定します。各事業者へは、年金事務所から、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認、二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書」が通知され、自社で給与から控除すべき金額と会社負担額がわかることとなります。

各社における給与計算

各社での給与計算は、上記の二以上事業所勤務者標準報酬決定通知書を基に社会保険料の控除を行います。給与計算ソフトを使っている場合には給与計算時に調整が必要となります(給与計算ソフトにより調整方法は変わってきます)。

社会保険料は、毎年届出を行う「被保険者報酬月額算定基礎届」により、9月から翌年の8月まではこの標準報酬月額に基づいて、保険料が適用されます。また、年の途中で大幅な変動があった場合には、算定基礎届の提出時期を待たずして、臨時に改定(月額変更届)が行われます。自社の給与が変わらなくとも他社での給与の増減で控除すべき金額が変わってくることもありますので、年金事務所からの通知書は適時もれなく適用されるよう留意が必要です。