明るく楽しく元気前向き情熱ありがとう通信
2022.09.20 Tue
世間というのは、厳しくもあるし、また暖かくもある。
そのことを、昔の人は「目明き千人めくら千人」という言葉であらわした。
いい得て妙である。
世間にはめくらの面もたくさんある。
だから、いいかげんな仕事をやっていいかげんにすごすことも、時には見逃されて過ぎ去ってしまうこともある。
つまりひろい世間には、それだけの包容力があるというわけだが、しかしこれになれて世間をあまく見、馬鹿にしたならば、やがては目明きの面にゆき当たって、身のしまるような厳しい思いをしなければならなくなる。
また、いい考えを持ち、真剣な努力を重ねても、なかなかにこれが世間に認められないときがある。
そんなときには、ともすると世間が冷たく感じられ、自分は孤独だと考え、希望を失いがちとなる。
だから悲観することはない。
めくらが千人いれば、目明きもまた千人いるのである。
そこに、世間の思わぬ暖かさが潜んでいる。
いずれにしても、世間は厳しくもあり、暖かくもある。
だから、世間に対しては、いつも謙虚さを忘れず、また希望を失わず、着実に力強く自分の道を歩むように心がけたいものである。
(松下幸之助 著『道をひらく』より)