100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.83

2022.08.05 Fri

リモート採面7割が導入 面接官の心得

企業の人事担当者を対象とした「リモート採用の導入・実施状況」調査(2022年1月実施)の結果によると、リモート採用を行っている企業は約7割となっています(マンパワー調べ)。リモート採用では、企業説明会、採用面接、内定者フォロー、適性検査等が行われています。

この調査では企業規模別の結果は出ていませんが、会社説明会のような大規模でなくとも最終面接以外はリモートを活用しているという企業は多いようです。遠方からの応募も増える効果があるので中小企業でも導入は増えています。

最終面接は直接、対面で行う

コロナ禍で以前は最終面接までリモートというケースも多かったようですが、最近はコロナ禍の様子も変化してきているので今後は対面の面接も復活して増えるものと思われます。

この調査では「最終面接以外の面接」はリモートで行っているという企業が84.3%ありました。やはりリモートだけでは応募者の実際の人柄はつかみにくいようです。

面接側として配慮すべきこと

実際のWeb面接の際に心得ておくべきポイントは何でしょうか。

まずWeb面接/対面にかかわらず、面接は企業が応募者を知るだけでなく、応募者に企業を知ってもらうための相互理解の場ということです。そのためにも周囲に人がいない場所・通信環境が良い場所でWeb面接を行いましょう。使用する機器や回線速度のせいで接続が不安定にならないよう事前準備をしましょう。バーチャル背景は会社のエントランスや社員集合写真など会社の雰囲気がわかるのがいいですね。

面接時に気をつけたいこと

最初に面接官の自己紹介を行います。面接官が自己開示をすることで相手も心理的に落ち着くでしょう。オンラインでは相手の本音を引き出しにくいため、冒頭に雑談をするなど少し打ち解けてから開始するのがいいでしょう。面接ではこちらがパソコン操作に集中していたり、質問をするだけの一方的なコミュニケーションにならないようにしましょう。聞き取りやすく話し、自社や自分のことも話すことで相互理解が深まるでしょう。

株式の譲渡所得の計上日

事業承継に伴い、個人が中小企業の非上場株式を相対で譲渡する契約を締結し、翌年に引渡しとなる場合、譲渡所得の計上は、原則、翌年になりますが、選択により、契約した年の譲渡所得とすることもできます。

個人が上場株式を譲渡する場合や、法人が譲渡する場合の取扱いも含め、株式譲渡所得の計上時期をみてみましょう。

約定日と受渡日

証券会社で株式を売却すると、取引報告書に、約定日と受渡日の記載があります。約定日とは、売却注文を行った日。受渡日とは、株式を相手に引渡し、売却代金を入金した日です。売却代金と株式の受渡しは、売買が成立(約定)してから、その日を含め、3営業日目に行われます。例えば月曜日の売り注文は、水曜日の受渡しとなります。

個人が株式を譲渡した場合

個人が証券会社に委託して株式を売却した場合、譲渡所得は原則として受渡日に計算します。特定口座で売却する場合は、その年の1月1日から12月31日までの間に受渡日が含まれる譲渡損益で計上します。

上場株式を一般口座で売却する場合、相対で非上場株式など一般株式の譲渡の場合は、原則、受渡日で譲渡所得を計算しますが、納税者の選択により、約定日で譲渡所得を計算することもできます。

法人が株式を譲渡した場合

法人が株式を売却した場合の譲渡損益の計上時期は、平成12年改正前まで引渡日基準でした。しかし、企業会計に金融商品会計基準が公表され、有価証券の譲渡損益は約定日基準で計上することとされたことを踏まえ、税法も平成12年改正で約定日基準となりました。これは有価証券の受渡しが不履行となるリスクが極めて低いこと、約定日からの時価の変動リスクは買手側に生じることによるとされています。

また、簡便法として、年中は引渡日基準で譲渡損益を計上し、事業年度末に未引渡し分の譲渡損益を併せて計上する修正受渡日基準も継続適用を条件に認められました。

非上場株式の譲渡で注意すること

非上場株式を譲渡する場合、譲渡制限のある株式の譲渡は、取締役会または株主総会の譲渡承認が必要です。株式の譲渡者が株主名簿に記載されていること、譲渡後、取得者に名義書換が行われることを確認すること。株式譲渡は、消費税は非課税、領収書の交付も忘れないようにしましょう。

BCP(事業継続計画)とは?

企業の緊急事態時に損害を最小限に

BCP(Business Continuity Plan)は、日本語で「事業継続計画」と呼ばれます。

企業が緊急事態に直面した時、被害を最小限に食い止めつつ、事業継続や早期の復旧を図るための方法を取り決めておく計画のことです。最近は新型コロナウイルス感染症に鑑みて、国民生活や国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者については、BCPの点検を行った上で、欠勤者が多く出た場合でも業務を継続するように国が要請を出しています。

なお、BCPは新型コロナウイルス感染症だけでなく、テロや災害、システム障害等の危機的状況下でも重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための計画でもあります。

 

BCPと企業防災の違い

BCPは非常事態への対応なので、企業防災と同意義と取られられることもありますが、内容は異なるものです。

BCPは非常事態後に事業を継続させるのが目的であり、防災は人命や財産を守ることが目的です。また、計画策定の効果もBCPについては「非常事態が起きた後」であることが多く、「非常事態に備える」のが主眼の防災とは異なります。

例えば地震が起きて製造機械が破損、という状況の場合、防災は「破損が起きないようにする、破損による怪我等を防ぐ」対策であり、BCPは「破損した場合の取引先への対応取り決めや他工場への生産振り替え」という対策です。

 

中小企業のBCP

BCPについては、策定に際してコストや手間がかかることもあり、中小企業に根付いていないのが現状です。ただ、現在も新型コロナウイルス感染症の脅威が続く中で、いざ出勤できる社員が減った場合の対応策を考えるのは、それほど現実離れしたシミュレーションではないと思います。

中小企業庁は「中小企業BCP策定運用指針」というページを設けており、BCPの策定や運用について、わかりやすく説明していたり、BCP策定に役立つテンプレート等を配布したりしています。

https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

経理実務 電債・受取手形勘定

受取手形を取得した時に使う勘定です

受取手形には「約束手形」と「為替手形」があります。約束手形とは振出人が手形の期日に記載された金額を支払うことを約束した手形です。

それに対して為替手形は、振出人とは別の第三者が手形の期日に記載された金額を支払うことを約束した手形です。為替手形は金融取引に絡むものがほとんどで、企業の通常の取引ではまず見ることはありません。

割引手形と裏書手形

取得した受取手形は直ぐに銀行に取立てに出し、期日になると銀行は手形を振り出した企業から記載された金額を引き落とし、手形を受け取った企業の口座に振り込みます。期日までが長いと手形を取得しても資金として使えないため、銀行で立て替えてもらうことができます。これを「割引手形」と言います。若干の手数料と期日までの期間の利息を引かれます。それが昔は「割引料」でしたが、今は「手形売却損」です。また、受取手形の裏に自社の名前を書き代表印を押して、自社の支払いに充てることもあります。これが「裏書手形」です。

 

経理処理

①  手形を受け取った時

(受取手形)1,000(売掛金)1,000

②  割り引いたとき

(現預金)900(割引手形)1,000

(手形売却損)100

③  手形を裏書した時

(買掛金)1,000(裏書手形)1,000

それぞれ期日が来たら以下の処理をします。

①  そのまま持っていた場合

(現預金)1,000(受取手形)1,000

②  (割引手形)1,000(受取手形)1,000

③  (裏書手形)1,000(受取手形)1,000

電子記録債権

最近は手形より「電子記録債権」が主流です。「電子債権ネットワーク」略して「でんさいネット」で管理されており、手形より信用度は高いとされております。基本は手形と同じですが、受取手形とは区別して「電子債権」勘定で管理します。電子債権の割引・裏書・決済についても受取手形と同じ経理処理となります。

経理実務 棚卸資産勘定

棚卸資産とは

販売を目的として購入した資産で決算日や月末に売れ残った資産です。業種業態で勘定科目は様々ですが、販売業では「商品」が一般的です。製造業では「原材料」「仕掛品」「製品」と3つあります。建築業では「仕掛工事(原価)」、不動産業では「棚卸不動産」などがあります。以上は貸借対照表の勘定科目です。

損益科目もあります

損益計算書にも棚卸資産は登場します。販売業の例でいうと「期首商品棚卸」と「期末商品棚卸」です。

期首商品棚卸+商品仕入-期末商品棚卸=売上原価となります。

製造業・不動産業も基本的には同じ考えですが、建築業は違います。そもそも建築業は売上の計上の仕方で損益の計算の仕方が工事進行基準と工事完成基準の2つあります。工事進行基準では工事の進捗に合わせて売上を計上しますから「仕掛工事」自体がありません。工事完成基準では工事が完成するまでは掛かった費用は全て「仕掛工事」として処理され、完成した工事分だけが「完成工事原価」という損益科目に振り替えられます。

在庫処分の正しい処理

経理業務の本来の目的は現場にいない人に現場の取引を正しく報告することです。現場で在庫処分があったことを正しく伝えるためには、以下の処理が必要です。

決算時に在庫を棚卸します。1,000の金額の棚卸があったとします。そのうち200がもう売れそうもないので廃棄処分した場合の処理は以下となります。

(期首商品棚卸)/(商品)

この金額はB/Sの商品の金額です。

(商品)1,000/(期末商品棚卸)1,000

(棚卸廃棄損)200/(商品)200

廃棄処分した200は無いのだから在庫は800でよいと思いがちですが、以下の処理だと在庫処分したかどうかがわかりません。

(商品)800/(期末商品棚卸)800

これでも利益の結果は同じになります。