100年企業創りレポート

藤間秋男の100年企業創りレポート
vol.291 2022.8月号

2022.07.26 Tue

赤文字:藤間のコメント

黒太文字:引用

1. 経営理念の希薄化が会社をダメにしていく

 テレワーク、朝礼のZOOM化などで、経営理念が希薄化していませんか。

 TOMAグループは松下幸之助の「経営理念の確立と浸透で50%は成功する」という言葉を信じて、20年前に経営理念を見直し、確立と浸透をして、50名だったグループを200名のチームにしてきました。

 社長(当時=私・藤間)の器では50名でした。経営理念の確立と浸透をして社員を信じて任せ、社員が社長の肩の上に乗っかってきて、200名の器になりました。

 TOMAの理念に込められた考え方は「社員・家族・お客様・地域・地球を明るく楽しく元気に前向きになってもらい、共に成長発展し、共に幸せになり、共に地球に貢献したい」です。

 この共通の理念を朝礼で唱和したり、色々な機会を通じて発信し続けてまいりました。ところがテレワークになり、朝礼や役員会もZOOMになり、唱和も迫力がないですね。

 経営理念を唱和することによって、目で見て・声に出して・耳に入れて・潜在意識に落とし込むことによって、浸透するのです。「アファーメーション」と言います。

 市原社長も、新入社員が入社する際に経営理念の話を何回もしています。また、TOMAの会報誌「TOMAnews」にも経営理念の話を書いています。

 TOMAで経営理念の希薄化が起こっては大変。これまで以上に経営理念について発信し続けていきます。

 皆様の会社はいかがでしょうか。「経営理念の確立と浸透で50%成功する」がなくて、成長出来ますか。今こそ、経営理念の見直しや「パーパス(経営の目的)」を取り入れるチャンスです。TOMAがお手伝いさせていただきます。

2. 社員稼業(松下幸之助)

『社員稼業』松下幸之助(PHP研究所)

① 社員稼業の店主、主人公であるとなれば、みなさんの身近な人はみな、みなさんのお得意であり、お客さんということになります。上役もお得意、同僚も後輩もみなお得意です。

② 単に月給をもらって働くサラリーマンというのではなくして、それを自分が事業としてやっている、その事業によって報酬を得ているのだ、こう解釈すれば自分というものが浮かび上がってくると思います。

 松下幸之助は “社員のみなさん一人ひとりが自分は社員稼業の主人公” という心構えなら、非常に愉快なことだと言っています。

 倫理法人会の一文にも、「人生は神の演劇、その主役は己自身である。」という言葉があります。“とにかく自分は人生の主役だよ”という事を言っています。

 皆さんもサラリーマンの方でも同じように思ったら、仕事が楽しくなるし、出世もするし、もしかしたら会社の中で役員になって、社長になることもあるかもしれません。TOMAでは、一般入社の社員が社長になっています。

3. こうすれば経営に失敗する12の原則

「こうすれば経営に失敗する12の原則」竹田陽一(ランチェスター経営の教材より、一部抜粋)

① できない理由をいくつも考えるなど、消極的に考えることが多い

② 改善の余地はないと強く思い込んでいる

③ 従業員が間違った仕事をするとひどく文句を言う

④ 簿記や会計を知らない

⑤ 業績の96%以上が社長1人の経営実力で決まるのに、業績は従業員の働き振りで決まると、強く思い込んでいる

⑥ 勉強嫌いのため、経営に必要な教材を買って経営の研究を全くしていない

⑦ 朝の出社時間が、同業社長の平均より1時間半以上遅くなっている

⑧ 1年の仕事時間が、仕事熱心な社長より1000時間も少ないのに、自分は努力していると思い込んでいる

⑨ 公職や名誉職、それに趣味のために、仕事時間を使うことが多くなっている

⑩ 経営規模の大中小で変わる社長の役目が解らず、規模は小さいのに、大会社の社長の役目が正しいと思い込んでいる

⑪ 戦略と戦術の区別がつかず、従業員の仕事術になる戦術だけが、経営の大事な仕事と強く思い込んでいる

⑫ カッコが良い強者の戦略が、正しい経営のやり方であると強く思い込んでいる

 良い会社と悪い会社はありません。良い社長と悪い社長があるだけです。これは社長がどう行動したら失敗するかが書かれています。

 間違った経営で失敗しないために、当てはまる点がないかチェックしてみませんか。

4. 幸福学

「TOPPOINT」2019年1月号より抜粋(新刊ビジネス書を要約して紹介する月刊誌)

『幸福学』ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編(ダイヤモンド社)

(1)『職場での幸福は重要である』アニー・マッキー

・職場で成功する上で、幸福感が重要である。仕事と同僚に対して「エンゲージメント」(意欲や愛着、一体感など)を持ち、幸福感を抱いている人ほど、有能な働き手となる。

・エンゲージメントを高める上で必要なのは、次の3つだ。

① 個人と組織の「将来に向けた有意義な展望」

② 自分の仕事が重要だと感じられる「意義のある目的」

③ 信頼と支え合いに基づく「素晴らしい人間関係」

(2)『「否定的な感情がない」ことが「幸福」ではない』ジェニファー・モス

・いつも陽気で、喜び、満足しているのが幸福な人だという考えは誤解である。悪い事態の中に良いことを見いだし、別の見方で見ることで、幸せで豊かな人生が実現する。

・幸福を追求しても、幸せにはなれない。幸せになれるのは、仕事に没頭している時や高い目標を目指して努力している時など、幸せになりたいという思いを忘れている時だ。

(3)『幸福追求のパラドックス』アリソン・ビアード

・幸せになるためのアドバイスの多くは、ネガティブではなくポジティブに考えねばならない、と説く。日々の暮らしで幸福を感じていれば良いという。

・しかし、本当に目指すべきは、たくさんの喜びを見いだすことではなく、「長期的な達成」である。ポジティブな感情(幸福感)とともに、つながりや生きる意味などを含む「フラーリッシュ」(持続的幸福)を目指すべきである。長い目で見れば、それで幸せになれる。

 TOMAの経営理念は「明るく・楽しく・元気に・前向き」です。これからもこの実践が自分の周り、家族・社員・同僚・お客様・地域社会・日本・地球を幸せにするものだと思います。倫理法人会でも幸せの法則は、「明朗・愛和・喜働」となっています。皆さんも実践してみませんか。

5. すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟

「TOPPOINT」2022年4月号より抜粋

『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟』田坂広志(PHP研究所) 

失敗や挫折、病気・・・。様々な逆境を乗り越え、自分の可能性を花開かせるには? 人生を拓く上で欠かせない、「覚悟」を定めるための方法を紹介する。

  • 逆境を乗り越える力は、次の「5つの覚悟」を心に思い定め、深く信じることで身につけることができる。

① 自分の人生は、大いなる何かに導かれている

・人生で起こる出会いや出来事を、何かの導きと捉える。

・幸運に思える出来事だけでなく、不運に思える出来事も含め、すべて「導かれた出来事」と受け止める。

② 人生で起こること、すべて、深い意味がある

・どんな出来事に対しても、「この出来事には、大切な意味がある。それは、どのような意味か」と肯定的に受け止める。

・「小さなエゴ」に左右されない心を持ち、苦労や失敗などの逆境の意味を考える「解釈力」を、正しく発揮する。

③ 人生における問題、すべて、自分に原因がある

・自分に直接の責任が無いことでも、すべてを自分自身の責任として引き受ける、「引き受け」の姿勢を身につける。

・引き受けの姿勢を大切にすることで、感情に流されずに、目の前の課題に正対できる「静かな強さ」が身につく。

④ 大いなる何かが、自分を育てようとしている

・逆境を、素晴らしい成長の機会として受け止める。

・そのように捉えると、「この逆境は、必ず乗り越えられる」という楽観的想念が育まれ、力と叡智が湧き上がってくる。

⑤ 逆境を越える叡智は、すべて、与えられる

・この覚悟を定めると、逆境を越えるために必要な叡智が、想像を超えた形で与えられる。

・例えば「直感」が閃いたり、「シンクロニシティ」(不思議な偶然の一致)が起こり、「運気」を引き寄せたりする。

 倫理法人会の「万人幸福の栞」第2章に「苦難福門」という項目があります。ほとんどの成功者は苦難を乗り越えた結果、今があると必ず言っています。

 TOMAグループでも、銀行の貸し剥がし、幹部の大量退職などの苦難を乗り越え、学び始めて、松下幸之助の1番弟子と出会い、その教えで今があります。

 やはり、苦難を乗り越えるその中に色々な良いアイデアが出てくるのかなと思います。