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『仕事に向き不向き』(柳井正)第4016号

2022.04.20 Wed

さて、11年間、宇部でさまざまなことを考えながら売り場に立ち、人を採用し、広告宣伝も自分で立案し、
すべてを経験したことが1984年のユニクロ第一号店に結びついた。

その間、成長したのは私だけではない。

従業員もさまざまな仕事をこなしたから、幅が広がって大きく成長した。

そうした従業員の成長を見ていると、つくづく仕事に向き不向きはないと思う。

仕事について若い人はよく「向いている」「向いていない」という。

けれど、たいていの場合、それは錯覚だ。

十分な経験もせずに「この仕事には向くけれど、あれはダメ」と思い込むことがおかしい。

私だって、商売を始めた頃は性格は内向的だし友達も少ないから、商売には向いていないと思ったこともあった。

でも、やってみれば意外にできた。

半年や1年やっていれば、展望は開けてくる。

まして10年やれば必ずものになる。

「得意な仕事じゃないから」と尻込みやえり好みするのも感心しない。

なぜなら、優秀な人は次から次へと新しい仕事を任されるのだから、どの仕事も乗り越えていかなくては将来は開けてこない。

当社で、ただ一人、私より入社が古い浦利治(ユニクロ監査役)は中学を卒業して営業一筋で来たが、
ある時期、管理本部長をやってもらった。

すると、すぐに立派な業績をあげた。

経理、財務、人事といったマネジメントの知識がなくても、なんとかなるものだ。

たった一人で全部の仕事をするわけじゃない。

何に気をつけ、誰を使い、どうすればよいかわかっていれば問題ない。

(柳井 正 著『柳井正の希望を持とう』より)