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『すぐれた企業は、必ずすぐれたビジョンを持っている』(一倉定)第3921号

2021.11.25 Thu

会社は絶対につぶしてはならない。

いつ、いかなる場合にも利益をあげて存続させなければならない。

これが経営者の最低限の社会的責任である。

次に、社会に貢献するという責任をもっている。

そのためには、会社自体が繁栄しなければならないのだ。

繁栄は、社会がその会社を必要としているなによりの証拠である。

経営者は、まず以上のような社会的責任を自覚してもらいたいのである。

さらに、従業員に対する人間的な責任がある。

「とにかく食っていければいい」

「もうこれいじょう大きくしない。こぢんまりやるのが私の主義だ」というような社長に、よくお目にかかる。

こういう生き方は、個人としてなら結構である。

はたから、とやかくいうことはない。

しかし、経営者は従業員をかかえているのだ。

社長がこのうような気持ちでいたら、社員は浮かばれない。

人間はみな生活の向上を願い、自己の才能を発揮したいという欲求をもっている。

一個の人間としての「自己拡大」の本能である。

会社を発展させなければ、従業員の自己拡大の欲求は満たされない。

人間としての欲求を無視することになるのだ。

いったん、経営者を頼って入社してきた人間の欲求を満たしてやろうとしないのは、人間性無視もはなはだしいといえよう。

経営者は、以上のような社会的責任と。従業員に対する人間的な責任の両方を背負っているのだ。

そのためには、どうしても長期的な繁栄を実現させなければならないのである。

この自覚が経営者の使命感である。

この使命感のない経営者は経営者の資格がないのだ。

この使命感の土台の上に、経営者のもつ人生観宗教観などの哲学を積み重ねて「我社の未来像」を心にえがく必要がある。

(一倉定)