100年企業創りレポート

藤間秋男の100年企業創りレポート
vol.282 2021.11月号

2021.10.29 Fri

1.女性活躍会社は社員成長度の高い会社

「女性活躍会社は社員成長度の高い会社」㈱船 井総合研究所 三浦康志氏のメルマガ「ほぼ日刊ライスレポート」2021.9.17号

① 日経xwomanの記事「女性活躍が進む企業ほど、業績や株価が上がる事実」は、とても示唆に富む記事です。女性の管理職の割合について、2016年3月末時点の女性管理職比率で上位の企業群と、下位の企業群の業績を比較すると、5年後の21年3月末までの純利益の増益率にはっきりと差がついたのです。女性管理職の多い企業は増益率が高く、女性管理職が特に少ない企業は平均して減益だったのです。

②「女性活躍の場が増えるということは、企業内に埋もれていた人材を発掘することに繋がる」という記事中の分析がとても秀逸です。女性は企業内に埋もれていた人材の象徴だと捉えているのです。女性が活躍する会社は、埋もれがちな男性や様々なカテゴリーの人材をも活性化できる会社なのです。だから、そのような会社は業績が良いのです。社員成長度の高い会社ともいえます。

③ 入社時には、会社の歯車の一つでいいと思っていた人が、会社をけん引するような役割を演じるように導き、動機付けし、支援するのが社員成長度の高い会社です。

④ 社員を成長させ、成功させることが、上司のそして会社の役割だと認識する会社が、女性活躍が進む会社なのだと思います。

女性取締役の比率向上を目指す「30%クラブジャパン」(資生堂 魚谷社長が初代会長)は、東証一部上位100社について取締役会に占める女性の割合を2018年の7.6%から20年に10%、30年に30%に引き上げる目標を掲げています。アメリカの調査でも、女性役員のいる会社の業績が良いということを聞きました。TOMAでは2021年10月から、女性取締役は取締役12人中2人、女性部長は11人中3名、女性副部長、マネージャーは10人中4名と なります。もっともっと女性リーダーをつくりたいです。

私見ですが、女性は決まったことをきちんと守って行動することや、気配りがたくさんの人にできることが長所と考えます。皆様の会社には、何人の女性リーダーがいますか。東京都倫理法人会でも、3人の副会長がすべて女性です。今回の自民党総裁選でも、   女性2人男性2人が候補で、実現はなりませんでしたが女性総理の可能性がありました。

2.経営理念の重要性とその実践方法

「経営理念の重要性とその実践方法 -正しく、強い企業経営、ビジネスはどのように実践していくのか?-」

安部哲也 EQパートナーズ株式会社 代表取締役社長 (「経営センサー 2018.6月号」株式会社東レ経営研究所)

(1)経営理念とは何か

① 「経営理念とは企業経営における目的・価値観であり、指針・指導原理である」ということである。より具体的には、「会社や組織が何のために存在しているのか、どういう目的で事業を行っているのか、どのような考え方で行動するのかを明文化したもの」といえる。

② 「経営理念」は、「ミッション・フィロソフィー」「ビジョン」「バリュー」「ウェイ」「クレド」などさまざまに表現されている。

(2)経営理念と組織文化(浸透と実践)

組織文化には、次の3つのレベルがある。

① 明文化された経営理念が存在している。〈経営理念がある〉

例えば、トヨタでは、事業のグローバル化を加速する中で(略)トヨタウェイ2001を設定した。

② (社員が)価値観を共有していること。すなわち、経営幹部、管理職、社員全員が経営理念を理解していることである。〈経理理念の理解共有〉

トヨタでは採用活動、OJT、OFF-JTなどを通じて、トヨタウェイを全世界、全階層に浸透していった。

③ 基本的仮説となっており、経営判断や日常業務で疑わずに実践されているという状態である。〈経営理念の日々実践〉

(トヨタウェイにより)常に「改善」活動に取り組み、また「人間尊重」の精神で社内外の人たちに接するようにしている。

(3)経営理念をどのように実践するのか?実践方法。

① 経営者として

イ)経営理念を率先して実践することが不可欠である。その上で、経営者はその伝道師として、社員が経営理念に基づいて業務に携わるように、経営理念の理解と実践を促していくことが求められる。

ロ)経営者が思うほどには経営理念が管理者層、社員層に理解されず、浸透していないケースも多い。

ハ)たゆまず発信し、双方向の対話を通じて理解させていくことが求められる。

② 管理者として

イ)経営理念をそのままの表現で伝えるのではなく、自部門の状況に合わせて、より具体化し、分かりやすく部下である社員に示していくべきである。

ロ)経営理念を理解した上でかみ砕き、自分の言葉で自分事として語り、自ら実践して、社員と共有していく必要がある。

ハ)管理者層は抽象度の高い全社の経営理念を自分の部門に合わせた具体論として、自分自身の言葉で共有していくことが重要である。

③ 社員として

イ)社員としては、経営理念は行動指針であり、また自分自身を守るためのものでもある。

ロ)富士通がFUJITSU Wayを作成した当時、同社の山本社長は、「FUJITSU Wayを守って仕事をした社員は守られる」逆に「FUJITSU Wayを守らない社員は、(結果を出していたとしても)守られない」と述べていた。

ハ)経営理念を知る、理解するだけではなく、日々の考え方、実践に落とし込んでいくことが重要である。

(4)正しい考え方(あり方)がまずある

① 正しい考え方〈経営理念〉がまずあり、その後にそれを実現する経営手法が論じられている。「そろばんと論語」「アメーバ経営とフィロソフィー」ではなく、あくまで「論語とそろばん」「フィロソフィーとアメーバ経営」である。

この先行き不透明な中で、信じられるものを持っている会社は強いと思います。『経営理念の確立と浸透をしたら50%成功』という松下幸之助の言葉を信じて、TOMAは社員50名で退職の多かった会社から経営理念の確立と浸透を続け、社員200名、顧問先1,000社に成長しました。経営理念の確立と浸透をしたら、社員がそのように考え行動する。そうしたら社員を信じて任せようと考えました。そうすると「社長の器以上の会社にはならない」と言われていたのが、社員が私の肩の上に乗ってきて、社員の器も加わることでTOMAは成長したのです。今、企業規模が止まっている会社は、社長の器でそこまでしかいかないのです。

3.部下が求める上司の仕事の進め方

「働きやすい環境を整える 部下が求める上司の仕事の進め方」(「Management Flash」2021.8.30号 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 MMOne運営事務局)

部下のパフォーマンスが上がる仕事の進め方のポイント 部分は藤間秋男追記の所見

① ビジョンを示す希望は心の太陽

上司自身がワクワクするような3年後の職場の姿を思い描き、そのビジョンを部下に語ろう。部下が(略)目を輝かせていたら、夢のある職場になる一歩目を踏み出せたということである。ビジョンを共有すれば、その実現の証としての数値目標の達成にも力が入るであろう。

② 早く決断する今は無二の好機

早く判断するためには、「重要なものから着手する」ことと、「判断の精度を考える前に、判断すべきタイミングを考える」ことが必要である。(略)重要な案件の中には、材料がそろっていようがいまいが、タイミング優先で判断しなくてはならないものもあるからである。また、自分の判断の基準を持てば、素早くブレずに判断できる。そして、上司の判断基準を部下が理解すれば、部下がそれを活用することによって、チーム全体の仕事がスピーディーに回ることにつながるのである。

③ 具体的に指示する具体性のない指示では部下は動けない

部下に指示を出すときのポイントは3つある。

a)「いつまでに、どのレベルのことを」という目標(納期と要求品質)を明確に示す。

b)部下の習熟度に応じて「やり方」を指定する。ベテランの部下に対しては(略)自由度を広げる。

c)指示を「肯定的に表現」する。例えば、マニュアル作成の指示では、「文字ばかりにならないように」ではなく、「写真や図解を多く用いるように」と伝える。このように指示を出せば、部下もスムーズに実行できるのである。

④ 情報開示に努める情報開示により部下はついてくる

管理職会議で知ったことも、発言者に部下に伝えてよいかどうか確認して、許可を得れば話すことができる。話してはいけないと決めつけず、確認を通じて伝えられることを増やしていけば、部下の願いに少しは応えることができよう。

⑤ 「報連相」を促す報連相のメリットを感じたら、自主的にしてくれます

「報告」「連絡」を受けたら、そのこと自体をプラス評価するコメントをしよう。「早く言ってくれてよかったよ」と伝える。「相談」に対しては、「丁寧に聞く」「支援する」という報酬で応えよう。

いくら社長がきちんとしていても、幹部が部下へ指示できていなければうまくいきません。私はよく幹部へ「君たちの発言は、(部下にとっては)全て社長が考えたり話したりしていることと同じだと思うよ」と言い続けています。社長が、お客様の幸せづくりを言い続けているのに、幹部がそれは「適当でいいよ」と言ったら部下はどう思いますか。社長の言葉がきちんと幹部から部下へ伝わる会社が、成長発展する会社だと思います。

3.基本理念が「浸透しない」企業に共通すること

「基本理念が“浸透しない”企業に共通すること」(Webサイト「TSUNAGU」エンゲージメントコラム 2021.1.23 株式会社スタメン)

① どのような会社にしたいのか、会社をどうしていきたいのか。会社が永続的にあり続けるかぎり、普遍的な概念であり残し続けていくものが経営理念です。

② リモートワークへの移行を余儀なくされている状況では、従業員1人ひとり人が自分の判断で会社の成果につながる行動ができるようにするために、より一層経営理念の浸透は重要になってくるでしょう。

③ 経営理念が現場に浸透しないという問題

  a)決めただけで満足してしまい、浸透させるための手を打っていない

  b)そもそも経営理念が会社の今とズレてしまっている

  c)経営理念を理解するためのブレイクダウンがされていない

④ 理念は自然に浸透するほど簡単なものではない

⑤ 浸透している企業のたった2つの共通点

  a)理念の意図・意味からしっかりと伝える

  b)従業員自身が理念に対して「アウトプットする機会」がある

⑥ 組織を強くするために

  a)組織を強くするためには「理念浸透は不可欠」だと思います。

  b)継続性も必要です。社内制度として、しっかりと運用し続けることが重要です。

15年くらい前から、パチンコ業界ダントツNo.1のマルハン韓社長とご一緒させていたき、理念浸透の考え方を学ばせていただきました。まず、考え方。社員1人ひとりに理念が浸透することを目指しています。そして理念浸透部隊をつくって、M&Aをした全国の太平洋クラブや、カンボジアの5,000人いるサタパナ銀行に派遣をしています。一緒にカンボジアでサタパナ銀行に行った時も、日本人の理念浸透部隊が行っていました。また最近 YouTube で対談させていただいた時に「理念は風化する。イズムをまた磨きだした」と言われました。いつか、そのイズムもご紹介したいと思っていますが、理念の風化はTOMAにも来ているかもしれません。あいさつがまともに出来ない社員がいたり、明るく楽しくなさそうな社員も見受けられます。それを、また戻すのも役員の役割と思います。是非、経営理念の確立と浸透を徹底し続けませんか?TOMAでも、ご指導させていただきます。