100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.34

2021.04.16 Fri

ものづくり補助金の肝 ~これが書ければ採択されます!~

申請書に書くべき事項

ものづくり補助金は革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。複数の審査員によって厳しく精読されています。そのため書くべきことを記載しないと不採択になってしまいます。令和元年度補正・令和二年度補正の6次締切分の公募要領P.19には申請予定者が絶対に検討すべき内容が記載されています。

 

技術面の記載事項

「試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか」とあります。この場合の課題とは目標と現状のギャップを埋めるためにやるべきことと考えます。人が1日中行っていた業務を半日に短縮するために最新の設備を導入するといった考え方です。達成度とは機械を導入する前の時間と実際の導入後の合格となる目標数値を設定する必要があります。

 

事業化面の記載事項

「補助事業実施のための社内外の体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか」についてですが、ものづくり補助金は優れた技術者の開発だけでは採択されません。数々の書類を整備し保管しておく必要があります。そのため総務経理といった事務員がいない事業者は採択率が低くなる傾向にあります。お金の流れですが、先に設備投資金を支払い、あとで国から戻ってきます。先に支払うだけの裏付けとして金融機関から資金調達が見込まれていたり、財務状況に問題がないことがポイントとなります。

 

政策面の記載事項

国から見ると、ものづくり補助金は将来伸びさせたい産業への投資です。2020年10月に菅総理は所信表明演説でデジタル社会やグリーン社会の実現を述べていました。第6次締切分の要領には「先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用」が記載されています。これらの技術を活用した申請書であれば、政策面からも考慮されそうです。

消費税総額表示義務 総額表示にしなくても良い例

総額表示義務の再開で困ったのは?

令和3年4月1日から、消費税の総額表示義務の特例が失効した関係で、今まで可能だった「●●円(税抜)」といった表記が、消費者向けにはできなくなりました。

この変更で大変だったのは、オンラインストアやチラシ・小冊子などを作っているデザイナーさんたちではないでしょうか。仕様変更を余儀なくされ、価格表示の長さに涙を流した方も居るかもしれません。

 

総額表示しなくても良い例

消費税総額表示義務は「不特定かつ多数の消費者に対する値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合」が対象となります。

財務省は「総額表示に関する主な質問」というページで、総額表示に関しての質問と回答を掲載しています。それによると、見積書や請求書等は「不特定かつ多数の者」に対するものではないため、総額表示義務の対象ではありません。ただし、webサイトなどで不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示する「見積り例」などは、総額表示義務の対象となりますので注意が必要です。

また、総額表示義務は「消費者」に対してのものですから、事業者間の取引については、総額表示義務の対象にはなりません。例えば、製造業者や卸売業者が、小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログは、対象が事業者に向けられたものであり「消費者」向けではないため、総額表示義務の対象になりません。

 

事業者向けか消費者向けか微妙な場合

このように「対消費者向け」でない場合は、総額表示はしなくても良いのですが、中には「事業者向けか消費者向けか微妙」といったケースもあると思います。財務省はそういった場合、サービスの性質によって「不特定かつ多数の者」が利用するか否かで判断する、としていますが「総額表示が必要でなくてもやってほしい」とも呼び掛けています。

総額表示については、違反した場合の罰則は今のところ定められていません。そもそも、総額表示義務は消費者の利便性への配慮ですから、事業者間の価格表示であったとしても、総額表示に統一しておく方が相手先に好印象を与えるのではないでしょうか。

WEB面接と企業のイメージアップポイント

大学生の就職活動調査

株式会社リクルートマネジメントソリューションズが行った調査によると2021年新卒採用選考でWEB面接を体験した学生1407名に対し、どのような意識を持ったかの結果を発表しています。それによると、本選考では8割以上がWEB面接を経験しています。しかし一次、二次と選考が進むに連れて対面のみという企業も増えてきますが、最終面接においても6割以上がWEB面接を行っていました。

WEB面接に対する学生の意識

「WEB面接と対面面接とどちらが好ましいか」の問いには選考段階で違い、一次では「WEB面接の方が良い」「どちらかというとWEBが良い」40%以上だったものが最終面接では20%以下と対面面接を望む人が増えています。WEB面接が好ましい理由としては、

①  自宅で受けるので緊張がないし、満員電車に乗らないでよい、面接開始直前まで対策できる等、心理的な面

②  移動時間や交通費がからない、複数企業を同時に受けられる等、効率化

③  新型コロナ感染症の接触機会を減らす

一方で対面面接の方が気持ち熱意が伝わる、対面の方が話しやすい、人柄を感じ易い、一度も直接会わないのは不安だから対面が望ましいという意見もあります。

WEB面接で企業イメージを上げるには

①  面接官のコミュニケーションに対する姿勢……WEB面接を意識した面接官が大きめのリアクションをしてくれた

②  迅速で安心感あるトラブル解決……回線トラブル等で面接ができなかった時でも日程調整してくれたり、機器トラブルは選考に影響なしと告げてくれた

③  場作り配慮……WEB面接は慣れませんね等ねぎらい、気持ちをほぐしてくれた

④  働く環境の様子……PCカメラを通して社内を見せてくれた

⑤  遠方への配慮……県外在住の場合などオンラインに変えてくれた

以上のように、WEB面接は学生には高評価ですが、今後中途採用にも広がっていくことは確かでしょう。面接を受ける側の気持ちを知ることは採用担当者に参考になるでしょう。

がん免疫治療の医療費控除

がん免疫療法は、人間の持つ免疫の力を利用してがんを攻撃するがん治療法ですが治療法の中には効果がまだ認められず、保険が適用されない自由診療となるものもあります。高額な医療費を支払った場合、医療費控除は受けられるのでしょうか。

診療、治療のため通常必要な医療費

所得税法では、医療費控除の対象として「医師による診療または治療」、「治療または療養に必要な医薬品の購入」の対価のうち「通常必要と認められるもの」、「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と規定しています。

判例では、眼の屈折異常を矯正する目的で眼鏡等を装用した際、医師の検査費用と眼鏡等の購入費用の医療費控除該当性が争われた裁判で「医療費控除制度は、治癒可能な心身の機能の低下を回復させるために必要となる医療上の経済的支出に対する課税上の調整措置である」と治癒を前提とした医療であることが判示されています。

がん免疫治療の場合、自身で選択した治療法が治療の効果が証明されていない自由診療であるとしても、そこに一定の効果が期待され、医師の診断にもとづき治療が行われているのであれば、「治癒可能な心身の機能低下の回復」を目的とする医療行為に該当し、医療費控除が適用されるのではないでしょうか。ちなみに丸山ワクチンの購入費用は、主治医の判断の下、主治医により治療が行われることから、医師等による診療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となる旨の判示があります。

疾病予防と健康増進の医薬品は除外される

所得税通達では、薬機法に規定する医薬品が医療費控除の対象とされますが、医薬品に該当しても疾病予防と健康増進のみに使用されるサプリメントは医療費控除の対象とされません。

判例では、健康補助食品である漢方薬が医薬品でないこと、また医薬品に該当する漢方薬に治療・療養の必要性を認めず医療費控除が適用されなかったものがあります。

治療法の選択には慎重な検討を!

医療費控除が適用されるとしても自由診療で免疫療法を受ける場合は、治療効果、安全性、費用の負担をよく検討した上で慎重な対応が求められます。担当医とよく話し合いましょう。また国立がん研究センターや地域拠点病院の相談窓口で免疫療法の情報を取得し、相談することもできます。

男性の育児休業取得支援 子育てパパ支援助成金他

男性労働者の育児休業取得

1991年に育児休業制度が法制化されて30年、厚労省2019年度調べでは女性の83%が取得しているものの、男性の育児休業は微増とはいえ7.48%に留まっています。

取得できない理由は「休めない」「取得できない雰囲気」等ありますが、2017年の日本生産性本部の調査では男子新入社員の8割が「子が生まれたら育休を取りたい」と希望しています。男性の育休取得は仕事への意欲向上にもつながることでしょう。

両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)

企業が男性の育児休業取得を推進する時に活用できる助成金があります。男性労働者の育児休業を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、男性労働者に子の出生後8週間(出生時を含む57日間)以内に中小企業は連続5日以上の育児休業を取得させると申請できます。なお、5日の休業期間は所定労働日が対象ですが1日だけは所定休日でもよいので、例えば土日が休日の男性社員が火、水、木、金、土のように本来労働日の火~金と休日の土を入れて連続5日としても認められます。

助成額は中小企業で1人目57万円、2人目以降は育休の長さがA、5日以上、B、14日以上、C、1か月以上の取得でA、14.25万円、B、23.75万円、C、33.25万円、人数は1年度10人を上限に申請できます。

個別支援加算

令和2年度に新設されたもので、企業が育児休業取得前に次の4つを行った場合に加算されます。同一労働者1回限りです。

①  メールや書面で対象男性労働者に個別に育休について知らせる。

②  対象男性労働者に育児休業取得を促すための個別面談を行う。

③  対象男性労働者の上司に対し、男性対象者に育休を促している旨の説明を行う。

④  上司に対し対象男性労働者に明示した①の書面を明示する。

中小企業は1人目が10万円、2人目以降は5万円が支給されます。

育児目的休暇制度

男性労働者が子の出生前6週間から出生後8週間の間に、育児休業とは別に所定労働日5日間を休業取得する(不連続でもよい)制度を利用すると28.5万円が1回受給できます。育児休業と育児目的休暇をそれぞれ5日以上取得すると両方の助成金の申請も可能です。