100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.26

2021.02.19 Fri

令和2年分確定申告の申告期限

申告期限は1か月延長されました

令和2年分確定申告の申告期限は4月15日ですが、4月15日を過ぎた場合は期限後申告になるのかというと、そうでもありません。

 

申告・納付等の期限の個別延長

国税通則法11条に「災害等による期限の延長」というのがあって、特別な事情で申告できない場合は、申告期限の延長を個別に認めてきました。この災害等にコロナ感染の影響による場合が認められています。

国税庁のホームページでは以下のように述べられています。

新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」といいます。)に関しては、これまでの災害時のように資産等への損害や帳簿書類等の滅失といった直接的な被害が生じていないものの、感染症の患者が把握された場合には濃厚接触者に対する外出自粛の要請等が行われるなど、自己の責めに帰さない理由により、その期限までに申告・納付等ができない場合も考えられます。

よって、これまでの災害時に認められていた理由のほか、例えば、次のような理由により、申告書や決算書類などの国税の申告・納付の手続に必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります。

そして理由の事例が何点か紹介されております。その一つに「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除きみだりに自宅等から外出しないことが要請されていること」というのがあり、これはほとんどの方が該当するため申告書の欄外に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載して申告すれば、無条件で個別延長が認められます。結果、申告期限はあってないようなものとなっております。

 

留意点

ただし、4月15日以降に申告した場合は申告した日が納付の期限日ですのでご留意ください。また申告前に開業届や青色申告の承認申請書等申告以外の提出物を税務署に提出した場合は、個別延長が認められない場合がありますのでご留意ください。

消費税納税義務と合併承継

包括承継の新設合併、吸収合併

事業譲渡と異なり、合併は、権利・義務の一切を承継する包括承継であり、自然人についての相続と同視されるところです。

包括承継の故に、課税主体間の財産の異動については、相続の場合と同じく、消費税法上の資産の譲渡から除かれます。従って、法人税法における非適格合併であっても、この扱いに変わりありません。

合併には、新設合併と吸収合併があります。新設合併では、2以上の会社が自らを消滅会社とし、新たな承継会社を設立します。吸収合併では、1つだけが合併後存続する会社になり、他は合併により消滅する会社になります。

合併年における消費税納税義務

合併年度おける被合併法人は合併により消滅法人になるので、課税期間が短くなるということはあっても、消費税の納税義務に関しては特別な扱いはありません。

それに対して、合併法人については、扱いが異なります。

①課税事業者である法人同士の合併、②合併法人が課税事業者で被合併法人が免税事業者であるときの合併、③合併法人が免税事業者で被合併法人が課税事業者であるときの合併、④免税事業者である法人同士の合併、これら4ケースがあります。

合併法人の課税・免税事業者判定は、①②のケースは年度を通じた課税事業者、③は合併当日からその年度末までの期間の課税事業者、④は免税事業者です。

合併翌年度では合併前各法人の合計で

合併法人の合併翌事業年度の課税期間においては、合併法人の基準期間における課税売上高と被合併法人の対応基準期間の課税売上高の合計額で納税義務者の該当性を判定します。

新設合併の場合は、合併新設法人の基準期間はないので、被合併法人の対応基準期間の課税売上高しかありません。当然ながら、被合併法人の対応基準期間の課税売上高の合計のみで判定します。

なお、合併については、合併年度、合併翌年度に関する規定しかなく、翌々年度に係る規定はありません。それは、翌々年度においては、合併法人の基準期間は存在するが、被合併法人の対応基準期間はすでに存在しないので、合計しようにも合計するものがないからです。

消費税納税義務と会社分割

会社分割も包括承継の性格をもつ

相続では被相続人は死亡し、合併では被合併法人は消滅します。それに対して会社分割では、分割会社も分割承継会社も消滅しません。

ただし、全部承継か部分承継かの相違は別として、権利義務を包括的に承継する性格があるものとして、課税主体間の財産の異動については、会社分割も相続・合併の場合と同じく、消費税法上の資産の譲渡から除かれます。それ故、法人税法における非適格分割であっても、この扱いに変わりありません。

分割承継法人の消費税納税義務の判定

分割には、新設分割と吸収分割があります。新設分割では、新たな承継会社を設立します。吸収分割では、既存の会社間で事業に係る財産債務の異動がなされます。

分割承継法人の消費税納税義務の判定には特別の規定があります。

①課税事業者である法人同士の分割、②分割法人が課税事業者で分割承継法人が免税事業者であるときの分割、③分割法人が免税事業者で分割承継法人が課税事業者であるときの分割、④免税事業者である法人同士の分割、これら4ケースがあります。

分割年度の分割承継法人の課税・免税事業者判定は、①③のケースは年度を通じた課税事業者、②は分割当日からその年度末までの期間の課税事業者、④は免税事業者です。

分割翌年度の分割承継法人の課税・免税事業者判定は、①②③のケースは年度を通じた課税事業者、④は免税事業者です。

吸収分割と新設分割の相違

分割翌々年度については、相続や合併に係る消費税納税義務判定と同じく、吸収分割には、特別の定めがありません。従って、自己の基準期間の課税売上高だけで、課税・免税の事業者判定をします。

それに対して、新設分割の場合は、分割翌々年以後、期間無制限に、分割会社と分割承継会社の両方において、課税・免税事業者の判定は、分割会社と分割承継会社の基準期間の課税売上高の総額を合計したところで行います。

この永久規定は、分割会社と分割承継会社の関係で、50%超の支配関係にない時、分割会社が2以上であった時、には適用から外れます。

コロナで売上の減少した中小事業者に対する一時支援金の支給

緊急事態宣言の延長を受けて

政府はコロナウイルスの影響を受けた事業者支援として、売上高が半減した中小事業者に支給する「一時給付金」の給付額を増額することを決めました。これまで法人は40万円、個人事業主は20万円としていましたが、それぞれ60万円、30万円に引き上げられます。昨年の持続化給付金同様に受付から支給まで時間のかからない範囲で支給していく予定です。

対 象

緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅・中小事業者が対象となります。

要 件

緊急事態宣言の再発令に伴い、

①緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること(農業者・漁業者、飲食料品・割り箸・おしぼりなど飲食業に提供される財・サービスの供給者を想定しています)

または、

②緊急事態宣言発令地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたこと(旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者等の人流減少の影響を受けた者を想定しています)により、本年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年比(or対前々年比)▲50%以上減少していること

支給額

法人は 60万円以内、個人事業者等 は30万円以内の額を支給します。

※算出方法:前年(or前々年)1月から3月の事業収入-(前年(or前々年)同月比▲50%以上の月の事業収入×3)

 

※前年の確定申告、対象月の売上台帳の写しとともに、宣誓書において、緊急事態宣言によりどのような影響を受けたかを選択肢から選んで自己申告します。なお、一次取引先の納品書、顧客の居住地を示す宿帳、顧客名簿、入込観光客の統計等の保存が義務付けられます。

※3月上旬に電子申請での受付開始を予定しています。該当しそうな事業者は早めに準備しましょう。

新事業転換への応援施策 ~事業再構築補助金の勧め~

ポストコロナ時代の社会への対応支援

新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す、以下の要件をすべて満たす企業・団体等の新たな挑戦を支援します。

 

要 件

①申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。

②事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。

③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。

 

補助金額(中小企業の場合)

〇 通常枠 補助額 100万円~6,000万円 補助率 2/3

〇 卒業枠※ 補助額 6,000万円超~1億円 補助率 2/3

※卒業枠については、400社限定。事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。

※中小企業の範囲については、中小企業基本法と同様。

 

どんな取組が対象となるのか

航空機部品製造がロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げ、あるいは伝統工芸品製造がECサイトでの販売に転換。喫茶店経営が飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。衣料販売業が衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービスに転換…などが考えられます。

 

※公募開始は3月となる見込みです。

※jGrants(電子申請システム)での申請受付を予定しています。GビズIDプライムの発行に2~3週間要する場合がありますので、補助金の申請をお考えの方は事前のID取得をお勧めします。