100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.24

2021.02.05 Fri

テレワークを生産性向上に つなげるには

テレワークの良さを生かすには

コロナ禍の影響で急速に普及してきたテレワークですが、テレワークを生かすためにはまず目的を明確にし、会社と社員で認識を統一しておく必要があります。制度の運用の土台づくりをしておかないと、テレワークにより生産性が上がる場合ばかりでなく、下がってしまう場合もあります。

出社と在宅勤務のメリット・デメリット

出社勤務と在宅勤務の比較をしてみます。メリット=M デメリット=Dで表示

①    通勤に関して

M、通勤時間がかからない、

時間のゆとりができる

通勤の心身の疲労は感じない

D、運動不足になりやすい

オンオフの切り替えがしにくい

②    人間関係に関して

M、在宅は気遣いからの解放

出社は身だしなみに気を遣う

出社は雑談、談話による息抜き

出社は他者理解

D、在宅は身だしなみが気にならない

在宅は孤独感、疎外感、真意伝達の困難さ

出社時の人間関係のわずらわしさ

③    生産性に関して

M、在宅では自分の業務に集中できる

出社ではチームで助け合いができる

出社では連絡も密にできる

D、出社時は雑用で仕事が進まない時も

出社では会議や打ち合わせが多い

在宅では困りごとを相談しにくい

在宅ではチームの状況が把握しづらい

今後のテレワークの方向性

昨年の5月に行われた民間の大規模調査では、7割近い人がテレワークを今後も続けたいとしており、年齢の低い人ほどその比率は増えています。

テレワークを生かす3つのポイントは

①    目的の共有化……生産性向上を目指し、適切な労働時間管理、信頼関係の構築でルールを遵守

②    インフラ&制度整備……ネットワーク環境、セキュリティー対策、紙からデータへの移行、運用ルール策定

コミュニケーション……メンバーの進捗状況の共有、相談態勢、心身ともに健康で働ける環境作り

売却活動前の測量費

相続した土地で駐車場を営む個人事業主が、土地活用の方針を決めるにあたり、隣地地権者と土地境界の測量を行い、その後、自身で活用する見込みがなくなり、当該土地の売却に転じた場合、測量費は譲渡所得の計算上譲渡費用を構成するでしょうか。

 

譲渡費用に該当するには

所得税法では、譲渡費用の範囲を①資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用 ②借家人等を立ち退かせるための立退料、土地の上にある建物等の取壊費用、既に売買契約を締結したが更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除した際生じる違約金、その他譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用としています。

売却方針決定前に支出した測量費が譲渡のため直接要した費用に該当するかは、例えば不動産仲介会社に土地売却の意思を伝え、媒介契約を締結して売却活動に入り、買主が見つかり売買契約の中で境界確定が条件とされ引渡しに至れば要件を充たすものと思われます。

 

取得費または維持管理費となるとき

また譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持管理費用は、譲渡費用に含まれず、土地の測量費は各種所得金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入するとされています。

売却方針が定まらない場合には、測量費を取得費とするか、アパート賃貸への転用、駐車場の継続等を想定して隣地との紛争予防をはかるため不動産所得の必要経費(維持管理費)とすることが考えられます。

 

概算取得費に注意する

相続で取得した土地を譲渡する際、土地の取得価額が不明であれば、概算取得費として土地譲渡代金の5%相当額を控除することができます。

ただ、概算取得費を計上する場合、測量費など支出した取得費は、譲渡所得金額の計算上、控除できなくなりますので測量費を取得費とする場合は注意が必要です。

確定申告期限までに売却方針が決まらないとき測量費を維持管理費か取得費とするかを含め状況に応じた判断が求められます。

譲渡費用の範囲

譲渡費用の範囲は通達に例示されるほか、判例の積み上げから判断されています。通達では、譲渡費用は資産の譲渡のために直接要した費用、及び資産の譲渡価額を増加させるため譲渡に際して支出した費用としています。(直接必要性)

判例:土地改良区決済金事件

平成18年最高裁判決「土地改良区決済金事件」は、従前の概念(直接必要性)にとらわれず「譲渡費用に当たるかは、一般的、抽象的に当該資産を譲渡するために必要であるかによって判断するのでなく、現実に行われた資産の譲渡を前提として客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかにより判断すべきもの」であると判示しました。(客観的必要性)

個別通達のみを改正

最高裁判決を受け土地改良区決済金について譲渡費用であることを認める個別通達が発遣されましたが、譲渡費用の範囲を示す基本通達は改正されず、その後、譲渡費用該当性を争った裁判では、客観的必要性に当たらないとする判決が続いています。

課税庁は最高裁判決の後も従前の解釈(直接必要性)を変更せず、土地改良区決済金のように法令や当事者間の契約など個別事情のあるものにのみ限定して客観的必要性を認めているものと思われます。

取得費と譲渡費用の相互性

不動産売買の仲介手数料は、資産を取得するため支出された場合、取得費付随費用となり、また売却のため支出された場合は、譲渡のために直接要した費用として譲渡費用になります。その他、土地譲渡の際の建物取壊し費用、立退料もそれぞれ取得費付随費用または譲渡費用となります。

このことから取得費と譲渡費用には相互性があり、取得費に該当するものは譲渡費用にも該当し、また、その逆も成り立つ関係にあるといえます。

抵当権抹消費用も譲渡費用となる?

金融機関からの借入で土地を取得するとき、借主が負担した抵当権設定費用は、土地の取得費を構成しますが、売主が抵当権抹消費用を負担した場合は譲渡費用になるとする意見と、ならないとする意見があります。しかし、取得費と譲渡費用の相互性の観点からすれば、売主負担の抵当権抹消費用も譲渡費用になるといえるのではないでしょうか。

これからのテレワークと労務管理

コロナ禍のテレワークからわかったこと

テレワークは、これまでも働き方改革の観点などから推奨されてきましたが、思わぬコロナ禍により、多くの企業が準備を十分にできないまま実施していると思われます。厚生労働省は、この状況について調査結果等から検討した「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」(000711687.pdf (mhlw.go.jp))を公表しました。

もともとテレワークの効用として、従業員のワークライフ・バランスの改善により、離職防止や人材確保につながることが言われていましたが、調査結果からもそれが確認されました。これは「従業員の通勤負担の軽減」が大きな要因と考えられます。従業員を対象にした調査でもメリットとしてあげられており、「時間の節約」とともに「心身の負担の軽減」につながっています。

テレワークをやってみたことで感じた良い変化、新たな気づきとしては、「管理職や経営層の間でテレワークの利用が進んだ、理解が深まった」が多く、次に「テレワークではできないと考えていた業務が、できることが分かった」となっています。

課題を明確にし、良質なテレワークを

一方で課題も多くあります。労務管理上の課題としては、①人事評価、②人材育成、③労働時間管理、などが主要な論点です。対応策として、①については評価や報酬制度の内容をより具体化すること、②はオンラインと対面を組み合わせることの有用性、③はフレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制がなじみやすい、などの提言がなされています。

「まずはポイントを知りたい」という方は、リーフレット(000716163.pdf (mhlw.go.jp))でご確認ください。より詳細な参考資料や相談窓口も記載されています。

また、テレワーク相談センターの機能拡充も行われたので、活用していきましょう。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15912.html)

報告書では、フランスの「つながらない権利」を取り上げています。メールをする時間帯を制限することなどにより、長時間労働防止につなげるものです。これまでの知見を活かし、より良質なテレワークの体制を作っていきましょう。

新型コロナウイルス感染症と医療費控除

マスク購入費用は医療費控除の対象?

国税庁は、新型コロナウイルス感染症に関して、申告や納税などの税務上の取扱いに関するFAQを令和2年3月から公開していますが、現在も更新を続けており、横断的にきめ細かな説明をしています。

今年の確定申告で、医療費控除を申告する方の中には「マスクの購入費用は医療費控除の対象になるのか」と疑問に思った方もいらっしゃるかと思いますが、この問いに関してはFAQの中で「No」という回答を出しています。

 

医療費控除の定義

医療費控除の対象となる医療費は、

1. 医師等による診療や治療のために支払った費用

2. 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

と定義されています。

マスクの購入費用については「病気の感染予防を目的に着用するもの」であるから、治療や療養のための費用ではないため、医療費控除の対象にはならないのです。

 

オンライン診療の諸費用は?

オンライン診療に係る費用についても回答があります。オンライン診療料やオンラインシステム利用料については、「診療に直接必要な費用に該当する」ので、医療費控除の対象になります。

ただし、「医薬品の配送料」については、治療に必要な医薬品の購入費用に該当しないので、医療費控除の対象になりません。

 

PCR検査費用は?

医師の判断によりPCR検査を受けた場合、この費用は医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除の対象は自己負担部分に限られ、現状、医師の判断によるPCR検査は原則公費負担によって行われるため、このケースで医療費控除の対象になる費用が出ることは非常にまれです。

「感染していないことを明らかにするためのPCR検査」等、自己の判断で受けた検査費用に関しては、医療費控除の対象となりません。ただし、検査の結果「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行う場合には、その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、医療費控除の対象となります。