100年企業創り通信

100年企業創り通信 vol.13

2020.11.13 Fri

定款記載事項の「目的」について

会社の目的

会社の目的は、会社設立時に必ず定められなければならない事項(定款の絶対的記載事項)であり、定めがない定款は無効となります。具体的には「当会社は、次の事業を行うことを目的とする。」等と定められている部分です。

会社の目的は非常に重要な部分です。定款で定めた目的の範囲内で会社の能力が認められ、その定めた目的の範囲内でしか事業を行うことができないからです。

会社の目的の4要素

会社の目的を定める際には、4つの要素の考慮が必要となります。

① 具体性

具体性がない目的が定められ、登記事項証明書により公にされることにより不利益を被る人達のことを考慮しなければなりません。

② 明確性

語句の意義が明瞭であり一般人において理解可能であるほどの明確性が必要となります。

③ 適法性

許認可を要する場合には、適法な目的を定めなければなりません。また、法人設立に資格要件がある場合等は、資格がなければ当該目的を定めることはできません。

例えば税理士法人しか定めることができない目的を一般の株式会社が定める場合等が考えられます。

④ 営利性

会社において利益を得る可能性がない事業を会社の目的としても適格性がないと判断されてしまいます。

会社の目的の見直し

会社は、目的の範囲内でしか事業を行うができません。この機会に会社の定款を見直し、現状に即した目的にしてみてはいかがでしょうか。

また、見直す際は、現状だけではなく、将来的に事業として行う事業も見直しましょう。

勘定合って銭足らず

勘定合って銭足らずとは

会社の事業の儲けは基本的に利益です。しかし利益が出たからといってその分お金が増えているかというと、そうでもない場合があります。というよりもそうでもない場合の方が多いかと思います。

そういった状況が「勘定合って銭足らず」です。原因は多岐にわたりますが、設備投資等大きな投資をしたような場合は、原因がはっきりしているので、多くの場合経営者は自覚的で特に問題にはなりません。原因が分からない場合が問題です。

銭足らずの比較的分かりやすい原因

① 在庫が異常に増えている場合

② 売掛金や受取手形等の売掛債権が異常に増加している場合

③ 買掛金や支払手形等の買掛債務が異常に減少している場合

このような場合、要は儲かった銭が在庫や債権債務に姿を変えているということです。決算書を注意して見ればある程度分かります。経営者としては、当然の注意義務です。また経験の長い経営者なら「おや?」と気が付くものです。

銭足らずの分かりにくい原因

慢性的に銭足らずの場合があります。どういう場合かというと、借金を返済している場合です。設備投資等大型の投資を借入金でまかない、その返済をしているような場合は、往々にして「勘定合って銭足らず」となっている場合があります。

要は借金の返済をするには儲けが少なすぎるという場合です。

利益が十分か再確認してみましょう

税引き後利益と減価償却費の合計から年間の返済金額を引いてみてください。また配当などをしている場合は、その分もマイナスしてください。結果がマイナスであればその金額を65%で割り返した金額分利益が不足しています。毎年銭足らずとなります。逆にプラスであればその分資金は増えているはずです。

税引後利益が分からない場合、安全を考えて利益の65%としてみてください。

11月は過労死等防止啓発月間

企業向けオンラインセミナー開催

厚生労働省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。

過労死の要因の一つは「業務における過重な負荷」と定義され、長時間労働の削減が重要な対策です。

経団連の「2020労働時間等実態調査」によると、労働者の総実労働時間(年間平均)と時間外労働時間(同)は減少傾向にあります。従業員数規模にかかわらず、製造業と非製造業のいずれも減少しています。働き方改革関連法の施行が影響していると考えられます。

一方で、テレワークによる隠れた長時間労働も懸念されています。コロナの影響により、2020年の労働時間数は業種によって大きく異なる可能性もあり、業態に応じた取組が必要となるでしょう。

企業における自主的な過重労働防止対策を推進するため、10月から12月を中心に、オンラインによる「過重労働解消のためのセミナー」(委託事業)が開催されます。https://shuugyou.mhlw.go.jp/kajuuroudou.html

自社の状況を見直し、よりよい職場環境づくりを推進する機会としてはいかがでしょうか。

ストレスチェックを実施しましょう

過労死のもう一つの要因が、「業務における強い心理的負荷」です。

従業員の心の健康を保つためには、メンタルヘルスケアの体制づくりやストレスチェックの実施が望まれます。ストレスチェックは労働者50人以上の事業場で義務づけられているものですが、50人未満の事業場についてもできるだけ実施することが望ましいとされています。

厚生労働省版のストレスチェック実施プログラムは無料でダウンロードできます(https://stresscheck.mhlw.go.jp/)。実施のために産業保健総合支援センターや地域産業保健センターの支援も受けられますので、活用していきましょう。

また、「過労死等防止啓発パンフレット」には、疲労蓄積をチェックするための自己診断リストも掲載されています。

(https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000672708.pdf)

扶養の「壁」を超えた時 目指す収入額と使える制度

「扶養内で働く」とは

共働きの世帯では、夫・妻ともに正社員のフルタイマーで働いているケースもあれば、片方が会社員としてフルタイムの勤務をし、片方がパートやアルバイト等の短時間労働をしながら家事や育児、介護等を担っているケースもあります。

ところで、会社員やアルバイト・パートの勤務経験がある方ならば、夫や妻の扶養控除を受けてパート等で働く際に「扶養内で働く」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

これは、「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味で、収入が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が発生し家計全体の手取り額が減ることがあるため、その一定額以下の収入となるよう勤務時間や収入を調整して働くことを指しています。

税金の「壁」、社会保険の「壁」

扶養控除には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあります。

税金や保険料が発生する一定収入のラインを年収の「壁」と呼ぶことがあります。

年収が103万円を超えると、税制上の扶養から外れて、超えた額に対する所得税を自分で納める義務が発生します。

また、従業員が501人以上の会社で働く人は年収106万円、500人以下の会社では年収130万円以上になると、社会保険上の扶養から外れて、健康保険料や年金保険料を負担する必要が出てきます。

ただし、社会保険の加入には条件があり、年収で被扶養者から外れても、労働時間が短い等の理由で自分の職場の厚生年金と健康保険に加入できない場合は、国民年金と国民健康保険に加入することになります。

「壁」を超えても損しない収入のラインは

では、配偶者控除の「壁」を超えて勤務をするとしたら、具体的にはどのくらいの収入ならば税金や社会保険料を支払ってでも勤務をしたほうが、家計全体の収入が増加するのでしょうか。

結果的には130万円の収入を超えて、自分で社会保険料や年金保険料を払い、所得税や住民税の負担もあると考えると、目安として180万円以上働かないと、家計の手取りは減ってしまいそうです。

ただ、保険料の負担は大きくとも、会社の社会保険と厚生年金に加入できれば将来受け取る年金が増え、病気で休職した際に健康保険の傷病手当金の給付、会社を辞めても雇用保険の失業給付が受け取れるなど大きなメリットもあります。

「居住用・事業用」の場合

改正消費税法の「明らか」とは

今年の改正で、家屋の賃貸借が用途不明契約の場合、形式的な課税取引扱いから実態判定に変更となりました。

改正税法の規定は、「貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らか」なら、非課税取引とする、です。

居住供用の実態がちょっとでもあることが明らかになれば、100%非課税という意味とは思えないので、居住供用割合を確定出来たら、その割合で課税・非課税取引額を分別すると、いうことと思われます。

複数用途は用途不明の仲間?

国税庁は4月1日公表新通達で、用途不明の意義、居住供用明瞭の意義を、「契約において、住宅を居住用又は事業用どちらでも使用することができることとされている場合」は用途不明に該当する、と書いています。

しかし、これは、契約書の使用用途欄に「居住用と事業用」との両方に利用できるとされているのであるから、契約書上での「用途不明」には該当しないと思われます。

確かに、「居住用と事業用」となっていて、消費税の負担等がないため、「用途割合不明」というものも中にはあるかと思われます。

その意味では、その割合を確定する実態確認が必要という事案に関しては用途不明と同一仲間とは言えますが、それは例外ケースです。

税理士事務所の多くは「居住用・事業用」

元居住用の2LDKの仕様を事務所用のワンルームに造り替えた物件などの賃貸借契約では、ほとんどの場合「居住用と事業用」の両方に利用可の表記がされています。

税理士事務所として賃借している物件でも、このケースは珍しくありません。

その上、契約書に於いて「居住用と事業用」の両方に利用可の表記の場合のほとんどでは、その実態に合わせて、消費税の負担をきちんとしている、のが普通です。

最近は、フローリング仕様で、畳の部屋がない、というのが普通です。フローリングの部屋だったら、居宅利用も事務所利用もそのまま何も障害なく可能です。最近の新築マンションでは、「SOHO可」としているものも珍しくありません。

そういうものを含めて用途不明に該当する、とするのは行き過ぎです。