100年企業創りレポート

藤間秋男の100年企業創りレポート
vol.268 2020.09月号

2020.09.01 Tue

1.マインド不況、1/2経済(富士フイルムになりますか? コダックになりますか?)

これからマインド不況が5年続き、その後は1/2経済が続くと思います。富士フイルムになりますか? コダックになりますか?
(経済評論家ではありませんので、40年間経営してきたなかでの感覚です)

これからコロナ後になっても、海外にわざわざ行かなくても、おいしいレストランに行かなくても、出前で良くないですか。
出歩かない、贅沢しない生活が続くような気がします。
それがずっと続くと、観光、交通、ファッション、飲食、サービス業などで倒産する企業が増加します。
そうすると銀行もおかしくなります。
ことわざの「風が吹くと桶屋が儲かる」とは損益が逆ですが、どんどん景気が悪くなる気がします。

また、日本の中小企業の1/3は後継者不足、経営者の平均年齢が65歳で、
あと5年すると70歳になって大廃業時代が来ると言われています。
ただ ITや“巣ごもり消費”関連ビジネスは成長し続けていくと思います。
コロナ後に、コロナ前のように人間が今までのように活発に移動し続けるとは思えません。
そのためコロナ前の1/2くらいの経済が続くのではないでしょうか(あくまでも私見です)。

そこでコロナを乗り越えたら何とかなると考える企業は、コダック的になりませんかと言いたいのです。
富士フイルムはデジタル化がスタートしていた時、フィルム事業が70%の利益を占めていたのですが、
すぐにフィルムの売上がなくなると考えて、M&Aでいろいろな周辺業務を開拓して今は順調です。
コダックはデジタル化の先を読まずにフィルムに専念して倒産しました。

皆様は今、コロナ後は以前と同じ経済状況に戻るとコダック的に考えますか。
コロナ後はまったく違う世界を考える富士フイルム的な行動をしていますか。

どちらかを考える、今が分岐点だと思います。
まったく違ったコロナ後の世界に対して「新しい風」を吹かせる時ではないでしょうか。

TOMAグループでは創業から今まで、同業がやってこなかった「新しい風」をたくさんつくってきました。
当然、失敗もありました。
カウントしてみると13勝10敗7引き分けでした。10敗があったから今があるのです。
コロナ後、またコロナ前と同じ経済状況が続くと思いますか。
TOMAが「新しい風」づくりをお手伝いさせていただきます。

 

2.人間を磨く(「致知」2020年9月号)

①~⑨ 特集「人間を磨く」(「致知」2020年9月号 致知出版社)

① 一つのことに仕えてその道の熟達者になる、そういう人を達人というのだ

② その道の達人になる人は皆、自分を磨き続けた人である。

③ 人は皆、自分の人生の経営者である。自分の人生の経営を他の人に代わってもらうことはできない。
 自分の人生は自分が経営するしかない。即ち、人は皆、自分の人生のオーナー経営者なのだ。

④ 経営はそのトップの器によってすべてが決まる。自分の人生は自分の器によって決まる、ということである。
 私たちが自分という人間を磨き続けなければならない所以である。

⑤ では、どうすれば自分を磨けるのか。その第一は古今の師に学ぶことである。

藤間秋男にはたくさんの師がいます。たくさん学んだからです。失敗の学びもたくさんありました。

 1)香西敏男先生 公認会計士〈数字より経営が大切〉

 2)木野親之先生〈松下幸之助の一番弟子。ユニクロ柳井さんの先生。経営理念の大切さを教えてもらった〉

 3)田舞徳太郎社長〈日創研グループ代表。絶対に諦めない、プラス思考、TOMAの経営理念のアドバイス〉

 4)臥龍(角田識之)先生〈感動経営コンサルタント。感動経営の素晴らしさ〉

 5)行徳哲男先生〈哲学的な山ごもり訓練。今ここを大切にする〉

 6)丸山敏雄氏〈倫理法人会創設者。実践すれば必ず成功する17カ条の法則をつくられた(楽しく幸せになることができる)〉

 7)坂本龍馬〈常に夢に向かっていく途中で死んでいった〉

などの師がいて今のTOMA、および藤間秋男がいます。

⑥ 人間を磨く第二は、仕事に打ち込むことである。(略)働くことが自利利他の原動力なのです。

⑦ 第三は、意識を高めること。松下幸之助氏が新入社員にいった名言がある。
 「君らの立場は新入社員
や。しかし、意識は社長になれ」(略)意識が人格涵養に、そして人生に及ぼす影響は大である。

⑧ 人間磨きの第四は、へこたれないこと。(略)苦難を乗り越えるたびに人は磨かれ鍛えられる

⑨ 玉は磨いて初めて見事な器になる。(道元の言葉)

私は昨年、初期の食道がんの手術をして、自分の人生はいつか終わると自覚しました。死生観が出てきたのかもしれません。
それで自分の人格を磨きたくなり、倫理法人会で楽しくなれる、幸せになれる、成功する学びを深めたいと思いました。
そしてそれを世の中の人に広く伝えたいと思いました。

 

3.コロナ下での経営者の心得「今こそ観光産業を変える大きなチャンスだ!」星野リゾート 星野佳路代表

「理念と経営」6月号、星野リゾートの星野佳路代表から学びました。
TOMAでは「理念と経営」の勉強会を今、Zoomでやっています。
すごく学べますよ。
この勉強会はZoom向きだと思っています。
7月の勉強会で学んだことをご紹介します。
特に①の星野氏の言葉に泣きました。すごい!

巻頭特別企画:朝の来ない夜はない「今こそ観光産業を変える大きなチャンスだ!」星野リゾート代表 星野佳路
「理念と経営」2020年6月号 コスモ教育出版)

① この数ヶ月ほど自分の経営力が試されているときはないと、私は思っています。
 ある意味で、経営者に
とって力の発揮のしどころです。
 今ここでどう判断し、どう行動し、どう敏感に変化をつくっていくかが問われているのです。
 今私達が日々経営判断することが、三年後、五年後に必ず評価されるに違いありません。
 そういう意味でも、私自身、これまでに比べてはるかに経営者として活性化されている気がしています。

② 大切なのは変化のスピード感です。
 そのためには、今はトップダウンの経営がプラスになる時期です。
 変化の方向をトップが決める。
 その結果が良くても悪くてもトップが責任を取るという勢いで変わっていかないと、
 マーケットの変化、市況の下落に対応できません。

③ どうすれば感染拡大を起こさない旅の在り方を提供できるのかを、私たちが真剣に考えることです。

④ 星野リゾートには、誰にも遠慮せずにどんなことでも言い合えるフラットな組織文化ができています。
 これは私も含めてのフラットな組織です。
 その組織の在り方とトップダウンは矛盾しません。
 まだ具体的には「三密なしの滞在」の内容が決まっているわけではありませんが、今社員たちが活発に議論をしてくれています。

⑤ ただ、ウイルス感染ですから、必ず終わりは来ます。それは治療薬ができたときです。
 専門家の方々によると一年か一年半ということです。
 その意味で経営としては、この一年、一年半をどう乗り切るかということが最大の要件なのです。

⑥ 私には「いい会社」の定義のようなものがあります。
 どんな社員もいつしか会社を去って行きます。
 そのとき「自分が星野リゾートにいた時間は、とても幸せな時間だった」と言ってもらえる会社。
 そんな会社をつくりあげるのが、私が理想とする経営者像です。

⑦ (大正15年に内村鑑三が星野代表の祖父に向けて記した経営者の心得「成功の秘訣」より抜粋)
 人生の目的は金銭を得るに非ず、品性を完成するにあり。

星野代表は素晴らしい経営者だと思います。近代経営をしていますが、大正時代の教えを実践していますね。

 

4.相手に喜ばれること。それこそが仕事の原点です(「佐藤可士和の『気遣い力』」)

「佐藤可士和の『気遣い力』相手に喜ばれること。それこそが仕事の原点です」(「理念と経営」2020年6月号 コスモ教育出版)

① この「気遣い」にこそ、仕事ができるかどうかの本質が現れ、
 優れたビジネスマンに欠かせない重要な能力の一つだと説いているのである。

② 相手を気遣えるかどうか。そういうところにこそ仕事ができるかどうかの本質が現れる

③ 仕事の相手がどう思っているか、どんなことを求めているのかを、どのくらいイメージできるか。
 僕は、そうしたイメージ力こそが、仕事力だと思っているんです。

④ もっとわかりやすい言葉で言えば、先を読む力。仕事をする上で、ものすごく大切な力です。

⑤ この人は大丈夫かなぁ、と思われるところから仕事が始まってしまったら、とにかくもったいない。
 信頼してもらえないと、相手から正確な情報が引き出せません。
 正確な情報が引き出せないと相手が求めることに的確に応えられず、やり直しなどの痛い目にも遭いかねません。

⑥ 喜ばれることこそ、仕事の成功だと思っています。どうすれば喜んでもらえるのか。
 それを考えたら、自然に気遣い力も高まっていきますよ。

佐藤可士和さんは色々な有名企業と付き合って実績を上げています。
当然に実力があって成果が出ているからだと思いますが、実力以前にやはりこの「気遣い力」「相手に喜ばれること」を実行しているから付き合い続けてくれていると思います。

TOMAでも、はじめに「この人大丈夫かな」と初対面のお客様から思われたら、まず契約はいただけません。
そのためには、その企業のホームページを調べたりその業種を調べたりして、事前準備が大切です。
そんな気遣いができていないとお客様から信頼されないし、リピートの仕事は来なくなります。
相手に喜ばれること。それこそが「仕事の原点」だと思います。

 

5.純情(すなお)人間が楽しく幸せになるための考え方

倫理法人会のWEBモーニングセミナー(講師:花野井勝浩氏)から学んだことなどをご紹介します。
松下幸之助さんも稲盛和夫さんも、人間として一番大切なのは素直(すなお)だと言っています。

① 全て「そのまま受け入れる」がスナオの陰の面。全て「焼きつくす働きかけ」がスナオの陽の面。

② 「すなお」とは張りきって、その時その場所に一ぱい(全)に充ちていること。
 飾るところも威張るところも恐れるところも心配も急ぎもなく、楽しく朗らかに力一ぱいに働いていることである。
 だから「スナオ」の元は、はり(緊張)である。
 (略)緊張とは不要のものは何一つ持たず、むだなことを思わず、青春のような心で力一ぱい働いていることである。

③ この「純情」は人が本来持って生まれた心、あるがままの自然な心である。
 これをまた「正常心」とも呼ぶ。しかし「純情」は決して特別な心のありようではない。
 何も考えない、残っていない、映っていない、歪みも偏りもない清浄無垢な心――この心に徹した時、
 人の働きは「まことの働き」となって開花結実し、直観は冴えわたり、生活は水が流れるように遅滞なく進んでいく。
(「倫理経営基礎講座」)

④ 古来の聖人・偉人といわれた人を見ますと、一人として「純情」でない人はいませんでした。
 真理に対して、信仰や学問や文学に、あるいは芸術に対して偉人や達人達はみな「すなお」でした。
 「純情(すなお)」な心があってはじめて、各人の持てる才能が十分に発揮されるのである。
(「純情倫理入門」丸山敏雄)

経営の神様、稲盛和夫さんも生まれた時の「すなお」な素晴らしい気持ちが、いろいろ経験していき、そうでなくなってくる。
その生まれた時の心に戻すために努力すべきだと言っています。
私も68歳になって生まれた時のような、よごれのない素直な気持ちに戻るべく毎日学び続けています。
そのために人間を磨いています。